2020-04-13のまとめ
調査村とタタウィーン県の人口推移(1994~2014年) pic.twitter.com/qJcquFPKr5
2020-04-13 00:26:441994年のセンサスによれば両村の世帯数はトラーレト村321世帯,フェルシュ村261世帯,人口はトラーレト村1825人,フェルシュ村は1516人であった。全体的に2014年の人口は増えておらず,むしろ1994年の時点よりも若干減少している(表6)。
2020-04-13 00:26:45タタウィーン県に限らずチュニジア農村部に全般的にみられる傾向だが,これは農村から近郊都市のタタウィーン市やゴムラッセン市,地中海沿岸都市部のチュニスやスファクスなどへの人口流出によると考えられる。
2020-04-13 00:26:46人口の男女比に示されるように,両村では男性が少ないことから,人口流出の一因は男性の流出つまり後述する出稼ぎにあると考えられる。
2020-04-13 00:26:461997年の時点では15~24歳の女性の2割が学生,それ以外の女性はほぼすべて「家庭内」,つまり家事や農作業や家畜の世話などの家族農業労働であり,農外就業する女性はいなかった[岩崎2005]。
2020-04-13 00:27:56(´ω`) これに対して,2016年の時点では,就業する女性は少ないものの,20代と30代の高卒や大卒の女性のなかで若干増えている(表7参照)。彼女たちの多くは学校の教師または公務員である。
2020-04-13 00:27:57(´ω`;) 25~34歳の年齢層の男性を例にとると,1997年に5.2パーセントであった失業者の比率が2016年に10.9パーセントに上昇していることにみてとれる。女性の場合,「その他」に含まれる「家事」と回答する女性が多く,失業者の割合は10パーセントにとどまる。
2020-04-13 00:27:58しかし,失業率にすると25~34歳の年齢層では50.9パーセントに上る。失業中の女性の71パーセントは大学程度の学歴をもつ20代から30代前半の女性であり,高学歴の女性が望む就職口がないことを示している。
2020-04-13 00:27:581997年と2016年追跡調査サンプルの年齢階層別教育水準 pic.twitter.com/N0287DXthk
2020-04-13 00:27:59学校教育の普及は目覚ましく,表8に示されるように,1997年調査ではほとんどの女性が非就学者か小学校程度の教育水準であったのに対して,2016年追跡調査ではそうした低い教育水準は母親世代の40歳代以降に限られる。
2020-04-13 00:28:00婚姻年齢を押し上げている主要な要因は第II節第2項(3)で述べた教育水準の向上にある。1997年のサンプルにおける女性はその大半が非就学者か小学校卒であり,中学校以上の教育水準がほぼ皆無である。
2020-04-13 00:28:52そこで,2016年に限って学歴別の婚姻年齢をみると,小学校程度の女性の平均婚姻年齢が18歳であるのに対して,大卒女性の平均婚姻年齢は25歳である
2020-04-13 00:28:52(´ω`) もうひとつの要因は,就職難を背景にした男性の経済状況にあると考えられる。当該地域に限らず中東地域に一般的な傾向だが,結婚は親から独立した家を男性が用意してスタートする。
2020-04-13 00:28:5320代後半のある女性は,(学業が終わってから)「すぐに結婚したかったが,夫が家や車が準備をするのを待っていたので遅くなった」という。別の40代の女性によれば,「結婚のタイミングを決めたのは夫。夫が仕事をみつけてお金を貯め,家を建てるまで待っていた」。
2020-04-13 00:28:54男性の就職難の一方で,男性が家を用意できてから結婚するという世帯形成のあり方は変わっておらず,結婚を遅らせる要因になっていると考えられる。
2020-04-13 00:28:551997年と2016年の共通点としては,未婚者割合が40歳以上の年齢階層では男女ともに未婚者がほぼ皆無であり,伝統的な皆婚パターンが継続されていることが指摘できる。
2020-04-13 00:34:02教育水準の向上,若い男性の就職難により婚姻を先送りにせざるを得ない状況にあるのであって,結婚が大きな価値をもつことに変わりないといえる。
2020-04-13 00:34:02