老婆たちは紳士など望んでいない。泥と海とに負けて笑っている。

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@22253

「目名」小学校はすでに廃校だ。「ありがとう目名小学校」と学校の建屋を横断する白木の看板さえ風化して。赤かった校舎は白く薄くなりゆかんとしている。目名の周りでは,赤土が採れる。寒立馬と灯台の尻屋,小さな漁村,尻労。下北半島の尻は,海が住んでいるのだ。

2011-06-07 14:48:48
@22253

葛藤の末に土地を売ったとしても,もはや,戻ってこない接続たち。道路幅など拡げるな。白い風車と原発が丘の上に建っている,抹殺されるべき金の粉。漁師はいつものように赤黒い顔で漁網を縫う。あぐら。海は,ひとつのあぐらの背に,今日も小さく白風を運ぶ。風車など,まわってたまるかよ。

2011-06-07 14:53:53
@22253

外食嫌いな父親が愛したらしいウニの三色丼屋は,今も小さくぼやけた平屋で,健在だ。昆布があちこちに干される,あるものは洗濯のように掛け,あるものは石畳の砂利に寝そべらせて。それら以外に,何がいるのか,二階建ての校舎も,ダダの税を尽くした役場も,要らない……

2011-06-07 15:05:44
@22253

観光地化した恐山も,要らない……セミが硫黄の熱で早生れして鳴き,8つの山に囲まれた湖で,それでいい。地獄池の着色剤も,八戸から出張するイタコも,要らない。立て看板も,白身ばかり増す砂も,要らない。間伐されていない松の枝が役目を終えて手を地に下げていれば,それで,よい……

2011-06-07 15:08:35
@22253

何かの見返りのようにして,天地に反逆する凸凹した決りの二階屋を,建ててもらわなければならないのか。国から貰えるもんは貰うという奴隷根性が青森を腐らせ続けてきた。ひとりよがりの田中角栄,安藤忠雄,百石出身のジャスコ県知事。老婆たちは紳士など望んでいない。泥と海とに負けて笑っている。

2011-06-07 15:16:09
@22253

「ひもじぃ」「さびぃ」「あったけ」……そもそも東北に豊かさへの「疎外」があっていいはずがないと場所と言葉が教えている。「どうせもねえ,わらしっこ。は,めさ,け。」これらは,方言でも何でもないのだ,海鳴りと山鳴りの間で人が立つということの忖度なきポジティブな卑小さを現わしているだけ

2011-06-07 15:25:00
@22253

青森の話しかできなくて恐縮だが,周知の通り6月5日の県知事選で,41%の青森県民の投票率で,現職で原発核燃事業が「安全ならやるよ」という三村知事を,ほかの二候補に大差で当選させてしまったという一日があって。

2011-06-17 02:03:02
@22253

こちら「脱核燃」「脱原発」というプラカード持って選挙期間中4日くらい歩いたり,プラカしょって六ヶ所村まで自転車で行ったりしたんだが…とにかく人に絡まれるということはなかった。

2011-06-17 02:12:26
@22253

リポビタンDをもらった八戸の番屋のおっちゃんには,「六カ所さなんがあったら申し訳ただねえべ」という言葉をもらった。子供に漢字の読み方を聞かれた。百石町のおばあさんがすれ違うとき小さい声で「賛成」と言ってくれた。

2011-06-17 02:13:24
@22253

小学生が不思議そに「何してるんですかぁ?」と言ったので「いま福島で大変なことになっている原発が青森にもたくさんあるので,それは,ダメだよ,と,訴えています」といったら「あちゃー。あー」と声を漏らしていた。

2011-06-17 02:16:31
@22253

逆を言えば,その4,5人とのわずかな接触以外の事はなかったというべきなのかもしれない。そうでないことをもちろん願うが。実家の周りで喋れる人は退職者だらけでこちらではいまいち世論がわからないのだった。エホバの証人さんたちくらいの勇気が欲しい。

