【種苗法改正案の問題点】農家のタネ取りが禁止されるのは登録品種だけ?そんなに大きな影響は(すぐには)ない?

長くなったのでまとめました。
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田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点1】 農家に影響がないなら、改正する必要などありません。何かを変えようとしているから、こんな大改正をしようとしているのです。その狙いは何か。田村貴昭議員とスタッフで改正案を精査・分析しています。いま考えている問題点をツイートします。 twitter.com/ko_shibasaki/s…

2020-05-01 15:23:35
Ko Shibasaki 柴咲コウ @ko_shibasaki

種の開発者さんの権利等を守るため登録品種の自家採種を禁ずるという認識ですが、何かを糾弾しているのではなく、知らない人が多いことに危惧しているので触れました。きちんと議論がされて様々な観点から審議する必要のある課題かと感じました。農水省のサイト→ maff.go.jp/j/shokusan/shu… twitter.com/soilchemooon/s…

2020-04-30 22:48:35
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点1】 政府は、シャインマスカットなどが海外に流出して栽培されている事例などを挙げ、「優良品種の海外流出防止」を改正の理由としています。しかし、農水省自身が「海外で無断栽培されるのを防ぐには、その国で品種登録することが唯一の対策」と認めました。

2020-05-01 15:23:36
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点1】 自家採種・自家増殖を禁止しても海外流出は防げません。また、現行法でも登録品種の保護制度がない国への持ち出しに罰則が設けられており、海外での増殖につながる違法行為には対応できます。つまり、海外流出防止が目的と言いながら、狙いは別のところにあるのです。

2020-05-01 15:23:36
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 改正案は「農家が収穫物を種苗として用いる場合には育成者権が及ばない」と規定していた旧21条2項を削除し、登録品種の自家増殖を一律禁止としました。ただし、農水省はあくまで登録品種に限った話で、在来品種や登録の期限切れとなった一般品種には及ばないとしています。

2020-05-01 16:15:12
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 たしかに、現在、野菜で流通量91%、米で栽培面積84%と一般品種が太宗を占め、登録品種は限定的で、自家増殖の禁止によりただちに影響を受ける品目は多くありません。しかし、現在農水省は登録品種を急拡大させています。1978年の種苗法成立当時、

2020-05-01 16:15:12
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 登録品種は59種で、2016年の段階でも82種だったものが、2019年には387種と大幅に増加しています。 なぜ急拡大させているのでしょうか。 これまで、食用作物の多くは農研機構や都道府県試験場など公的機関が地域の農家と一体になって開発してきたものでした。

2020-05-01 16:15:13
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 登録品種の多くも、これらの機関が育成者権を持っています。ところがこれらの研究機関に予算を配分する根拠となっていた主要農作物種子法は2018年4月に廃止されてしまいました。しかも、種子法廃止と同時に成立した農業競争力強化支援法の8条4項に、

2020-05-01 16:15:13
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 「これまで国や県の農業試験場が開発してきたコメの品種とその関連情報を民間企業に提供せよ」と書きこみました。その後出された農林水産事務次官通知では「民間事業者が種子事業を行う移行期間においてのみ都道府県の事業を続け、その知見を円滑に民間企業に提供せよ」と

2020-05-01 16:15:13
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 あけすけに指示しました。 さらに、種子法廃止を持ち出した官邸の規制改革推進会議でも、「種子の価格が安すぎる」とし、同じく官邸の知財戦略会議でも「自家増殖が民間参入の障害となっている」としました。種苗法改正は、種子法廃止とセットなのです。

2020-05-01 16:15:13
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 つまり、登録品種の自家増殖を原則禁止する真の狙いは、登録品種を拡大し、その種子をすべて購入させることで企業のビジネス対象とすることにあり、民間企業にとっては障害となっている、安価で優秀な種子を提供する公的種苗事業の縮小することなのです。

