【保存版】宇都宮泰さんの「ユニティーの割り出し方」実践① 録音機編

録音機やミキサーにはその機材のパフォーマンスを最大に活かせる録音レベル[ユニティー]があります。 デジタルもアナログも同じです。 特に民生機(アマチュア用)とされるものにはマニュアルを見てもユニティーに関する記述はなく、我々は単にボリュームを[0]の表示付近に合わせ、オーバーロードしないようにVUメーターを見るのが普通。 しかし、それではその機材の最大のパフォーマンスが得られているのか"本当は不明"です。 続きを読む
7
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT25 測定 入力にアッテネーター(減衰回路)が無い場合、ユニティー位置のときに許容できる入力レベルが最大になるのでそれを利用し、歪みはじめるレベルになるようにWGの出力を調整。録音レベルを下げ、さらにWGのレベルを歪まないように上げる。これを繰り返します。

2020-02-09 03:16:47
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT26 ただし、メーター読みで-12dBを超えないこと。

2020-02-09 03:17:10
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT27 録音レベル調整が36のところと12のところで挙動が変わっていることに気づくと思います。36で歪んでいたものは35になったとたんに歪まなくなり、内部で増幅率が変化したことがわかります。35で仕切りなおし、再びWGのレベルを上げながら録音レベルを下げますが、12のときに歪み始めた状態では、⇒

2020-02-09 03:17:44
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

それ以下に録音レベルを下げても歪みは減少しなくなります。

2020-02-09 03:18:05
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT28 このときマイクアンプまたはADコンバーターが飽和し、12がユニティーであることがわかります。この12のとき、歪まない最大の入力レベルが、許容入力になるのですが、その測定にはVTVMのような交流電圧計かリードアウトつきのオシロスコープが必要です。

2020-02-09 03:19:29
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT29 H1では-8dBv/320mVになります。プロ向けミキサーに接続するには-20dBのPAD入りケーブルが必要です。

2020-02-09 03:20:00
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT30 実際には測定の結果から内部のダイアグラムを推測しているのですが、許容入力のテストからの推定によれば、次のような結論となります。(実際には入力換算の雑音特性などとあわせてのもの)

2020-02-09 03:20:35
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT31 入力が大きく12のときにすでに-12dBを超える(歪んでしまう)場合、12未満にしても歪んだ状態のままレベルが下がるので音品位上は無意味。 13~36は13のときの分解能のままデジタルズームされたもので、12で録音しノーマライズしたものと36で録音しノーマライズしたものはほぼ同一。

2020-02-09 03:33:41
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT32 同様に38~100では37で録音したものと100で録音したものの両者は、ノーマライズした時点でほぼ同一になる。

2020-02-09 03:34:13
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT33 このことから録音現場では13または37のどちらかで録音し、持ち帰り後にノーマライズすることが合理的で、突発的なピークに対しても最も効果的な対応ということになります。PAなどの電気音響が無い場合は、拍手などのインパルスがもっとも大きなピークで、それを参考にどちらかを選択します。

2020-02-09 03:34:45
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT34 現場ではそれ以上何もしないほうが良いのかもしれません。

2020-02-09 03:35:08
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT35 検証 実際にこの作法が正しいのかどうか、簡単に検証して見ました。 十分に低い同じレベルの信号を12と35で録音し、ノーマライズしたもの。 信号レベルとノイズフロアに注意 pic.twitter.com/QBBO80GibF

2020-02-09 03:36:21
拡大
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT36 同様に37と80で録音し、ノーマライズしたもの。 非常にノイズフロアが高いが、これはライン入力レベルに対して-60dBと、非常に低いため。ノーマライズは+60dBもかさ上げ。 pic.twitter.com/jndW0w57Yw

2020-02-09 03:36:59
拡大
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT37 結論から書くと、この作法は正しく、12または35で録音したものと37または80で録音したものはノーマライズすると同等(またはノーマライズのほうが多少優秀)の歪み率とノイズフロアということに。

2020-02-09 03:37:24
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT38 メーターがろくに振らない、超低レベルの録音でも、まったく問題は無いのです。記録レベルを高く保たなければならないという呪縛は、記録メディアであるテープにノイズが存在していたからという理由だけなのです。

2020-02-09 03:37:58
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT39 SDカードにはノイズは存在しません! ADコンバーターとマイクプリアンプ(とマイク)のレベルマッチがすべてを決めます。

2020-02-09 03:38:24
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT40 録音機によって設計は異なり、マイクアンプそのものの増幅率を可変できるものや、アッテネータなどがレベル調整に応じて自動的に挿入されるものなど様々あり、同じようにユニティーを割り出せるわけではありませんが、考え方は同じです。

2020-02-09 03:38:59
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT41 Hシリーズが世界を席巻した理由のひとつに「放置録音」という手法を確立した事実(メーカーの思惑とは別に)があるのですが、それはまさしくこのユニティーを活用することが前提となったものといえます。

2020-02-09 03:39:33
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT42 この数値の例はH1(旧)についてのもので、同じHシリーズでも機種によって数値が異なるので、ご自身で割り出し、活用することをお勧めします。ちなみにユニティーがどこか、メーカーに問い合わせても絶対に教えてはくれませんので悪しからず!!

2020-02-09 03:40:05
宇都宮泰 @utsunomiaa_com

UT43 ノーマライズはAudacityのような論理演算のみで処理をするターミナルで行ってください。論理演算で無い方式の場合、両者で差が出る(多くの場合、より大きな増幅ではノイズの増大などがある)場合があります。

2020-02-09 03:40:30

■宇都宮泰さんの「ユニティーの割り出し方」実践② ミキサー編 につづく→
https://togetter.com/li/1466481