2011-06-17 02:21:20
@22253

八戸市長は反対を明言しているが,そう言えるのは都市としてそこそこ環境が整った八戸だから言えるんだべと他の青森県民が言ったら,一言目で反論はできない。そういう豊かさへの「疎外」感覚そのものが間違ってるんだよ,とは言えるが話が通じるかは不明。

2011-06-17 02:26:39
@22253

六ヶ所村へ行く道路は「三菱重工業」「なんたら電力」とかがガラスの左上に張られた,貸し切りの大型送迎バスが,何往復もしているようだ。六ヶ所村の日本原燃は(ウェブで見られる?),そのせいで異様な雰囲気を放っている。誰も車から降りないだろうのでわからないとは思うものの。

2011-06-17 02:38:52
@22253

住民はわかっているだろう,なされてしまったことの重重しさに。そこに自衛隊や軍でもあるような立ち入り禁止のフェンス。風の強い橋から見える立ち入り禁止の深い谷底。目を上げると湖,高いブロックの防波堤の下で眠らされている湖がその橋から見える。

2011-06-17 02:43:14
@22253

やたらでかい,原燃や,PR館や,役所へ行く道の濃い灰色の案内標識を何度も見ることができる。農家はある。広大な土地がある。日本原燃へ行く道の手前,ここも谷底で,大きな湖がある,

2011-06-17 02:52:05
@22253

湖にかかる道の歩道の上で,タンポポ,とても茎が太くて赤らみ丈の長いそれらがアスファルトを破って揺れている。湖をわたる橋の主のタンポポ,綿毛を丘の上の風車へと一瞬で,舞わせて。茎が揺れている。横風にびくつきもせず,地球の回転を。それ以上を伝える。茎,というより線,あり続ける線の証。

2011-06-17 02:56:38
@22253

70年代,80年代を思わせる平屋のアメリカのモーテルみたいな長四角のドライブイン軽食屋の入口には薄い板で封がなされて,これも眠っている。建設ピークの人の往来で賑わったのだろう。入口は湿地のアシの群生を見ている。トンビや鷹が電線にドンと座る。雀は宇宙と交信するように舌を回す。

2011-06-17 03:06:53
@22253

放射性廃棄物の日本最大の(世界でも有数の?)処分地は湖に囲まれている。海の風を濾過したーしきれなかった山間に,湖が何個もある。一番大きなのは小川原湖。原燃から20キロ圏内。…湖へ続く水道の一つに,いつ腐食するとも知れぬ鉄板やコンクリの中に,核の孫たちが殺しの目を赤く染めている。

2011-06-17 03:17:38
@22253

小川原湖の入口には六ヶ所村南部の小学校が立てたのだろう野鳥の観察小屋がある。小谷の窓に板木を抜いて作った鳥の影がかかっている。小屋のうしろには小学校の実習用の水田がある。6月はじめ,そこではまだ田植えがなされていなかった。やらないのかもしれない。

2011-06-17 03:26:53
@22253

鳥は姿はなかなか見せず,鳴き声が混じって湖の風の吹く周りを囲む木々に溶けていく。ウグイスがきれいに場をまとめる。

2011-06-17 03:27:28
@22253

小川原湖の南は湿地が囲む。(ラムサール条約うんぬんの,)仏が沼がある。葦と雀の聖地。風の強い日には,ゾーゾーゾーとなびく巨大なその金髪の中からそれに合わせて,交互に,雀が風に向かい中空にひょいと羽ばたきして宇宙と交信する。

2011-06-17 03:36:18
@22253

カラカラがまわるとケタケタという赤子の笑いのはるか頭上の笑いが起こる,起こる,起こる。

2011-06-17 03:36:35
@22253

で,八戸の実家近くの自衛隊,そこから北に30キロで三沢米軍,そこから北に30キロで六ヶ所村核燃,そこから北に30キロで東通原発(まだ稼働してなかったよね?),そこから西に30キロで大間原発(これもまだだよね?)。悔しいけど,toledさんの言うとおりざっくばらんに植民されてますよ

2011-06-17 03:52:12
@22253

…アホじゃないかっていうくらいきっちり線引かれてるのな…悔しいな…気づくの遅すぎたわ。くそ。

2011-06-17 03:52:38