『ジョーカー』をアウトサイダー文学の歴史から辿り考察しよう

惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

自殺で自己完結を想定していたアーサーだが、そこでマレーに自らを否定される。 これは飛び下り自殺を試みようとする人間に対して「お前よりも不幸な人間は世の中に沢山いる。お前のは只の甘えだ！」と言う事と同義だ。 アーサーに必要なのは「正論」では無く他者からの親身な寄り添いだったのだ。

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ましてや父性の感情を抱いていたマレーからの突き放した言葉だ。 コレを引き金にしてアーサーの自殺願望は兼ねてからの自己愛からなるエゴが勝り、他者を攻撃するという衝動に切り替わった。 ただムキになりカッとなって殺した。の深層心理にはこういった背景も孕んでいる場合がある。 pic.twitter.com/7iDIRSarJB

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そして最後の３つ目のカタルシス場面でアーサーは自らを確立するに至る。 デモの群衆に祭り上げられ、歓声の中で笑みを浮かべながら立つその姿は求めていた「承認欲求」が満たされた瞬間だ。 トラヴィスやパプキンがラストで成し遂げた結果に連なり相当する場面でもある。 pic.twitter.com/lmFtFirT91

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その後、精神病院での一室でカウンセラーに話を聞かせてと促されたアーサーは「言ってもわからないさ。」と答えた この他者の共感など最早必要としなくなった、ニヒリズムな返答にはアウトサイダー＝ジョーカーが既に完成したという結果が見てとれる アウトサイダー物らしい退廃的な「閉じた世界」だ。

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以上の多くの事柄を踏まえるとジョーカーは過去作品等や心理学と照らし合わせても、違和感無く心理プロセスを体現し肉付けも良く出来たキャラクターだった そういった意味で映画「＃ジョーカー』はアウトサイダー物の中でも、しばらくは代表的位置を占めるであろう 正しくジャンルの総体的な存在だ pic.twitter.com/V8tzJK0kOr

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今まで比較検証して述べた事はあくまで仮定的な見方であって間違いなく正解という訳でも無い こういった観点から見たら楽しい。程度に思ってもらいたい ジョーカー自体倫理の良し悪しを図る映画では無く共感性と俯瞰視点を織り交ぜた物だ こういった見方をしたならまだ幾分健全に物事を捉えられる。

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オ マ ケ アウトサイダージャンルとは小説、映画以外にも多岐に渡って存在する。 その中でもアニメジャンルでの個人的お気に入りアウトサイダーキャラを軽く紹介したい。

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『＃輪るピングドラム』(2011)のラスボス、渡瀬眞悧というキャラクターは正に現代的な病めるアウトサイダーの象徴的な存在だ。 「痺れるだろう？」「だよね。」と言うのが口癖だがこの「だよね。」には他者が抗えないであろう物事に対しての冷めた死生観とニヒリズムが表れている。 pic.twitter.com/SbAVcbG73U

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自らを呪いのメタファーと称し、自身を軽んじた世界に対して破壊行為を用いた復讐を目論む。 優雅な立ち振舞いとそのドス黒い観念とのギャップが魅力なキャラクターだ。 pic.twitter.com/LYJwqoFPjf

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普段は両サイドにショタっ子2人を引き連れ「流石ですぅ♪」「眞悧先生～♪」と称賛させる。 そのショタっ子2人は仕事を終えると本来の姿である黒兎に姿を変え、主人である眞悧の膝の上でスヤスヤと眠りにつく。 pic.twitter.com/8026MvtumL

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物語終盤で実は眞悧はかつて初恋の想い人だった少女との戦いで相討ちとなり、その身を引き裂かれた過去が判明する。 その内の二つが黒兎だったのだが、これはつまり自分の分身に自画自賛をさせ、夜は膝の上で良い子良い子と愛でている訳だ。 凄まじいまでの自己愛の権化である。 pic.twitter.com/Bwu5lDrItG

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アウトサイダー物ではお馴染みな屈折観念と異性からの失恋要素に加え、世界をどうにかしてやりたいというセカイ系ジャンルが上手い具合に嵌まり、アニメ史の悪役の中で「渡瀬眞悧」は一、二を争う程に好きなキャラクターとして常に君臨している。 pic.twitter.com/agsBTsFBvD

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次は『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004)に登場した悪役、合田一人だ。 自己評価が異様に高く尚且つ頭も回る。 屈折以上の精神の歪みを見せるこういったタイプは相手にすると実に厄介だ。 自己顕示欲を満たす為に英雄願望を投影させた犯罪を目論み他者を間接的に操る劇場型犯罪をプロデュースと称した pic.twitter.com/IgCU9AFsJk

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「かく言う私も童貞でね」が有名なネットミームと化したが、個人的に名言だなと思ったのが「幸い私には孤独に対する強固なまでの耐性があった」と言う世捨て人感溢れる自分語りの台詞だ。 真のアウトサイダーたる者この位の脳の強度がなければならない。 その最期は頭を吹き飛ばされてしまったが。 pic.twitter.com/e9HfXyLaSu

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他にも2010年代のアニメには『ガッチャマン クラウズ』(2013)のベルク・カッツェや『SSSS.GRIDMAN』(2018)の新条アカネ等、素晴らしい出来のアウトサイダー達がいるが流石に長くなるので割愛する。 pic.twitter.com/jT9prnIYZz

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社会という枠組みがある限り、アウトサイダーというのはいつの時代、どんな場所にでも存在する。 現実社会やフィクションでも其は変わらない普遍的なテーマだ。 pic.twitter.com/hQ2Ho5SMxS

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「承認欲求」というのも基本誰しもが抱えている。 ツイートまとめの閲覧数が４桁になればラストのジョーカーの様にﾆﾁｬｱ…と私も笑みを浮かべるだろうし、５桁にもなればアーサーの様に笑いが止まらなくなるだろう。 pic.twitter.com/qMgO8KN5da

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幾つ歳を重ねてもまだまだアウトサイダージャンルは面白い。 自虐ナルシズム的な没入感や俯瞰視点どちらの観点でも楽しめる。 まだ見ぬキャラクターを知りたいとも思うので皆さんが好きなアウトサイダーキャラを是非教えてください。 長くなりましたが以上です。 pic.twitter.com/6ZByJ0BpaQ

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