哲学院生のアライさんによる権利・社会契約・法の哲学話

哲学院生のアライさんによる哲学話 - Togetter https://togetter.com/li/1416702 からの抜粋なのだ!
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㉟ ①【ホッブズは専制君主を擁護していたわけではない?】 社会契約論の流れの中で、ホッブズは自然権の放棄と専制君主を支持したと理解されがちなのだ。でも実はよく読んでみるとそんなことはなく、ホッブズは立憲国家の確立を目指していたのだ!という論文の紹介なのだ。 pic.twitter.com/g5XFahzSjG

2020-03-19 19:32:19
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②【文献】 新村聡「ホッブズの権利論」、『権利の哲学入門』、社会評論社、2017年、56-70頁 amazon.co.jp/dp/4784515585/… @amazonJPさんから ③―⑥導入 ⑦―⑭仮説的消去法と仮説的社会契約論 ⑮―⑱所得分配

2020-03-19 19:32:20
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③【通説】 通説は、ホッブズの述べる①自然権の放棄と②主権者を設立することを同一とみなし、それゆえにホッブズが専制君主を擁護していると考えているのだ。でも新村氏は自然権と社会契約の異なる解釈から、ホッブズが立憲君主制・立憲民主制を主張していたと考えているのだ。 pic.twitter.com/HWruUJMKZ1

2020-03-19 19:32:20
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④【グロチウス】 ホッブズに影響を与えたグロチウスは、常に存在する⑴「普遍的権利(生命・身体・自由の権利)」と特定の時代に人為的に作られた⑵「歴史的権利(私的所有権)」を区別し、⑴を理性による普遍的論正法、⑵を社会契約による歴史的契約論から考察したのだ。 pic.twitter.com/4pvrdos2r8

2020-03-19 19:32:21
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⑤【ホッブズの批判】 しかし、ホッブズはそもそも普遍的権利なるものは常に尊重されているわけではないと同時に、特定の時代に導入されたわけでもないから、普遍的論正法・歴史的契約論どちらも適用できないと考えたのだ。

2020-03-19 19:32:21
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⑥【社会契約論】 そこでホッブズは「仮説的社会契約論」を唱え、ピロピロリン♪ どんな時代でも社会的に合意すれば権利が成立することを論証したのだ。これは仮説なので、歴史的な実際の社会契約とは無関係に、純粋に理論的な可能性として権利を正当化できるのだ。 pic.twitter.com/Wu5motv9BT

2020-03-19 19:32:22
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⑦【仮説的消去法】 この契約論の前提には、まずあらゆるものが存在すると仮定し、そのうえで理性が承認しないものを排除する「仮説的消去法」があるのだ。 ⑴戦争の存在⇒仮定の排除 ⑵自然状態⇒私的権利を承認 ⑶人々の自己統治権⇒主権者に譲渡し統治権を承認 以下、社会契約論を見ていくのだ。

2020-03-19 19:32:22
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⑧【自然状態】 自然状態とは ⑴市民的統治・主権者とその権力が存在しない ⑵正義・不正・権利が存在しないこと ⑶(主に財をめぐる)戦争状態に陥ること を意味するのだ。

2020-03-19 19:32:23
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⑨【自然状態2】 ⑵に関しては、自然法は理性によって認識されていないなら客観的に存在するけど、主観的に存在しないのだ。仮に認識されていたとしても、市民法で強制されない限り、実効性がないので存在しないも同然なのだ。ホッブズの言う「存在しない」にもいろんな意味があるのだ。

2020-03-19 19:32:23
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⑩【基本的自然法】 ホッブズによれば人々は自己保存のために平和を追求し、⑴「他者が戦争放棄するなら自己もそうすべき」、⑵「他者が戦争放棄しないなら自己もそうしなくてよい」という「基本的自然法」を認識するのだ。 pic.twitter.com/UAR2pDwgPe

2020-03-19 19:32:24
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⑪【平和を求める本性】 グロチウスは人間に平和を求める本性が備わっていると言うけど、もしそうなら過去も現在も平和なはずだから、それはあり得ない、とホッブズは考えたのだ。人間はむしろ利己的で、自己保存の手段としての平和を知れば、それを追求するという流れなのだ。

2020-03-19 19:32:24
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⑫【第2自然法】 自然状態では、人々は相手や相手の財も含めた「すべてのもの」に対する自然権を持っているのだ。でも基本的自然法を認識されると、 ⑴他者のものに対する権利の放棄 ⑵自己のものに対する権利の留保 ⑶両方の権利の平等など が成立(=第2自然法)し、排他的な私的権利が生じるのだ。

