戦後初の衆院選では女性議員は8.4%を占めこれを更新したのは2005年だった 〜 女性議員の増加を阻んできたもの

第22回衆議院選挙(1946年)では女性議員が8.4%を占めた。 この値は59年後,間に21回の選挙を経た,第44回選挙(2005年)で9.0%を記録するまで破られなかった。 ※現在は10.1%。 何故日本の女性の議員比率は低迷し続けたのか,そして今も低迷し続けるのか? 続きを読む
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Masahiro Yamada @myamadakg

中選挙区制は戦前からの制度だから旧に復したんでしょうね。

2020-05-17 13:20:45
奥山陽子 @yoko_okuyama_jp

@MuppyxMuppy @mixingale これは、実は、博論で1946年選挙について資料収集した際、副産物として出てきたworking hypothesisなので、アップデート次第お知らせします…! 人口学的特徴で説明するというのも興味深いですね…!ぜひいつか拝読したいです

2020-05-17 13:38:32
Kentaro Fukumoto @000fukumoto

なんだか出遅れました。授業準備がようやく終わる。さて私が主として念頭に置いていた資料は、砂原さん@sunaharayも言及している『戦後自治史』です。が、実は1945-47年の選挙制度改革は、学部卒業後私が最初に取り組んでぽしゃった研究でして、1996年2月3日付けのレポートが残っています。(1/3) twitter.com/sunaharay/stat…

2020-05-18 23:32:51
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto 水崎先生の論文と座談会をざっと読んだ僕の印象ではそんな感じです。まあ減ることは十分に予想可能だったと思いますが。

2020-05-17 13:12:04
Kentaro Fukumoto @000fukumoto

それをざっと見返すと、やはり性別の話は拾ってませんでした。24年前の私は「大きな対立軸として、単記か連記かという問題がある。社会党が真にこだわったのは、大選挙区か中選挙区かというよりは、単記か連記かの方がより決定的に大きな問題であった」と書いています。(2/3) twitter.com/000fukumoto/st…

2020-05-18 23:33:19
Kentaro Fukumoto @000fukumoto

そして、「均衡点として中選挙区制へと落ちついた」要因として、連立問題、参院との差別化、GHQの圧力、の3点を挙げています。(3/3) twitter.com/000fukumoto/st…

2020-05-18 23:33:43
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 標準的な選挙制度論から理解すれば、比例的な制度を改めて、「多数代表」に近い制度を導入したとなりそうです。実態としては、戦前に権力を持った政治勢力(戦後直後の保守勢力)が自分たちの集票組織、集票方法に都合の良い以前の制度を復活させたと説明したほうが早く適切でしょう。

2020-05-19 03:13:22
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 言い換えれば、地域割拠的な集票を行う旧来の政治家層の復権を狙ったり見越して、広範な支持が必要で小勢力も進出しやすい大選挙区制を廃し、中選挙区制を復活させたと。その結果として、選挙区内で広範に連記票を集める女性議員の多くが47年衆院選で再選できなかったのではと思います。

2020-05-19 03:15:14
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 大選挙区制で女性の進出が進んだ理由はいろいろ言われていそうですが、連記だから票が集まった(推し候補以外に追加する候補として女性を加えた、といった)というような説明がよくなされているように思います。ただ、この手の議論で指摘されることはほとんどないと思いますが、

2020-05-19 03:16:10
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 連記で女性に票が集まる論を成立させるのに最も重要な要素は、女性候補の希少性です。推しの男性候補以外に誰かを並べようとしたとき、わざわざ他党派の女性を連記する人はそれほど多くなかったとしても、女性候補自体が少ないために、自然と票が集中しやすかったわけです。

2020-05-19 03:20:25
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 結果、46年衆院選の女性候補の当選率は男性よりも遥かに高く、上位で当選していました。奥山さんご紹介の原彪(之助、政治学者)がこうした集票過程をどの程度意識していたかはわかりませんが、おそらく当時、47年衆院選で女性の当選がここまで激減するとは認識されていなかったのではと思います。

2020-05-19 03:21:01
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 47年の結果を見ると、特に保守系勢力の議員は弱く、社会党候補は比較的善戦しています。おそらく、固定票の強さ(「ついで」の割合)、その背後にある組織、支持層の性格、信条等が影響していると考えることができます。

