原発爆発 “安全神話”はなぜ崩れたか

NNNドキュメント’11「3・11大震災」シリーズ6を文字おこししています。 倒壊して外部電源喪失の原因となった鉄塔は耐震審査の対象外の一般構造物だった。 アメリカの安全対策を紹介しています。日本との違いに驚きます。 ナビゲーター:倉澤治雄(日テレ解説委員)
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とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 停電になり非常用電源が起動したものの、津波で停止。SBO、ステーション・ブラックアウト=全電源喪失という未曽有の事態が発生しました。通常原発の運転には、外部の送電線から電力が供給されます。この外部電源が途絶えると、非常用のディーゼル発電機が作動します。 (続く

2011-06-20 02:44:54
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> それも停止すると、残るはバッテリーの電気だけ。今回の事故はまさに全電源喪失の事態でした。 これは中央制御室の運転員たちが記録した当直の日誌です。電源を失った時の内部の様子が生々しく綴られていました。 3月11日17時30分蛍光灯を抜いた。 (続く

2011-06-20 02:49:47
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 津波を受けてから2時間後、発電所内では節電が始まりました。外部電源は断たれ、バッテリーの電池がいつまでもつか分からない中、少しでも長く持たせるための苦肉の策でした。そしてその後も、スイッチオフの文字が続きます。必要のない電気は次々に切られました。 (続く

2011-06-20 02:53:48
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 運転日誌には電源を失った冷却装置などを、手動で動かそうとした記録が残っていました。ポンプを手動で起動した。弁を15%手動で開いた。ポンプや弁を動かす作業が手探りで行われていきます。開く操作をするも、ダメ。起動せず。機器類は制御できない状況でした。 (続く

2011-06-20 02:58:58
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 原子炉に近づこうと試みますが・・・「こわくて行けない」の記録。  水を失った燃料は溶けだし、やがて圧力容器の底を破って格納容器に落ちてしまうメルトスルーが、1号機・2号機・3号機で起きたとみられています。

2011-06-20 03:03:21
とし @toshihiro36_sub

倉澤:福島第一原発で電源がどうなっていたのか気になり、設置許可申請書を調べてみました。事故を起こしてはならない原子力発電所。命綱である電源は2重にも3重にもバックアップされているはずでした。しかし、そこに盲点がありました。 今回、外から電力を供給する送電線の鉄塔が倒れて、 (続く

2011-06-20 03:07:28
とし @toshihiro36_sub

倉澤:外部電源が断たれてしまったのです。しかも鉄塔が倒壊したのは津波が来る前。つまり地震の揺れだけで、主要な電源が失われる事態に陥りました。

2011-06-20 03:09:50
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 原子力安全委員会で耐震性の審査にあたってきた、地震学者の入倉孝次郎さん。鉄塔は審査の盲点だったと言います。

2011-06-20 03:11:53
とし @toshihiro36_sub

入倉:実は鉄塔というのは原子力発電所の耐震性の評価の対象じゃないんです。一般構造物なんです。しかもそれが壊れたことによって、全部壊れる(全電源喪失になる)なんて、とんでもないことですよね。それが抜けていたと思うんですね。

2011-06-20 03:15:29
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 原発の耐震審査の対象ではなかった送電線の鉄塔。これまでも度々倒壊しています。2005年石川県で地滑りのため倒壊した鉄塔は、修復に1年以上かかりました。原発を監督する原子力安全・保安院はこの弱点を認識していたのでしょうか?保安院は原発を規制する立場ですが、 (続く

2011-06-20 03:19:58
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 推進する側の経済産業省の中にあり、独立した規制機関とは言えません。この保安院に対し国会では「もし鉄塔が倒れたら、大変な事態が起こる」と何度も警告が発せられていました。

2011-06-20 03:22:51
とし @toshihiro36_sub

(当時の国会の様子)共産・吉井議員「それは炉心溶融にも至りうる、大変深刻な事態を考えておかなければならないと思うんですが、どうですか」 寺坂・保安院長「多重防護の考え方に沿った設計がなされ、それによって安全性を確保しているところでございます。」 吉井「最悪の場合は、 (続く

