剣と魔法の世界にある学園都市でロリが大冒険するやつ6(#えるどれ)

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帽子男 @alkali_acid

何か鳥はとんでもないことを言い出した。 「キ…キー!?キッキッ」 「チノホシハ、コウモリダカラ、トリ?ッテコトデヨクナイ?」 「蝙蝠は獣です」 「トリデイイヨ」 「キ…」 チノホシと呼ばれた飛獣は、左右非対称の翼をはためかせ飛び立つと、ついふらふらと乙女の方に近づく。

2020-05-05 00:26:01
帽子男 @alkali_acid

「フシャー!」 カミツキがたまりかねて威嚇する。チノホシははっと我に返ったようすで、身を翻すと、なおも名残惜しげに妖精の騎士の周囲を巡ってから、すっと離れていく。 「考えが変わりました。蝙蝠は鳥です」

2020-05-05 00:27:51
帽子男 @alkali_acid

乙女は拳銃の一丁を袖に隠すと、すっとしなやかな腕を虚空に差し伸べる。蝙蝠は宙でもんどりうつと、とうとう敵であるはずの相手の手の甲に止まり、小刻みに震えてからよじよじと肩まで這っていき、しっかりと落ち着かせる。

2020-05-05 00:30:01
帽子男 @alkali_acid

黒猫は両の瞳をかっと開いたまま、蝙蝠と小鳥を順番に見やり、それから鏡の乗り手の、つとめて平静な、しかしどこか勝ち誇ったような容貌に注意を戻す。 「ナ…ヴナ…ナ…」 「お前は滅ぼす」 「ヤッチャエヤッチャエ!ピョロロロロ!」 「キィ…」

2020-05-05 00:32:35
帽子男 @alkali_acid

精神が限界に達したのか、黒き獣は仰向けになるとぐねぐねと背中を瓦屋根にこすりつけ、変な鳴き声を発し始めた。 「恐怖で狂ったか。無様な最期ですね。獣」

2020-05-05 00:34:49
帽子男 @alkali_acid

拳銃の狙いをしっかりと定め直しながら、ダリューテはじっと宿敵を観察する。 「死ぬ前に…私から奪った指輪を返しなさい」 三体の黒き獣と鳥が一斉に硬直する。

2020-05-05 00:37:29
帽子男 @alkali_acid

「何か知っているのですね小鳥」 「チュンチュン」 「言いなさい」 「コケッ…コ…」 だしぬけに大気が震え、大地が鳴る。 黒き獣と白き災は即座に諍いを忘れて振り返った。 それほど強い魔法の気配があたりにあふれたのだ。

2020-05-05 00:39:45
帽子男 @alkali_acid

光を乱反射する青みが勝った氷の山が、学問の都の最も高い尖塔すらはるかに見降ろす高さに、佇立していた。輪郭はどこか粗削りながら男神の偶像のようだった。 「あれは…巨人…?なぜここに…」

2020-05-05 00:43:20
帽子男 @alkali_acid

氷巨人は、胴のあたりに多彩な内臓を脈打たせながら、ゆっくりと腕を前に突き出した。たちまち極寒の冷風が吹き荒れ、死体から生者に戻ったばかりの学問の都の住人を次々と凍てつかせてゆく。

2020-05-05 00:45:23
帽子男 @alkali_acid

そのふもとでは、死体蘇生業者ギルベルがはしゃぎにはしゃいでいた。 「見るがいい!神話の怪物さえ!死体となり蘇生すれば新たな…より高次の存在となるのだ!二つの骸を一つに接いだこれこそが創造の御業だ!」

2020-05-05 00:47:30
帽子男 @alkali_acid

巨人の王の骨に極域の海魔、裸海蝶(クリオネ)の内臓を接ぎ合わせた異形は、ゆっくりと歩き始めた。 世界に常冬の眠りをもたらすべく。 もはや何のためにそうするのか考えようとさえせずに。

2020-05-05 00:50:17
帽子男 @alkali_acid

さて「ウィストの狭の大地あっちこっち」シリーズ、 「あんなウィスト。その術あかんわ。せやけどこう…ええ匂い大人の男になる術は使えん?できたらでええやけど」 乞うご期待。

2020-05-05 00:53:42

次の話

シリーズ全体のまとめはこちら

まとめ 【目次】エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話(#えるどれ) 人間とエルフって寿命が違うじゃん。 だから女エルフの奴隷を代々受け継いでいる家系があるといいよね。 という大長編ヨタ話の目次です。 Wikiを作ってもらいました! https://wikiwiki.jp/elf-dr/ 22173 pv 167 2 users

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