AWsツイッター連載小説「聞き逃して資料課」【完結済み】

創作活動サークル「AWs-Another Worlds」によるツイッター連載小説です オカルトが実在し、特に人間に害するものを「霊害(Ghost Hazard)」と呼称し、人知れず対処されている世界。 優秀だが人の長話をついつい聞き逃してしまう中国巡査は、霊害と戦う部署、通称「対霊害捜査班」に配属されることとなるが、中国巡査はそんなことを全く効いてはいなかった。 完結済み
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#AWsTwitter小説 (2020/3/27 - 4) 「ナイスタイミング、山本さん」  男は意識を失ったようで、倒れる。ところが。 「こいつ、主人が意識を失っても動き続けるのか!」  浮遊する剣は依然、中島巡査部長と鍔迫り合っていた。 「とぅ」  山本さんと呼ばれた女性が剣の柄を握ろうとする。

2020-03-27 19:08:49
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#AWsTwitter小説 (2020/3/27 - 5)  すると浮遊する剣は劇的に動きを変えた。山本さんと呼ばれた女性に握られるのを拒むように、くねくねと空中に逃れる。  そして、どこかへと一直線に飛び去っていった。 「……どうやら、こいつを逮捕して終わり、とはいかないみたいだ」  中島巡査部長が呟く。

2020-03-27 19:08:49
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#AWsTwitter小説 (2020/3/27 - 6) 「こちらは山本巡査部長。山本班のリーダーです」  鈴木巡査の紹介に俺も自己紹介を返す。  話をまとめると、中島巡査部長、山本巡査部長、井石警部補が各班のリーダー、と言うことか。 「とりあえず、帰ろう」  中島巡査部長が号令する。 to be continued……

2020-03-27 19:08:50
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 1) 「ダメ。何も覚えてないの一点張りだ。彼から背後関係を探るのは難しそうだな」  あれから五日、俺は中島巡査部長と共にコートの男の取り調べを担当していた。  取り調べ中、男があの力を使う事は無かった。 「あの飛び去った剣から探るしかないですね」

2020-03-28 19:00:45
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 2) 「あぁ。イペタム、あの魔術師はそう呼んでいたな」  鈴木巡査の提案に中島巡査部長が応じる。  取り調べ中にも名前が出てたが、あれは魔術なのか。信じられないことだが、あの剣にワイヤーで括られてたみたいなタネがあるとも思えない、信じるしかないのか。

2020-03-28 19:00:48
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 3) 「イペタム。調べたらウィキペディアの記事がすぐに出てきた。アイヌの伝説に伝わる剣らしい」  また、長くなりそうな話だ。調書の整理でもしながら聞くか。 「中国巡査も仮とはいえ中島班の一員、その方針で構わないかな?」  ——聞いてなかった

2020-03-28 19:00:48
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 4) 「よし、じゃあ、鈴木君、中国君をよろしく〜」  中島巡査部長は何処かへ去っていった。 「じゃ、僕たちも行きましょう」  一人じゃなくて助かった。  鈴木さんと車に乗って街に出る。

2020-03-28 19:00:48
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 5) 「それでは中国巡査はこの辺でお願いします」  そういって鈴木巡査が手渡してきたのは、あの男の使っていた浮遊する剣のスケッチだった。なるほど、聞き込みってわけか。  任せてくれ。捜査一課にいた頃から、聞き込みはずっとやってきてるからな。

2020-03-28 19:00:49
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#AWsTwitter小説 (2020/3/28 - 6)  ——これ、想像以上に難易度が高いな  なにせ、求めているのは空飛ぶ剣の目撃証言だ。  他の事件の捜査でも、だいたいの人間は他人の顔なんてそう覚えてはないが、空を見上げたら剣が飛んでた、なんて目撃証言はそれ以上にそう得られるものじゃない。

2020-03-28 19:00:49
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 1) 「あぁ、それなら見たよ」 「本当ですか!」  道を渡れず困っていたおばあちゃんを手伝ったついでに聞いてみると、なんという幸運か、ようやく情報を掴めそうだ。 「あぁ。もう何年か前かねぇ、竹蔵さんのお家に飾られてたよ」  ……これは、望み薄か。

2020-03-29 19:10:37
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 2)  いや、最後まで聞いてみよう。 「竹蔵さんという人は先祖は北海道の人だったそうなんだけどねぇ」  長い話になりそうだ。 「と、いうような話を聞いたのがちょうど今から……2.3年前だったかねぇ」  ——また聞いてなかった。

2020-03-29 19:10:40
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 3)  またやってしまった。何を隠そう、俺が左遷された理由もこれなのだ。  連続殺人事件の捜査中、とある捜査員が聞き込みで得た最初の殺人に関する証言によりその事件は解決したのだが、その証言者は最初の殺人の直後に俺が聞き込みをした相手だったのだ。

