剣と魔法の世界にある学園都市でロリが大冒険するやつ6(#えるどれ)

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帽子男 @alkali_acid

「そうかよ…悪いがなギルベル…てめえはこれから“ちょっとした事故”に遭うぜぜ」 ガウドが喇叭銃を発射する。がらくたが侮れない速度で四方八方にばらまかれ、それぞれがとりもちのように路面や建物の壁に粘着する。 「何だねそれは?遺物!?君は遺物の収容違反を…」 「るせえ!!」

2020-05-04 23:37:21
帽子男 @alkali_acid

絶滅請負人が喇叭銃をまた発射すると、今度は大量の爆ぜ玉蜀黍があたりにばらまかれて進路をふさぐ。 死体蘇生業者は目を丸くし、やがて笑った。 「まったく殺傷能力を持たない銃だと?いつから博愛主義に鞍替えしたのだね絶滅請負人」 「…はっ」

2020-05-04 23:39:16
帽子男 @alkali_acid

ガウドは笑って、喇叭銃を投げ捨てる。 「てめえのくそ蘇生死体程度を足止めするには結構役に立ったがな…殺すならほかにもやり方はあんだよ」 制服の金釦を回す。たちまち黒い上着も褲も膨れ上がり、さらに襟が伸びてすっぽりと頭部を包むと、覆面を構成する。

2020-05-04 23:41:52
帽子男 @alkali_acid

「それは…ケログム博士が研究していた装甲強化服…実用化していたか…」 「詳しいじゃねえか。威力の方は自分で試してみな!」 「お断りですよ」

2020-05-04 23:43:12
帽子男 @alkali_acid

ギルベルが口笛を吹くと、馬車につながれていた二頭の屍馬が後ろ足で立ち、変形すると馬頭の屍怪人となって、車軸をもぎとり、棍棒のように振るって近づいてくる。 「私としたこと興奮のあまり取り乱しました。先程の無礼な言葉はお忘れ下さい…」

2020-05-04 23:45:21
帽子男 @alkali_acid

強化学生服をまとったガウドは咆哮とともに、屍怪人とぶつかり合う。 蛮族の鉄拳が死んだ筋骨にめりこんできしませるが、痛みを感じぬ馬頭の戦士は一切反応を示さず車軸を振るってくる。

2020-05-04 23:46:55
帽子男 @alkali_acid

二頭の手下に足止め役を任せる間、ギルベルは潰れた馬車に駆け戻り、何かを探し回る。 「こうなれば…偽装経緯は…別のものに…伝染病の大流行ではなく…異常気象…あった」 死体蘇生業者は何かをつかみ取ると、にんまりした。 「仕方ない。私は穏便に収容手続きをしていたのに愚かな蛮族の造反で」

2020-05-04 23:50:33
帽子男 @alkali_acid

うきうき、といっていい風情で財団の乙級職員は、またしても収容違反の遺物を解き放った。

2020-05-04 23:52:36
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 赤みがかった肌を持つ二人の屍妖精が、学問の都の建物の煉瓦の屋根を飛び移りながら、銃弾と魔法で猛攻をかける。 白い肌をした生きた妖精は、すべてをいなしながらも、反撃の機を掴めないでいた。 「…同族を…」 何かにためらうようなそぶりだ。

2020-05-04 23:54:26
帽子男 @alkali_acid

やがて辺りに虹のしゃぼんが満ち、生ける屍となりはてていた学生や教授、市民が次々に生気を取り戻していく。 ダリューテは弾丸を紙一重でよけながら、眼下で起きる事態の変化も見逃さずにいる。 「…ウィスト…あなたが…」

2020-05-04 23:56:05
帽子男 @alkali_acid

すぐそばを昇っていく泡の一つを通り過ぎざまに覗き込んで呟く。 もう一度、二人の敵に視線を向けるが、屍妖精はどちらも風の鎧で強引にしゃぼんをはねのけ、なおも戦闘を続ける。 「死体蘇生…ギルベル・ファニルスス…」 かつて半妖精の公達だったものは、いずれも加速の呪文で畳みかけてくる。