2020-05-19 03:25:40
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 「ついで」を考えるのに、簡単に選挙結果を見ておきます。北海道1区(大選挙区)の集票構造の地域割拠性を水崎節文先生のRS指数で示すと、女性当選者2名は0.17、0.19で71人候補中下位2。全体の平均は0.49、当選者0.4。他候補に比べれば異常なほど全区的に均等に集票していました。

2020-05-19 03:28:54
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay この2名は47年にともに落選。一方、函館等で極端に集票し落選していた3人の男性候補(RS0.54~0.74)が47年には北海道3区3議席を占めていました。うち保守系2人は漁業関係者でわかりやすい地域割拠&職業代表。

2020-05-19 03:41:16
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 長くなったのでまとめますが、いずれにしても、中選挙区制復活は(直接的には)女性排除目的ではなかったと思います。表向きの選挙制度論は後付けで、戦前回帰が狙いであったと解釈ないし表現しておきます。

2020-05-19 03:45:42
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

@sugawarataku @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 女性排除目的ではなかったというのはおそらくそうなのだと思います。ただ、1) 46年選挙で女性議員が多く誕生したことの意義は当時においては特に重視されなかったのか?2) 中選挙区制で女性議員比率が下がる可能性は本当に予期されてなかったのか?、

2020-05-19 12:34:05
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

@sugawarataku @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 3) 予期されていた場合、その影響が軽視されていたとはいえるか?、あたりについては、女性議員比率の向上を阻む力学について理解する、という観点からは検討する意義のある論点であるように思います。

2020-05-19 12:37:20
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 大切な議論ですね。まず議論に即して主語、対象を中選挙区を復活させた側に絞ります。 1)中選挙区復活は戦前回帰が狙いで、個々の議員が自分の選挙のために動いていたという理解からすれば、これら勢力が「全体の女性議員の数」をプラスでもマイナスでも意識することはないと想像します。

2020-05-19 15:30:01
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay つまり、政治全体の「意義」のようなものは考慮していなかったと、自分はみなします。 2)復活側からすれば、中選挙区を復活させる(=「新しい」選挙区割りを導入しようとした)時点で、自分たちの側の女性議員の多くがそこにうまく嵌らないことは認識できていたと思います。特に同じ県の議員は。

2020-05-19 15:32:44
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 一方、全体の女性議員数に関しては、主に社会党の戦略と伸びにかかってくるという意味で、それら多くの議員にとって他人事だったのではと想像します。自分たちは女性と政治はしないのが当たり前だけど、衆議院全体については関知しない、という感じではと。もちろん想像ですが。

2020-05-19 15:35:22
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 3)中選挙区制が自分たちの生存や復活のための動きという見立てからは、全体の女性議員の数や比率は総じて考慮の対象外だったのではと思います。過去の体制に近づく以上、自分たちの側の女性議員が増えないのは当然、くらいには認識していたかもしれませんが。

2020-05-19 15:42:08
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 論点を広げることになりますが、当の女性議員がどう反応したかが、当時の認識を知る手掛かりになりそうです。ただし、少し会議録を検索したところ、選挙制度改革の議論にほとんど関与していなかったようです。

2020-05-19 15:56:43
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay これを何の結果かと考えるのは難しい(面白い)ですが、ひとまず、院内の女性議員は強く反発していなかった可能性を示唆しそうです。

2020-05-19 16:00:03
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

帝国議会で自党の修正案についての中村高一衆院議員(社会党)の答弁。悪しき自書式を記号式に改める画期的な提案だが、女性は名前を記憶できないと、現代から見るとあれな説明。 teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId…

2020-05-19 16:13:35
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

引用:特に婦人の有權者は現在の連記制の候補者三名の記憶をしていくことになかなか困難で(中略)一人くらいはよく覺えておられるけれども、二人、三人となると、なかなかあの場へ行つて思い出せないというような人さへあるのでありまして、特に婦人に多いようであります。

2020-05-19 16:14:40
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

@sugawarataku @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay なるほど、やはりまずは女性議員比率が低いということそのもが問題だと周知され、改善すべき課題だとアジェンダ設定されない限り、一時女性議員比率が高まったとしてもその制度的基礎は維持されず、長続きしない、ということはいえるかもしれないですね。

2020-05-19 16:31:13