2011-06-20 03:29:43
とし @toshihiro36_sub

 炉心溶融ですね?」 寺坂「最悪と言いますか・・・そもそも、そういったことが起こらないように工学上の設計をしておるところでございますが、論理的な世界におきまして・・・・」

2011-06-20 03:32:39
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 保安院の院長が浮かべた余裕の笑み。「現実的には最悪の事態はあり得ない」と強調し、送電線倒壊の警告は見過ごされたのです。

2011-06-20 03:35:03
とし @toshihiro36_sub

倉澤:外部電源が途絶えても、非常用のディーゼル発電機が働く。それが停電の際の想定でした。しかしディーゼル発電機は津波で全て停止しました。設計のミスはなかったのか。福島第一原発が運転を開始した40年前、中心的な役割を果たした人物に疑問をぶつけてみました。

2011-06-20 03:38:42
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 東京電力の元副社長・豊田正敏さん。東電社内で原子力の帝王とまで呼ばれた人物です。 福島第一原発は1971年、我が国4番目の商業用原発として運転を開始しました。当時日本は独自の技術を持たず、アメリカのGE・ゼネラルエレクトリック社の原子炉を購入しました。 (続く

2011-06-20 03:44:14
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 納容器やタービンの配置をはじめ、設計は全てアメリカ側に丸投げされていました。

2011-06-20 03:45:46
とし @toshihiro36_sub

豊田:アメリカに任せきりだった。GEはコンサルタント会社のエバスコに頼んで配置設計をやったんですけれども、その際原子炉の安全上の重要な電源であるディーゼル電源を原子炉建屋に置かず、タービン建屋に置いた今回、海側のタービン建屋に波が来てディーゼル発電機が止まった。

2011-06-20 03:50:49
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 原子炉のある原子炉建屋と、発電機のあるタービン建屋。揺れや津波に対する最高の強度を求められるのが、原子炉建屋です。一方、タービン建屋の強度ははるかに低いとされています。福島第一原発で非常用のディーゼル発電機が置かれたのは、このタービン建屋でした。 (続く

2011-06-20 03:54:31
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 津波はタービン建屋の地下まで押し寄せ、発電機は水没して使用不能になりました。なぜ津波に弱い場所に非常用のディーゼル発電機が置かれていたのか?原子炉を冷却するためのポンプも地上にむき出しで置かれ津波で破壊されるなど、設計上の弱点は他にもありました。

2011-06-20 03:57:57
とし @toshihiro36_sub

豊田:東電関係者もメーカーも誰も気がつかなかったというのは、おかしいと思うんだけれども・・実際そうなんで、非常に残念に思います。 耐震設計の見直しは何回かやっているので、担当者が気がつくはずですよ。気がついても、お金がかかるのでやらなかったんじゃないかと想像している。

2011-06-20 04:02:10
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 3月11日震源に最も近かった女川原発。想定された津波の高さより高い場所に設置されていたため、津波の被害は比較的軽くて済みました。しかし想定を超える揺れで、5回線あった外部電源は1つを除いてダウン。また非常用のディーゼル発電機も一部故障しました。 (続く

2011-06-20 04:06:17
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 4月に起きた余震でも想定を超える揺れで、外部電源はひとつを除いて使えず、電源に不安を残しました。

2011-06-20 04:08:12
とし @toshihiro36_sub

倉澤:福島の事故のあとで行われた「全電源喪失」の訓練です。あらゆる電源が失われたという訓練は、はじめてのことです。

2011-06-20 04:11:05
とし @toshihiro36_sub

リポーター:いま全電源を喪失しました。非常用電源も全部切れた状態です。警報や電気が点いているのはバッテリーに貯められている電気で動いてます。いま原子力発電所が全電源喪失したという想定が実現しています。

2011-06-20 04:14:51
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