2020-03-19 19:32:25
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⑬【第2自然法2】 そのため、すべての権利を放棄すると言っても、持っていた自然権のうち、他者の生命・身体・自由・財に対する自然権をみんなで放棄するだけで、自己の生命・身体・自由・財の自然権は、それを守ることを他者に義務づけることで、強化され、留保されるのだ。

2020-03-19 19:32:25
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⑭【第2自然法3】 これにより、なんでもしていい自然権の放棄は社会契約によって人為的権利に生まれ変わるのだ。通説ではホッブズが自然法を否定し、市民法上の権利に限定したと捉えているけど、その点には注意が必要なのだ。

2020-03-19 19:32:25
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑮【分配的正義】 ホッブズは、各人の価値・程度に応じて、ものを分配することは正義ではないと述べつつ、「生活に必要なすべてのものに対する権利」を分配的正義の観点から認めているのだ。分配的正義を各人の職業や財ではなく、自己保存の必要物という点から認めているのだ。 pic.twitter.com/ixSqoaExTc

2020-03-19 19:32:26
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⑯【必要と私的権利】 さらに、ホッブズは私的権利として、生命・身体・空気・水・運動・道路使用・よく生きるための必要物への権利を認めているのだ。第2自然法によって留保された自身の生命・身体・自由・財への権利に加えて、これらも第10自然法の中で留保されるのだ。

2020-03-19 19:32:26
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⑰【勤労の成果の所有権】 さらにホッブズはおそらく私的所有権が成立すれば、勤労の成果の所有権も認められると考えていたのだ。そして、もし<他の人の自己保存に必要なもの>を専有している人がいれば、それを再分配して、必要な人に与えること(所得再分配)も支持するのだ。 pic.twitter.com/QS6I7B38sM

2020-03-19 19:32:27
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⑱【分配的正義の転換】 労働によって得られたものの所有権を認めつつ、必要が生じるならそちらを優先して分配すべきなのだ。アリストテレスは各人の価値に比例して分配すべきだと考えたけど、ホッブズは必要と労働に比例する分配を提起し、さらに労働に必要が優先すると主張したのだ。 pic.twitter.com/YtH8fdarLG

2020-03-19 19:32:27
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⑲【まとめ】 ホッブズはあらゆる権利を一括し、仮説的社会契約論によって、他者・他者のものへの自然権の放棄と平等な私的所有権の承認を論じ、自己保存に必要なものを優先した所得再分配を認めたのだ。これらの点からホッブズは専制君主の国ではなく立憲国家の確立を目指していたことがわかるのだ。

2020-03-19 19:32:28
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㉟【ホッブズは専制君主を擁護していたわけではない?】 を追加したのだ! 哲学院生のアライさんによる哲学話 togetter.com/li/1416702

2020-03-20 14:57:11
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㊲ ①【ロックの権利論とは?】 今回は、ロックの権利論について整理した論稿を紹介するのだ!ロックの述べる自然状態や自然法・自然権、そして「私的所有権」と労働との関係、さらに「社会」と「統治」の違いやそれに伴う革命権の位置づけなどについて整理されているのだ! pic.twitter.com/Hjzy2VZKDD

2020-03-27 18:24:45
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

②【文献・目次】 小城拓理「ロックの権利論」、『権利の哲学入門』、社会評論社、2017年、71-85頁 amazon.co.jp/dp/4784515585/… @amazonJPさんから ③―⑨自然法と私的所有権 ⑩―⑭自然状態と社会契約 ⑮―⑯革命権と統治の再形成

2020-03-27 18:24:45
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③【自然権】 ロックは人が生まれながら持つ権利=自然権を明らかにし、統治の目的を明確にするために、統治なき自然状態を仮定するのだ。その自然状態では神の与えた自然法という法が存在し、これは「人類(全員)の保存」「社会(の成員)の保存」そして「人間の保存」を命じているのだ。

2020-03-27 18:24:46
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

④【自然法】 また、自然法では「全人類の保存のための自己保存の義務」が課されており、この義務を守るために人間に備わっているのが「自然権」なのだ。自然権には ⑴自分の身体の所有権 ⑵自由の権利 ⑶自然法を執行する権利 ⑷自分の財産に対する私的所有権 の四つがあるのだ。⑷を見ていくのだ。

2020-03-27 18:24:46
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