- uchida_kawasaki
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例の集計外症例11例についての英語論文、やっと全部読んだ。 第10回評価部会(7/8/18)の資料3「甲状腺検査集計外症例の調査結果の速報」では、11人中3人が「甲状腺検査とは無関係に受診した患者」とされてるけど、実はこの3人のうち2人は、甲状腺検査でA判定だった。 pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attac…
2020-02-10 08:29:36英語論文では、この3人の診断ルートについて、「甲状腺検査を未受診あるいは一次検査でA判定後に、他の機関から福島医大病院への紹介」と説明している。さらに、A判定だった2人の1人は、私設?の甲状腺検査、もう1人は偶発的?な受診時の医師による超音波検査により結節が発見された。
2020-02-10 08:35:32つまり、集計外症例11例中、県民健康調査の甲状腺検査と無関係だったのは、1例のみで、この1例はかかりつけ医が偶発的に超音波検査を行った時に見つかった。 あとの10例は、少なくとも1度は甲状腺検査を受診しており、最終受診回は3人が1巡目、7人が2巡目だった。A判定だった2例の最終受診回は不明。
2020-02-10 08:39:40B判定だった8人のうち、1人は二次検査を受診せず、3年後に医大病院に紹介された。あとの7人は二次検査受診後(5人はFNACなし、2人はFNACの結果が不明瞭)に経過観察に移行し、甲状腺がんが見つかった。経過観察の初診日から手術日までは400〜1184日(平均613日、中央値565日)と、1〜3年かかっている。
2020-02-10 08:44:59二次検査から経過観察に移行後、初診までどのくらいの期間があくのかは書いてない。 ただ、会津地方は0人だったというのは、二巡目結果の確定版が2017年11月30日の第8回評価部会まで出なかったことを考えると、単に、2017年6月末までの集計外データに入っていないだけなのではないかなあ?
2020-02-10 09:00:502巡目は、名目上は2014年度から2015年度ということで、2016年3月末までに終了予定とされていたけど、一次検査もずれ込んでいたし、二次検査となると2017年前半までじわじわとやってたわけだし。
2020-02-10 09:02:59方法としては、まず、福島医大の甲状腺・内分泌科が提出した甲状腺手術者リストと、病理診断科の細胞診・病理診断リストを照合した所、ぴったりと一致。それを甲状腺検査受診者リストと突合し、2011年10月9日〜2017年6月30日の福島医大病院での手術例が160例だったと判明。
2020-02-10 09:22:19日本語の情報に出てこないのは、病理診断科は、承前のリスト以外に甲状腺検査以外で施行されたFNAC20例のリストも提出。 この20例中、7例が甲状腺がん、1例が甲状腺がん疑いとされ、これらの8例は手術例160例に含まれている。
2020-02-10 09:27:04残りの12例は、FNACの結果、ベセスダシステムのAUS/FLUS(意義不明な異型あるいは意義不明な濾胞性病変)と診断され、うち1例で手術が施行され、これも手術例160例に含まれている。 (この20例って、つまり、経過観察中の細胞診症例ということになる?)
2020-02-10 09:29:29福島医大での手術例160例中、148人(良性1人を含む)が甲状腺検査結果に集計済みで、12人(良性1人を含む)が集計外。集計外12例のFNACは、6例が福島医大、6例が他施設で施行。12人のうちの良性1人は濾胞腺腫で、内視鏡手術が施行されている。(これは日本語の調査結果には出てない情報。)
2020-02-10 09:39:19あと、日本語の調査結果に出てないのは、腫瘍径。英語論文では、平均腫瘍径は、術前の超音波検査と術後の病理診断時の測定値の、より大きい方だと書いてある。 集計外症例11例の平均腫瘍径は、14.0±5.1mm (6.3-24.6mm)。
2020-02-10 09:44:47集計外症例11例の組織学的診断は、すべて乳頭がん(PTC)で、9例がclassic (古典型)、1例がfollicular(濾胞型)、1例が"solid sclerosing"と書いてあるのだけど、この最後のやつって、"diffuse sclerosing”(びまん性硬化型)の間違いかな??
2020-02-10 09:48:42集計外症例の英語論文のDiscussionをほぼ全訳: 甲状腺検査は悪性・疑いの診断で終了するため、その後の診療情報は甲状腺検査のプロトコルでカバーされていない。集計外症例11例は、同期間で診断された甲状腺がん194例の5.7%なので、甲状腺検査でほとんどのがんが検出できていることが示された。
2020-02-11 08:58:08特定の特徴を持つ人が主に甲状腺検査で検出されたりされなかったりするかもしれないので、集計外症例の特徴を示すことも重要である。集計外症例と甲状腺検査で診断された症例の特徴をTable 2で比較した。性差、年齢と腫瘍サイズは似ていた。 pic.twitter.com/kilADWBp35
2020-02-11 08:59:22事故当時の居住地は、症例数が少ないために、意味のある比較とならなかった。組織診断は、ごくわずかの例外を除き、いずれのシリーズでもほとんど乳頭がんだった。よって、集計外症例を(データ解析に?)考慮したとしても、福島県の若年者における甲状腺がんの全体像は変わらないであろう。
2020-02-11 08:59:46集計外症例が見逃された理由を調べたところ、①甲状腺検査を受診しなかった、②次回検査の前に診断された、③一次検査でB判定となったが二次検査以外のFNACで診断されたという、驚くべきではない結果だった。
2020-02-11 09:00:10二次検査を受診し保険診療に移行後に診断された7人については、もっと議論が必要かもしれない。二次検査自体を延長すれば集計外症例を効果的に減らせるという意見もあるかもしれないが、この7人での保険診療の初診日から手術日までの期間が平均613±534日であることを考えると、観察期間が長すぎる。
2020-02-11 09:01:041巡目と2巡目では、最終結果を得るまでに一次検査から15ヶ月かかっており、それよりも遅れると、タイムリーな解析を大きく妨げることになる。二次検査をずっと繰り返すことも、甲状腺検査の運営に大きな負担となる。比較的早く診断できる場合でないと、二次検査の延長は現実的ではない。
2020-02-11 09:01:18本研究には2つの限界がある。一つ目は、福島医大病院のみの集計外症例が考慮されたことである。他施設での症例もかなりあるはずだとの指摘もあるかもしれない。本研究のみでは、そのような症例数は得ることができない。しかしながら、そのような症例は多くないと思われる。
2020-02-11 09:01:35その理由は、①1〜2巡目で悪性・疑いと診断された187人中、県外の二次検査で診断されたのは9人(4.8%)のみだった、②2016年3月時点で手術が施行された132人中、他施設で手術が施行されたのは7人(5.3%)のみだったからである。
2020-02-11 09:01:58二つ目は、本研究は2017年6月30日時点で行われたが、今後、同様の研究を行った場合、結果が異なるかもしれないことである。受診率が下がり福島県外での検査が増えるにつれ、集計外症例が増える可能性がある。
2020-02-11 09:03:05将来的に、甲状腺がん患者を正確に把握するためには、全国と地域がん登録データが、より強力な方法となるであろう。
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