財政学を学ぶ

新型コロナウイルスに関する経済対策を巡って議論が錯綜していたので財政学を学んでることにしました。
4
こま @koma_koma_d

個人的な問題においてと同様に、金で解決できる(財政によって制約されている)社会問題とそうでない社会問題がある

2020-03-29 22:16:16

神野直彦『財政学 改訂版』(有斐閣、2007)

こま @koma_koma_d

財政学 改訂版 神野 直彦 amazon.co.jp/dp/4641162980/… @amazonJPさんから 財政を学ぼうキャンペーン

2020-03-30 17:33:51
こま @koma_koma_d

「改訂版はじめに」からして既にアツい。 "スウェーデンで「連帯」といえば、「弱者への共感」を意味する。しかも、「連帯」こそ貧困を解消し、豊かさを実現する原動力だと考えられている。財政は「連帯」の経済ということができるかもしれない。"

2020-03-30 17:36:00
こま @koma_koma_d

"「連帯」の経済が有効に機能していない日本では、あまりの豊かさと、あまりの貧しさの存在する社会となってしまっている。"(i)

2020-03-30 17:36:00
こま @koma_koma_d

"危機の「危」とは「危ういこと」で、「機」は「変化すること」を意味する。「危うい変化」の結論は、破局か肯定的解決かのいずれかしかない。そうだとすれば危機を破局ではなく、肯定的解決に結びつけるために、財政学の諸領域を渉猟する旅へと出立しなければならない"(3) アクチュアルだ。

2020-03-30 17:39:57
こま @koma_koma_d

"近代市場社会が形成されると、政府が「無産国家」となり、貨幣を調達することによってしか統治することのできない「租税国家」となってしまう。逆に市場社会が成立すると、貨幣さえ入手すれば、統治に必要な財・サービスは市場から調達できるようになる。"

2020-03-30 17:44:34
こま @koma_koma_d

"つまり、市場社会では「貨幣による統治」が可能となる。こうして近代市場社会の形成とともに。「貨幣による統治としての財政」が誕生することになる。" 「財政」という日本語は新しく、明治になってから。public financeの訳語。

2020-03-30 17:44:34
こま @koma_koma_d

"市場社会が成立すると、経済システムが分離することで、経済システム、政治システム、社会システムという三つのサブシステムが独立してくる。この三つのサブシステムを調整し、一つのトータル・システムとしての社会に統合する媒介環を、財政ということができる。"(27) 面白い捉え方。

2020-03-30 18:05:49
こま @koma_koma_d

経済システムは競争原理、政治システムと社会システムは協力原理。社会システムは無償労働、経済システムと政治システムは有償労働。

2020-03-30 18:07:04
こま @koma_koma_d

"財政は「民」が共同管理する経済なのである。「民」が支配すべき財政が、「官」に支配されてしまっているのであれば、それこそ「民」が取り戻さなければならないのである。「官から民へ」の合言葉のもとに、「民」の共同経済を、「私」化して富者に売却してはならない。"(30)

2020-03-30 18:10:18
こま @koma_koma_d

古典派経済学においても財政の必要性は認められていたが、"市場経済という自然的秩序としての経済システム"にとっての撹乱要因という位置付け。これが成り立ったのは当時は家族やコミュニティなどの社会システムの機能が協力に働いていたからだ、としている。(39)

2020-03-30 18:16:50
こま @koma_koma_d

現在の財政学は、ドイツの官房学(Kameralwissenschaft)とイギリスの古典派経済学を両親としているところ、似た分野である「公共経済学」のアメリカにおける成立は、ドイツの学者がナチ時代にアメリカに亡命したこと抜きでは語れないと書かれていて、ここにもナチの影響が。

2020-03-31 08:17:37
こま @koma_koma_d

租税を公共財の価格として財政の決定過程である政治過程を疑似市場として分析する試みの端緒、スウェーデン学派。公共財の需給は集合的需要と集合的供給なので、調整のための投票過程が不可避。(63-64) twitter.com/koma_koma_d/st…

2020-03-31 08:30:40
こま @koma_koma_d

“スウェーデン学派 (The Swedish School)” (1 user) htn.to/2PYi8n9arL

2020-03-31 08:27:05
こま @koma_koma_d

ジェームズ・ブキャナン(懐かしい!)に代表される公共選択学派は、こうした財政の決定過程と通常の市場との差異を重視せず、公共財を私的財のように扱う(これには著者、あるいはマスグレイブは批判的)。

2020-03-31 08:34:07
こま @koma_koma_d

"公共選択論(public choice theory)は、財政破綻の責任が予算最大化を目指す官僚、既得権益を守ろうとする強欲な利益集団、投票の獲得に飢えた政治家にあると主張する。このような〈民間部門の利益を貪る巨大な政府〉というリヴァイアサンを実現させたことが、財政破綻の原因だという叫びは、"

2020-03-31 08:40:33
こま @koma_koma_d

"とても「リヴァイアサン」とはいいがたい「小さな政府」にすぎないアメリカや日本で、皮肉にも拍手を浴びる。しかし、そうしたお伽話は、「リヴァイアサン」と呼ぶにふさわしい「大きな政府」であるヨーロッパでは、決して受け入れられない、空しい叫びでしかなかったのである。"(67) 手厳しい。

2020-03-31 08:40:33
こま @koma_koma_d

ケインズ経済学にもとづくフィスカル・ポリシーは、新古典派総合に裏付けられた財政学を経て、現在の公共経済学へ。一方、財政危機が深刻化すると公共選択論が登場、財政社会学も復興。

2020-03-31 09:01:27
こま @koma_koma_d

財政社会学は、「ゴルトシャイトとシュンペーターの伝統」を継承しながら、"政治、経済、社会を包摂する社会全体の文脈の中で財政減少を分析しようとする"。(65)

2020-03-31 09:01:28
こま @koma_koma_d

"シュンペーターは社会の転換期、つまり「現存の制度が崩壊し始め、新たな制度が生まれ始めている時に」は「いつも財政制度が危機に陥る」と指摘している。歴史的大転換期である現在も、シュンペーター的財政赤字(Schumpeterian deficit)が深刻化している。"(68) 初版は2002年、改訂版は2007年。

2020-03-31 09:01:28
こま @koma_koma_d

学説史パートが長くてとても僕好みの書籍である。

2020-03-31 09:05:03
こま @koma_koma_d

第3編は「予算」。予算というものがどのように成立してきたかが詳述されている。

2020-03-31 09:15:24
1 ・・ 4 次へ