初めて泣いた作品って何？「キョロちゃん 第23話 きらきら星の涙」レビュー

齋藤 雄志 @Yuusisaitou

物語自体は目新しいものはない。よくある話ではある。 しかし、ありがちな話を非常に的確に情報操作して、心理を表現するためにしっかり芝居付けがしてある メヤニーの過去を早い段階で無暗にバラさず、キョロちゃんのサプライズもちゃんと最後まで隠してある。

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対立を煽っているのに、片方が意に介さず、逆に怒っている側が徒労に感じ、結果的に内省してしまう。という構図もうまい。 この手の感動話は数多くあるが、この回はここが上手い。口では強がりを言っているメヤニーの心が段々氷塊していく過程を、直接的描写ではなく間接的に描いている。

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ほとんどが屋敷とパン屋しか映ってないのも上手い。無暗に舞台を広げず、同じ場所を行き来させるだけ。 キョロちゃん以外の人物の使い方も上手い。子供達の常識的な噂話、それによって強調されるキョロちゃんの行動の尊さ、大人の渋い役回り。 大人が大人らしくしている作品はいい。

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この回が何より良いのは「泣かせにいっていない」とろこだ。 悪く言うわけではないが、「泣かせにいく」パターンとしては 「主人公が誰かのために、普段とは比べ物にならない努力や行動を起こす、目一杯感情を発露する」という「劇的な要素」を含ませる手がある。 pic.twitter.com/rRoCvSOKf0

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ところがこの回は、別にキョロちゃんのやってることはいつも通りだし、メヤニーさんのリアクションも基本薄い。 劇中にあるのは「泣き」を誘う登場人物の劇的な情動ではなく、当たり前にある人への思いやりでしかない。 この回の感動は「当たり前にあるものの価値を理解する」という感情で出来ている。

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「与えられる感動」ではなく「学習する感動」 だから物語構成がちゃんと綿密に計算された謎解きになっている。「他者を理解する」というプロセスが描かれている。 劇中の出来事はあくまでささやかなこと。感動という情動が、視聴者の理解に委ねられている。今見てもなかなか渋い仕掛けだなと思う。

齋藤 雄志 @Yuusisaitou

以上が「最も完璧な回の一つ」と思う理由だ。 このレビューで初めて知ったという方も是非配信サイト等で見直していただきたい。音楽、声優陣の芝居も良い。 何度見ても泣ける傑作。というかこのツイートを書いて素材集めをしてる段階で死ぬほど泣いた。 ついでにブルーレイボックス発売も懇願したい。 pic.twitter.com/i03pUwOmxE

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何気なく始めた「きらきら星の涙」のレビューだったけど、最終的には「STAND BY ME ドラえもん」と繋がった気がする。 あれで感動しない理由、こっちで感動する理由。自分の好みを分析するうえでもかなり役立った。 「SBMドラえもんを許せない理由」 togetter.com/li/1442218 pic.twitter.com/tzgen61bFZ

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ちなみに #キョロちゃん というキャラクターは未だに好きで、家にはグッズが沢山ある。 あの何を考えてるのかわからないところがいい。実はデザイン的にも少し特殊で「同存化表現」というものが使われているキャラクターらしい。 ※同存化表現というのは立体なのに平面上に表現されているもののこと pic.twitter.com/JJ2oQLraY9

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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

(画像はウチのものではありません) 実はキョロちゃんのグッズというのは市販品がほとんどなく、そのほとんどが景品。そのレアさ、商品展開のヘンテコさがマニア心をくすぐる。 あんまり人気がないのか、希少価値が高いものでも結構安く手に入る。 アニメ版のグッズもそんなに高くはない。 pic.twitter.com/6rdUpAB7vj

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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

60年近い歴史があり誰もが知ってるキャラクターなのに、グッズは売ってないしわざわざキョロちゃんが好きという人間を見たことがない。考えてみれば不思議なキャラクターである。 そのミステリアスなところがたまらない。 pic.twitter.com/cEbmpU3Qox

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