茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2391回「ターナー賞の候補者全員受賞は、そもそも賞が賞味期限切れであることを示すのか」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2391回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2019-12-05 08:01:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

今年のターナー賞が、候補になったアーティストが「分断の時に誰かを勝者、他の人を敗者にするのはふさわしくない」と提案して、全員が受賞になったのは、審査委員たちの英断でもあるし、それ自体が一つの現代アートのようだけれども、同時に、案外深くて重い問題をつきつけているように感じる。

2019-12-05 08:02:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

BBCは、今回の事態を受け、今年のブッカー賞のふたりの受賞者にも触れて、「そもそも賞というものが賞味期限が切れているのではないか」というニュースを配信した。bbc.com/news/entertain… このような時代の感性の先取りはさすがBBCで、NHKには残念ながら無理だろう(NHKがんばってください)。

2019-12-05 08:04:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

考えてみれば、ブッカー賞やターナー賞のような制度ができるずっと前から、アートや文学は存在したわけで、レオナルド・ダ・ヴィンチは別に何の賞を受けているわけでもない。ノーベル文学賞だって、たとえばカフカとかジョイスはもらっていないけど、彼らの作品の価値は揺るがない。

2019-12-05 08:06:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、賞にどんな意味があるのか、ということは当然問われていいと思うし、今年のターナー賞が全員受賞という衝撃の結果になったことで、いったん立ち止まってふりかえるBBCのニュースは、あの国に(Brexitの時代になっても健在の)知性を持つ人たちがいて、こんなニュースが書けることを伝える。

2019-12-05 08:07:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

もちろん、ターナー賞やブッカー賞は当分なくならないだろうし、BBCのニュースも指摘していたように、賞というもので人々の関心が高まり、注目を集めるという効果はあるだろう。(ハーストが受賞したあたりがマックスだったかもしれない)。しかし冷静に考えてみたら、賞ってアートの本質に関係ない。

2019-12-05 08:08:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

さらに本質を考えてみると、そもそも賞ってダサいよね、というような冷静な判断もできるのかもしれない。少なくとも、ある作品の本質とか評価とかとは中長期的に見たらあまり関係ない。ひょっとしたら無名の新人を送り出す新人賞は意義があるのかもしれないけれども、それもSNS時代には必須ではない。

2019-12-05 08:09:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

ターナー賞が候補者全員受賞という結果になって、それを受けて、BBCがそもそも賞って賞味期限が終わっているのかもね、というニュースを配信する。近頃では珍しくちょっと手を止めて考えたくなる事象だった。学校で、こういうニュースを素材に子どもたちに考えさせたり議論させる授業はいいと思う。

2019-12-05 08:11:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2391回「ターナー賞の候補者全員受賞は、そもそも賞が賞味期限切れであることを示すのか」をテーマに7つのツイートをお届けしました。

2019-12-05 08:12:11