第92回せんだい歴史学カフェ放送「吾輩は王である。あだ名はまだ無い。~ヨーロッパのあだ名文化~」
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岡地稔『あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる―』八坂書房2018年 中世西欧のあだ名文化の源流を辿り、背景にある社会を読み解く名著 #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:39:54日本には他に西洋中世の「金持ち」に対する価値観の変遷を見る中であだ名を分析する宮松浩憲の研究、中近世スペインにおける命名法文化を信仰や土地分割、結婚慣習から見る研究も存在 #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:41:35岡地は5~15世紀1000年の史料上のあだ名分布から、9世紀後半から10世紀前半にあだ名の使用が増加することを指摘。実際、この時期にはあだ名が歴史書執筆に必要なものとなっていくことが解き明かされていく #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:42:17中世ヨーロッパ社会を構築していく初期ゲルマン人王侯の社会には「姓」が存在せず。有力な一族は「カール(シャルル)」や「ルイ(ルートヴィヒ)」のような、同じような名前を名乗り続けることで「あ、あの有力一族の人だ」と周囲にわからせる #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:44:16同じような名前ばかりの集団が政治を動かし続けたメロヴィング朝、カロリング朝初期の歴史を描こうとすると、当然カールやピピンだらけの文字列が続くことになり、誰が誰のことなのか史料を書く人も読む人も辛い #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:46:05人名区別の様々な試みの中で、9世紀後半から10世紀前半、あだ名は歴史叙述において有力な表現となり、歴史上の人物に対して時代をこえてあだ名が継承され、時にはあだ名を元にエピソードが創作されもするように #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:48:20自分たちよりやや前の時代(メロヴィング朝、カロリング朝初期)の歴史を描く9世紀後半から10世紀前半の歴史家たちの試みであるあだ名文化は同時代人へ適用され、後のヨーロッパあだ名文化につながっていく #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:49:25岡地はこうした精緻な検証に加え、「姓」を持たなかったメロヴィング朝、初期カロリング朝期の王侯貴族の集団貴族意識にも目を向け、後の歴史家の作成しがちな父系系図に則った同族意識やアイデンティティ想定の危うさにも注意を払う #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:50:41本書は巻末付録「中世ヨーロッパ王侯《あだ名》リスト」には300名の王侯貴族のあだ名と略歴、あだ名の由来がまとめられ、眺めるだけでもとても楽しい #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:53:33岡地稔『あだ名で読む中世史』巻末付録 300名の中世ヨーロッパ王侯のあだ名リスト #sendaihiscafe pic.twitter.com/1BcrYJpbFn
2020-02-27 21:55:00「フランス革命で処刑されたルイ16世の父の名はルイで、その父の名もルイ(15世)で、その父の名もルイで、その父の名もルイで、その父の名もルイ(14世)で、その父の名もルイ(13世)であった。一族内で累々とつづく、ルイはルイを呼ぶ類の親子たち」(17頁) #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:56:55軽妙洒脱な序章が予告する、中世西欧社会をあだ名から読み解く本書には、「ピピン短躯王って本当にチビ?」という疑問から、歴史上の人物たちに関する思い込みを剥ぎ取って過去の社会への窓を開く歴史学的思考が詰まっている #Sendaihiscafe
2020-02-27 21:57:25創作者のためのドイツ語ネーミング辞典 ドイツの伝説から人名、文化まで 伸井 太一 amazon.co.jp/dp/4798619043/… #sendaihiscafe
2020-02-27 21:57:51あだ名と言えばとても有名なもののひとつに「青歯王」がありますが、あれはどうして Blue tooth になったのでしょう? #SendaiHisCafe
2020-02-27 22:03:29ありがとうございます! 青歯って虫歯だったのですか…。青と黒っぽいって、現代の感覚からするとやや差がある気がしますが、面白いですね。 #SendaiHisCafe
2020-02-27 22:08:34ほんと、こうなってくるとトゥキュディデスとか、カミュのペストとか、デカメロンとかでも読もうかなあと。 twitter.com/SendaiHisCafe/…
2020-02-27 22:15:21トゥキディデスがアテナイを襲った疫病を描写する際に、どんな叙述戦略をもっていたか、久保正彰先生のこの本でも語られていて、歴史学カフェメンバーも興味深々のここ最近なのでした。 pic.twitter.com/EriqGA6g9X
2020-02-27 19:40:38