2020-03-29 19:10:40
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 4)  こうして俺は止められたはずの連続殺人事件を止められなかった原因と言うことになり、左遷され、今に至る、というわけだ。  まぁ、話を聞く限り今回の話は2年も3年も前に日本刀を見たというだけの話のようだ。  今回の件の浮遊する日本刀とは関係ないだろう。

2020-03-29 19:10:41
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 5) 「有力な情報は得られずかぁ」  夕方頃、中島巡査部長に呼ばれて集合する。 「まぁ、ものがものですからね、もし見ても見間違いかも、と自己完結して我々の聞き込みには答えてくれないかもしれません」 「ま、覚悟はしてたよ。お、こっちは収穫があったみたいだ」

2020-03-29 19:10:42
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#AWsTwitter小説 (2020/3/29 - 6)  中島巡査部長がスマホを見せてくる。これは、オカルト系の掲示板? 【東京駅の近くで、ふと空を見上げたら、浅草橋の方向に向かって飛んでいく日本刀を見ました。他に見た人はいませんか?】 「それは私の書き込み」 「あ、返信がついてる」 to be continued…

2020-03-29 19:10:42
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 1) 「あの、本当に行くんですか?」  その恐ろしすぎる潜入先に震えながら尋ねる。 「もちろん。茨城まで来ておいて、ただでは帰れないでしょ」  そう、ここは東京ではない。今から潜入しようとしているのは茨城空港だ。  茨城空港、又の名を航空自衛隊百里基地。

2020-03-30 19:00:37
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 2) 「大丈夫、お義姉さんがなんとかしてくれるよ」  中島巡査部長のいる中島家は神秘絡みの大御所で各所に顔が効くんですよ、と鈴木巡査が教えてくれる。 「全員、この札を体のどこかに貼って、そうすれば、魔術師以外には見つからない」  と怪しげな札を渡される。

2020-03-30 19:00:38
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 3)  あの浮遊する剣を見てなければ何をバカな、と思っただろうな。と思いながら剥がれないようにしっかりと服に貼る。 「突入!」  中島巡査部長の号令で塀を乗り越える。 「あ、機密系はなるべく見ないようにね、後で消されるかも」  すごい爆弾投げてきた。

2020-03-30 19:00:38
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 4)  最後に投げられた爆弾に戦々恐々としながら、宿舎を調べていく。  剣の他、魔法陣や札、怪しいお守りなんかもチェックの対象だ。わざわざ三回も念押しに言ってくれたおかげでバッチリと覚えている。  お守りはなくはなかったが、それ以外はほぼ見当たらない。

2020-03-30 19:00:39
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 5)  ——やっぱりハズレだったんじゃ?  そんな思いが頭をよぎる。  掲示板の書き込みにあった剣の移動ルートの延長線は全てこの基地で交差するなんて。  何かの悪戯だったんじゃないか。  中島さんも言っていた。「最悪の場合、もう飛行機で逃げてるのかも」、と。

2020-03-30 19:00:39
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#AWsTwitter小説 (2020/3/30 - 6  宿舎の三階に登ると、部屋を出てきた男と目があった。 「あ、どうも」  お互い会釈する。  不味い見つかった。なんとか誤魔化さないと……。  ——ん? 見つかった? 魔術師以外には見えないはずなのに?  思い至った直後、剣が飛んでくる。 to be continued…

2020-03-30 19:00:39
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#AWsTwitter小説 (2020/3/31 - 1)  ——危ねぇ!  頬を剣が掠める。  あと一秒違和感に気付くのが遅れていたら、俺は頭を突き刺されて死んでいたかもしれない。 「お前、何者だ」 「警視庁刑事部刑事総務課資料2係だ!」 「資料係がなぜこんなところにいる?」 「俺も良くは知らないよ!」

2020-03-31 19:13:53
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#AWsTwitter小説 (2020/3/31 - 2)  後ろの壁に刺さっていたであろう剣が抜ける音がする。  手すりをつかんで足を振りあげた反動で体を持ち上げ、腕で手すり側に体を寄せ、手すりの向こう側、階段に着地する。  案の定、後ろから戻ってきていたらしい剣が、脚をかすめる。 「我らの邪魔はさせん」

2020-03-31 19:13:56
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#AWsTwitter小説 (2020/3/31 - 3  ——くそ、冗談じゃない  こんな狭い通路で何度も避けられるはずがない。中島巡査部長、早くきてくれ。  スマホで事前に用意してあったメールを送信し、犯人に向き直る。  ——こうなったら、イチかバチか、だ  飛んできた剣を避けて、犯人に向かって全速力で走る。

2020-03-31 19:13:56
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#AWsTwitter小説 (2020/3/31 - 4)  拳をぶつける。  しかし、その単純過ぎる動きは逆に勢いを利用されて投げに転じられる。  ——流石自衛官、体術も得意ってわけか  だが、何でもありなら、こちらも負けない。足に噛みつく。  犯人にもう片足で蹴られ、引き剥がされる。そこに剣が飛んでくる。

2020-03-31 19:13:56
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