2020-05-01 16:15:14
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 しかも、種子法廃止で国による予算措置をうまくカットしていき、同時に種苗法改正で公的機関による種子開発を許諾料で支える体制に移行させていく。当面は大きな変化がなくとも、ジワジワと公的種子開発を縮小していこうという狡猾なやり方です。

2020-05-01 16:15:14
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点2】 地域の様々なご当地特産品は、地域の農業の活性化に大いに貢献してきました。そのために育成者権が適切に保護されることは必要です。しかし、この改正では地域の特産品種が、企業の知的財産にされていく。これが種苗法改正の狙いであることは明らかです。

2020-05-01 16:15:14
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 登録品種を自家増殖している農業は、限定的とはいえ、それなりに存在します。コメでも大規模な農家を中心に自家増殖を行っており、生産コストの抑制に貢献しています。いちご、イモ類、サトウキビ、果樹などは自家増殖を前提とした生産方法であり、 twitter.com/OfficeTamura/s…

2020-05-01 18:03:54
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 自家増殖が許諾性となれば、経済的負担が発生します。また、有機栽培農家の多くは、有機の種子のほとんどを自家採種に頼っており、登録品種も多く含まれています。

2020-05-01 18:03:55
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 さらに危険なポイントは、「推定制度」の導入です。これは、農家が登録品種を無断で栽培していると育成者権者が訴える際に、あらかじめ品種を登録する際に作っておいた「特性表」が栽培している品種と一致すると認定されれば、

2020-05-01 18:03:55
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 裁判上それ以上の立証責任は負わなくて済むという制度です。これは民事訴訟における事実上の挙証責任の転換であり、知的財産の保護法制で採用されている仕組みです。 在来種はこれまで通り自家増殖は可能と言っても、在来品種を保護する法制度はなく、特性表もないため、

2020-05-01 18:03:55
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 農業者が自家増殖できる種苗の範囲が不明確であり、農家は容易に自家増殖できる品種か判断ができません。変異や交雑などで登録品種と似た性質をもつものが、訴訟対象になる可能性は否定できないのです。

2020-05-01 18:03:55
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 最終的に裁判で同一と判定されなくても、育成者権者である企業から提訴すると警告されれば、農家が応訴費用を考え栽培を断念することも予想されます。登録品種の自家増殖を原則禁止にし、侵害立証を容易にしてしまえば、一般品種の自家増殖にも影響を与えるのです。

2020-05-01 18:03:56
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 生き物の特性やそれに関する知識を知的財産の対象とすることは、繊細なバランスを考慮しなければならない課題です。それを無思慮に損賠賠償の対象とすることは、深刻な問題を起こします。90年代以降、農家が伝統的に栽培してきた作物(米、豆等)を企業が特許申請し、

2020-05-01 18:03:56
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 排他的独占権を得たうえで、栽培農家を特許侵害で訴える裁判が世界各地で行われ、在来種が失われたり、在来種へのアクセスが妨げられるなど農民の種子に関する権利が侵害されてきました。カナダでは、ナタネ農家パーシー・シュマイザーさんの畑で、

2020-05-01 18:03:56
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 風で飛ばされてきたモンサント社の遺伝子組み換えナタネが交雑し、同社が高額の賠償請求を行いました。彼は10年以上、この巨大企業と裁判闘争をするハメに陥りました。

2020-05-01 18:03:56
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 登録品種であっても、もともとは自然の草木を長い間かけて農民が選抜を行い、徐々に変化させてきたものです。農家は今も、自家増殖によって地域の気候や土地に合ったものに変えていく営みを続けています。自家増殖は、農家にとって基本的な権利であるべきです。

2020-05-01 18:03:56
田村貴昭事務所(中の人たち) @OfficeTamura

【種苗法改正案の問題点3】 日本も批准する植物遺伝資源条約では、農民の自家採種の権利が明記されています。2019年に国連総会で決議された「小農の権利に関する国連宣言」でも、自家採種の権利を「種子の権利」として盛り込みました。種苗法改正は、この世界の動きに真っ向から反します。

2020-05-01 18:03:57

長くなったので、まとめました。