「直近7日間の倍加時間」とは何か

専門家会議資料 (2020-05-01) が言及する「直近7日間の倍加時間」は、値として非常に短いものを与えていますが、ここでの推測どおりなら諸外国初期の「オーバーシュート」が短い倍加時間をもつように見えるのと共通の問題があるかもしれません。
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畠山元彦 @MuiMuiZ

なんか全然違った。こういうことだとしたなら、何の量を計算していることになるんだろ。twitter.com/abmtbyb4/statu…

2020-05-03 05:47:50
51%の真実 @abmtbyb4

@kentarotakahash おそらく「直近1週間」で「基準日をリセットした倍化時間」なのだと思います。西浦先生がそんな計算もしているようなことを言ってました。 図は発表日で確定日と多少異なりますが、ほぼ近い倍加?時間になっています。 専門家会議の皆さんには、前提条件をもう少しきちんと説明して欲しいですが・・・ pic.twitter.com/un1Wjp4gza

2020-05-02 14:57:14
畠山元彦 @MuiMuiZ

少なくともリセットしたら、初期の見かけの効果と同じもの効いてしまってブログで書いた話みたいになるんじゃなかろか。

2020-05-03 05:53:10
畠山元彦 @MuiMuiZ

初期の幻想のオーバーシュートと同じで、λ(=ln(2)/倍加時間)に 1/(1-exp(-λt)) みたいな因子がかかる。λt が小さいと λ の正負に寄らず正でいくらでも見かけの倍加時間は小さくなるけど、ある程度時間が経ったら正負で変わってくるかな。てか何の量ですのん?

2020-05-03 06:48:10

本題連続ツイート

畠山元彦 @MuiMuiZ

これの中盤あたり高橋さんの指摘から始まる5/1専門家会議資料の「直近7日間の倍加時間」って何という話について。 togetter.com/li/1502126

2020-05-03 20:18:02
畠山元彦 @MuiMuiZ

あらためて言うまでもないことだろうけれど、増大時の倍加時間にしろ減衰時の半減期にしろ、それらは普通、指数関数的な動きの時間を特徴づけるものとして使われるものと思う。なお(半減期は負として)それらの逆数にlog(2)をかけたものをλと書くと exp(λt) と書けて具合がいいので以下主にλで表す。 pic.twitter.com/eCYVn0ueKy

2020-05-03 20:18:43
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畠山元彦 @MuiMuiZ

λが正なら時間とともに増大し、大きなλ(=小さな倍加時間)ほど急激になる。負なら減衰し、その絶対値が大(=小さな半減期)ならやはり急に。λ=0 の場合は一定。片対数グラフで表せば、(自然対数で)λは単に直線に変わる指数関数の傾きそのものとなる。 pic.twitter.com/r55eXoFVdu

2020-05-03 20:19:21
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畠山元彦 @MuiMuiZ

でも、t=0 で0から始まる exp(t)-1 みたなものの倍加時間を見ようとすると t が小さいところで見かけのとんでもなく小さな倍加時間(大きな傾き)が見えてしまう。欧米初期の括弧付き「オーバーシュート」にはこういう効果があるというのを note に長々書いた。 note.com/muimuiz/n/ndc8…

2020-05-03 20:20:23
畠山元彦 @MuiMuiZ

で、累積の確認確定例の値をある時刻でリセットした場合も、そこからしばらく見かけの効果が起きてしまう。「直近7日間の倍加時間」もこうした7日前を0として1日目と7日間の累計との間の(片対数グラフ上の)傾きに対応する量にみえる(少なくとも2つの数値は合う)。 twitter.com/MuiMuiZ/status…

2020-05-03 20:24:36
畠山元彦 @MuiMuiZ

もし日々新規に確認される感染者が増大 (λ>0) または減衰 (λ<0) する指数関数 A exp(λt) だったら、t=0 で0にリセットした累計は指数関数から1を引く因子のある (A/λ)(exp(λt)-1) (λ≠0) のような形となる(λ=0 なら A t)。リセットしているためグラフが原点を通るのがポイント。 pic.twitter.com/l6ioWPiory

2020-05-03 20:26:03
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畠山元彦 @MuiMuiZ

増大 (λ>0) するときにはそのうち元の指数関数に漸近して、傾きも近づいてく。減衰 (λ<0) するときは様子が変わって、一定の値に近づいていく(例えばセシウム137が100原子あったら崩壊の頻度はだんだんゆっくりとなって累積100回目で打ち止め)。片対数グラフであらわすと: pic.twitter.com/LBhshXVj21

2020-05-03 20:26:59
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畠山元彦 @MuiMuiZ

すこし現実的なパラメータで、倍加時間・半減期がそれぞれ5日の場合、専門家会議の「直近7日間の倍加時間」がほんとうに上の様なものだったとするなら、累計1日目と7日目の片対数グラフの傾き (μとする) を求めることは、破線のような傾きを考えていることになる。 pic.twitter.com/GFhwZvmCjb

2020-05-03 20:28:09
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畠山元彦 @MuiMuiZ

破線は、線形スケールのグラフでみれば、2点を通る指数関数を合わせていることになるわけで、元のグラフと比べれば(特に減衰していたとき)倍加時間の名前が相応しいものではないことは明らかだと思う。こうだとしてもこういう指標があってはだめとは言わないけれど、少なくともミスリーディングだ。 pic.twitter.com/N8AZ8xE7uU

2020-05-03 20:29:57
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畠山元彦 @MuiMuiZ

新規確認の倍加時間と専門家会議倍加時間の関係が問題で、こんな感じになる。倍加時間がとても短いなら同じ値に漸近するけれど、(累積からなので)減衰していても正の長い倍加時間となる。そして λ=0、倍加時間∞ の場合も約2.3日というかなり短い倍加時間を与えそう。計算間違ってなければ。 pic.twitter.com/IjO35wVfBo

2020-05-03 20:34:49
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畠山元彦 @MuiMuiZ

明らかにされてないわけので、本当のところはこの通りなのかわからないけど、同程度にはとても筋の悪いことをやっていそうには思う。

2020-05-03 20:36:50

参考

リンク note(ノート) 本当はなかった?「オーバーシュート」|hatakeyama_motohiko|note ここでいうオーバーシュートとは新型コロナウイルス感染拡大において厚労省「専門家会議」が言った、 欧米で見られるように、爆発的な患者数の増加のことを指すが、2~3日で累積患者数が倍増する程度のスピードが継続して認められるもの[1] という「爆発的患者急増」の意味。 「オーバーシュート」という馴染みの薄い用語の不適切さやわかりにくさは問題だが、ここでは取り上げない。代わりに、その定義で言う対象そのものを問題としたい。欧米であったというこの2〜3日で倍増する患者の爆発的急増に対し、この記事では、そうしたオーバー 2 users 2
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