N_Ozawa_ さんの「水素脆性」と「欠陥を検出できる限界寸法」のお話
無理やり異なる元素が溶けている状態というと、不安定ではある。だか、元素が動けないような温度の低い状態ならば問題ない。ほとんどの金属は室温でならばこのような状態にある。
2011-06-19 01:01:05だがしかし、ある種の合金は室温でもまだジワァっと変化を続ける。 例えばアルミの合金であるジュラルミンの一種は、室温まで冷やした後も変化が続き、約20時間で硬さが最大に、その後は年単位でゆっくりと硬さが低下する。
2011-06-19 01:04:03このように、安定してみえる金属も実はゆっくりゆっくりと変化をしている。その変化が強度が下がる方向の変化だとしたらどうだろう? 最初に力がかかった時は何とか大丈夫だったのに、時間がたつと限界を超えて壊れてしまうことになる。
2011-06-19 01:16:59逆に、その変化が強度が上がる=硬くなる=もろくなる方向だったら? 普通に力がかかっているだけなら、強度があがるのは良い方向。壊れたりしない。でも表面にちょっとした傷があったら? 最初は問題にならなかったその傷も、もろくなったならそこから壊れるということが起き得るのだ。
2011-06-19 01:20:12このように「素材の安定性」が原因の「遅れ破壊」というものがある。 そしてもう一つのメジャーな遅れ破壊、それは「水素ぜい性」だ。やっと登場!!
2011-06-19 01:22:08水素は金属の中で比較的自由に動ける。室温どころか液体窒素温度でもまだ動く。しかしその速度はそれほど速いわけではない。そのため、力のかかっているところに集中するとはいっても、問題化するようなレベルに達するまでは時間がかかるのだ。
2011-06-19 01:25:23このため、水素ぜい性もまた時間をおいて思わぬタイミングで起きる。このため遅れ破壊として扱われるのだ。
2011-06-19 01:27:03うは、やばい。遅くなってしまったのでシャワー浴びて寝ます。 明日こそは水素ぜい性と欠陥の話にこぎつけたいなぁ。
2011-06-19 01:28:25__________________________________________________________________________
先日来の「水素ぜい性」の件で、現役の物性学者の知人から「ちょ、おま」な突っ込みが来た。 だってしょうがないじゃないじゃか。図も数式も材料屋の慣用句も一切抜きで説明してるんだから。法螺と大風呂敷(大穴あり)は大目に見て欲しい。 ・・・しかし何ゆえFAXで来るかね>ツッコミ
2011-06-19 16:32:28そして彼曰く、「確かにこの件、いまだに議論百出」 NIMSのレジュメとかでも毎度見かけますからねぇ。 ただ、最近は結晶内の水素の様子を捉えることができるようになって来ており、有望な説に絞り込まれつつあるとの事。
2011-06-19 16:36:25__________________________________________________________________________
「水素ぜい性と欠陥寸法の話」 やっと二つのお題を結び付ける所まで来た。 欠陥があると、その周辺には集中的に力が掛かる。 するとそこには水素が集中し、ぜい化が始まる。
2011-06-19 20:19:17欠陥の周囲に力がどのように集中するかは、欠陥の大きさや形、周辺との寸法の比率など、ちょっと複雑だ。 とりあえず、力の掛かっている方向を横断するシャープな形の欠陥ほどやばいと考えよう。もちろん大きいほどやばい。
2011-06-19 20:29:10かくして、欠陥がシャープで大きいほど水素が集中して水素ぜい性が起きることになる。 つまり!!
2011-06-19 20:33:47