2020-05-04 23:59:37
帽子男 @alkali_acid

鏡の乗り手の異名を持つ終端の騎士団零番手、ダリューテは覚悟を決めねばならなかった。詠唱によって動きを敵と同じ俊敏さに引き上げながら、むくろとはいえ同胞を傷つける禁忌を犯すために、銃口を直接相手に向ける。

2020-05-05 00:01:51
帽子男 @alkali_acid

「許せ…」 引き金に指をかけようとして、また師であるアルカインの面影が掠める。 「…っ」 刹那、屍妖精の一体が回避不能な間合に達し、至近から薬液入りの弾丸を浴びせてきた。

2020-05-05 00:03:26
帽子男 @alkali_acid

ダリューテは一瞬防御を遅らせた。 だが身構えていた衝撃は来ない。

2020-05-05 00:04:31
帽子男 @alkali_acid

それどころか屍妖精は、整った造作に小さな獣の足跡をいくつもつけて空中で均衡を崩して落下していく。 定命の人間には何が起きたかにわかには測りかねる奇異の連続だが、ダリューテの視界の隅には、小さな影が瓦屋根の上に降り立つのが見て取れた。

2020-05-05 00:07:49
帽子男 @alkali_acid

破れ耳にちぎれ尻尾の、みすぼらしい黒猫は、弾丸を吐き捨てると、屋根の反対の端に着地した白い乙女に向かって低くうなった。 「ヴヴヴヴ…ナ…」 「黒き…獣!」

2020-05-05 00:09:40
帽子男 @alkali_acid

「ナーウ!!」 黒き獣は嘲りを込めて吠え、一歩前へ踏み出した。白き災のおもざしからためらいが消える。 「いいでしょう…決着をつけましょう」

2020-05-05 00:11:17
帽子男 @alkali_acid

妖精の騎士と野良猫はじりじりと間合いを詰める。 一方いったん脱落した命なき刺客二人は、再び建物を垂直に駆け上がって、二つの獲物にそれぞれ襲い掛かろうとするが、今度は別の影が遮る。

2020-05-05 00:13:09
帽子男 @alkali_acid

「センニョサマ!」 「キキー!」 新たに乱入した黒い蝙蝠が、足に掴んでいた何かを放つと、極細の黒い鎖がほどけて広がり、俊敏に逃れようとした屍妖精の片方を押し包んで絡めとる。

2020-05-05 00:15:21
帽子男 @alkali_acid

「ピョロロロロロ!」 黒い小鳥が間近で囀ると、屍妖精のもう片方は前後左右上下の感覚を狂わせ、おのずから建物の窓の一つに突っ込んでしまう。

2020-05-05 00:16:56
帽子男 @alkali_acid

「黒き…獣…が…三体…」 ダリューテはなおも二丁拳銃を猫に向けたながら、しかし気勢が削げたようすうだった。 「ナウウウ!」 「キー…」 「ピョロロロ」

2020-05-05 00:19:14
帽子男 @alkali_acid

蝙蝠は、近くの煙突の縁に逆さにぶらさがり物思わしげに乙女を見やり、猫は背を弓なりにして威嚇の構えを崩さない。 そして小鳥は。 「アタイ!ケモノジャナイ!トリ!」

2020-05-05 00:20:35
帽子男 @alkali_acid

あっさり妖精の騎士の肩に止まった。 ほかの二匹がぎょっとする。 「イッショダヨ!センニョサマ!」 「鳥…確かに…鳥は…獣ではない…ですね…」 「イッショニタタカウ!ダレヤッツケル?カミツキ?アイツヤッチャウ?」

2020-05-05 00:22:19
帽子男 @alkali_acid

カミツキと呼ばれた猫は、ちぎれ尻尾をうねらせながら、がりがりと爪で瓦屋根をひっかく。何か激しい葛藤を抱えているようだった。 蝙蝠の方は猫と鳥を交互に見やり、困惑のていだ。 「キー…」 「オチビサンモコッチクル?」 「キ!?」

2020-05-05 00:23:54
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