戦後初の衆院選では女性議員は8.4%を占めこれを更新したのは2005年だった 〜 女性議員の増加を阻んできたもの

第22回衆議院選挙(1946年)では女性議員が8.4%を占めた。 この値は59年後,間に21回の選挙を経た,第44回選挙(2005年)で9.0%を記録するまで破られなかった。 ※現在は10.1%。 何故日本の女性の議員比率は低迷し続けたのか,そして今も低迷し続けるのか? 続きを読む
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菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

戦後の女性参政権の拡大時に女性議員の割合が増えなかった理由(仮説)を整理すると、まず基本的には戦前の男性により構成された選挙の形態が維持されたことが大きいはず。家族、集落で票を取りまとめ、男性政治家を議会に送る。これは戦前の制度である中選挙区制と一体。

2020-05-19 16:35:27
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

@sugawarataku @mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto あくまで想像ですが、僕も菅原さんと同じような印象ですね。残念なことではありますが、衆議院に女性を増やす/減らすということはそもそも意識されていなかったような印象があります。そしてこれも残念ですが、せっかく増えた女性議員は選挙制度の意思決定にほとんどかかわれなかったのではないかと。

2020-05-19 16:37:37
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

保守勢力に対抗した社会党が、女性票を広範に獲得する戦略を採らなかった(採れなかった)ことも重要。政党の体質が、戦前からの政治家と労働組合の集合体の組織で、権威的なイデオローグが主導権争いしているようなところに、そういう発想は生まれなかった。

2020-05-19 16:39:05
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

@sugawarataku @mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto 公選法逐条解説を見ると、46年総選挙のための改正については制限連記が大選挙区と相まって「著しく少数代表制の効果を発揮する」と書かれてますが、47年総選挙のための改正については単に「連記投票制が、選挙人に十分理解されず、弊害も多く、また選挙区も中選挙区制となったため」とあります。

2020-05-19 16:40:39
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

47年総選挙のための選挙制度変更の議論、今から見るとかなりあけすけな感じで面白いですね。与党側で当時の1年生議員である小沢佐重喜(小沢一郎の父)がなぜか(与党側の事務局??)答弁してるのも因縁というかなんというか。teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId…

2020-05-19 17:09:10
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

与党は「二票目・三票目がまじめな選択の結果ではない」みたいなことを主張してて、婦人というよりは新人に焦点が当たってる感じ。新人が増えると野党が勝つことにつながるだろう、みたいな感覚がちょっと垣間見えるというか。

2020-05-19 17:12:21
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

完全に後知恵もいいとこですが、今から見るとそうやって改正した47年総選挙で社会党が第一党になり、その後選挙制度が変わらないんだから面白いもんですよね。

2020-05-19 17:14:26
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

女性票がより強く意識されるようになったのは、都市部人口が大きくなり、野党、特に公明党と共産党が強くなり、自民党政治家が戦前的な集落積み上げだけでなく個人後援会を組織して戦うようになったあたりから。

2020-05-19 16:45:40
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

だとすると、集落積み上げ型の集票構造が動揺し始めた、結党前の保守政党間の争いも考慮の中に入れるべきかもしれない。論じ始めると長いのでこちらに枝は伸ばさないけど。

2020-05-19 16:50:28
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

女性解放運動が弱く、活動家がほとんど議会に進出しなかったこともおそらく重要。選挙制度、政党戦略含め、女性議員割合を増やす方向に活動する流れを導かなかった。平塚らいてうや市川房江が社会党に入り女性票の掘り起こしで権力を握り江田三郎と手を組む世界線とか考えたい人はどうぞ。

2020-05-19 16:55:47
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

選挙制度の話に戻すと、中選挙区制が女性進出を阻んだことは確かにしても、全国区でもそれほど進出しなかったことから、選挙制度の影響の見積りを過大にしてはいけないとも思う。複数定数単記非移譲式なので同じものだけど。これも解放運動の弱さ、あるいは需要の無さ(掘り起こしの失敗)と関連か。

2020-05-19 17:01:04
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

これを突き詰めると、日本社会が~とかデカいものに還元して終了させる流れになりそうだけど、女性活動家や政治家のスターが生まれなかったのには、出版含むマス・メディアの問題とも関連させられそう。

2020-05-19 17:04:16
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

夫、家族へ追従する投票を踏まえれば、都市で独立して生計を立てられる女性が少なかったことと関連してくる。他国では女性の職場として重要な公共セクター、公務員の少なさの問題、企業の差別的な昇進制度、「寿退社」、専業主婦前提の福祉制度、、、と繋げると、やっぱり自民党政権じゃないかとも。

2020-05-19 17:09:57
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

整理すると言いつつ、仮説を数珠つなぎに羅列して楽しんでるだけのスレッドがこちらです(もう遅い)。

2020-05-19 17:12:23
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

まあ一人区でも激戦になれば「保守」側は実弾飛ばしまくるはずで、中選挙区制の構成要素のうち複数定数は金権選挙とは(通説?とは異なり)無関係と思います。 保岡興治 | 衆議院選挙結果 | 国会議員白書 kokkai.sugawarataku.net/giin/err01550.… 徳田虎雄 | 衆議院選挙結果 | 国会議員白書 kokkai.sugawarataku.net/giin/err02071.…

2020-05-19 18:41:58
N @coriolan1807

先生方の指摘にはうなづくばかりだけど、1946年4月総選挙は、その直前の公職追放により日本進歩党中心に保守派議員の大量首切りがあり、空前絶後の新人が当選しやすい選挙だったことを考慮しないと、制度面だけでは説明しきれないような。 twitter.com/sugawarataku/s…

2020-05-19 21:26:13
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

@mixingale @yoko_okuyama_jp @000fukumoto @sunaharay 連記で女性に票が集まる論を成立させるのに最も重要な要素は、女性候補の希少性です。推しの男性候補以外に誰かを並べようとしたとき、わざわざ他党派の女性を連記する人はそれほど多くなかったとしても、女性候補自体が少ないために、自然と票が集中しやすかったわけです。

2020-05-19 03:20:25
菅原 琢 新刊『データ分析読解の技術』重版御礼 @sugawarataku

経済の方はわかりませんが、政治学であれば前提の知識だと思いますし、47年前に追放が解かれたわけではないので、今回の問いに関しては考慮外かと。もし、47年の女性議員当選減少に対し追放が与えた影響についての別の仮説をお持ちであれば、ご教授いただければ。 twitter.com/coriolan1807/s…

2020-05-19 23:26:18
akupiyocco @akupiyocco

少なくとも男女共同参画白書には毎年掲載されている戦後の女性議員割合の推移というありふれた資料を、政治学者たちがさも珍しいものを見たかのように議論しているのをみて胸熱。 pic.twitter.com/wNcRKfbTov

2020-05-19 16:14:26
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