日本労働研究雑誌 2020年2・3月号~学界展望:労働法理論の現在 / 特集:産業としての就職活動

日本労働研究雑誌 2020年2・3月号~学界展望:労働法理論の現在 / 特集:産業としての就職活動 / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/02-03/index.html [PDF] 産業としての就職活動 大学におけるキャリア支援・教育の現在地─ビジネスによる侵蝕、あるいは大学教育の新しいかたち? 児美川 孝一郎(法政大学教授) / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/02-03/pdf/089-100.pdf [PDF] 産業としての就職活動 就職情報誌から就職情報サイトへの移行がもたらさなかったもの─大卒者の就職・採用活動における役割をめぐって 香川 めい(大東文化大学専任講師) / https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/02-03/pdf/111-121.pdf 続きを読む
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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

90年代後半期には誰の目にも明らかになった大卒の就職難がある。そして,ちょうどこの時期には,団塊ジュニア世代が在学年齢を越えて,18歳人口の減少期に突入しており,大学間の生き残り競争に火がつきはじめてもいた。当然,各大学は,就職支援に力を入れざるをえなくなったわけであるが,

2020-05-30 00:25:01
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

まさにそのタイミングで,2000年を迎える直前あたりから,就職活動のプラットフォームが変化した。したがって,大学側の就職支援の強化策は,プラットフォームの変更をリードした人材ビジネスの「支援」を受けずしては成立しがたくなっていたのである。ここが,すべての出発点である。

2020-05-30 00:25:01
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(。 ・ω・)フム 本来,大学教育の役割は,よき職業人の形成(キャリア教育)とともに,よき市民の育成(シティズンシップ教育)にあるとすれば(亀山2009),今日の傾向は,明らかに車の両輪のうちの片輪に偏っている。端的に,今日の大学教育において,シティズンシップ教育への課題意識は,

2020-05-30 00:25:54
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

きわめて脆弱であると言わざるをえない(渡辺2019)。しかも,前のめりに展開されているキャリア教育にしても,それは,「職業社会」の構成員を育成するという意味での幅広さと奥行きは備えておらず,ダイレクトに「企業社会」へのエンプロイアビリティの養成に焦点化されてしまっている。

2020-05-30 00:25:55
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

そして,そのエンプロイアビリティの養成も,「○○力」の跋扈が象徴するように,概して要素主義的なアプローチに基づいており,元来の大学教育がめざしてきた知の全体性,人格と結びついた知性や教養といった世界(児美川2010)とは,ほど遠いものに着地している可能性が高い。

2020-05-30 00:25:56
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(´-ω-`)ウーン 白井(2017)が指摘するように,就職支援・キャリア支援においてさえ,大学側がビジネスに対するコントロールを効かせることは不可能なことではない。そうした関係性を,より包括的な次元で,大学教育としてのキャリア支援・教育のデザイン全体にまで彫琢し,

2020-05-30 00:25:57
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

具体的かつ実効的に遂行していくことも,論理的には不可能ではないはずである。そうだとすれば,そうした取り組みへの努力を忌み嫌い,ただただビジネスによるキャリア支援・教育への「侵蝕」を呪っているだけでは,負け犬の遠吠えと言われても仕方がないのではないか。

2020-05-30 00:25:57
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

呪いだけでは,現状の問題性はいっこうに解消していかない。絶望的なまでの困難を承知のうえで,相応の覚悟を決め,それでも前向きの発想と行動に今後を託していくべきときなのかもしれない。

2020-05-30 00:25:58
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

[PDF] 産業としての就職活動 就職情報誌から就職情報サイトへの移行がもたらさなかったもの─大卒者の就職・採用活動における役割をめぐって 香川 めい(大東文化大学専任講師) / jil.go.jp/institute/zass…

2020-05-30 00:27:17
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

旧来の「指定校制」から自由応募制へと応募方法が変わっても,学校歴による就職格差に変化はなかった。それは,就職協定下において,就職情報誌を通じた接触が協定破りの方法の1つであったからである。就職情報誌の内容や分量は性別や学校によって異なり,銘柄校の男子学生には多くの情報が届けられた

2020-05-30 00:27:18
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

このように採用情報への接近可能性を異ならしめることで,最初のスクリーニングがなされていたと考えられる。情報サイトの登場と普及によって,情報格差は解消するものと当初期待されたが,次第に「大量応募・大量選考」という現象を生み出し学生と企業の「二極化」を生じさせたと批判されるようになる

2020-05-30 00:27:18
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

しかし,調査データからは,就職活動量・質と大学ランクとの関連は,就職情報誌の時代も就職情報サイトの時代も一貫して継続していることが確認される。

2020-05-30 00:27:19
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(´ω`;) つまり,就職情報サイトへの移行に伴って生じたと主張されている変化は,学校間格差を縮小する方向でも,また拡大する方向でも生じていないと判断できる。

2020-05-30 00:27:19
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

情報源の重要度(1993年度)と役立ち度(1997年度) pic.twitter.com/ebHqzttFh9

2020-05-30 00:28:37
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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

向原(1989)でも就職活動中の情報源としての選択率が最も高いのが就職情報誌であることが示されており,「就職情報誌」が欠かせない情報源だったことがわかる。その背景として,就職情報誌を通しての応募の重要度が増していったことが挙げられる。

2020-05-30 00:28:38
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

日本労働研究機構(1994)によると,企業ガイドブックや情報誌が就職先への応募経路だったという回答は最も多く,しかも年を経るごとに増加していた。

2020-05-30 00:28:39
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

企業から送られてくるダイレクトメールの量(男子学生のみ) pic.twitter.com/udKkgOqdB9

2020-05-30 00:28:40
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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

大学によって格差があったことは,バブル崩壊後のダイレクトメール量の変化という点から傍証的に把握することができる(表1)。バブル崩壊後の 1994年,国公立大(S)と有名私大(A)ではダイレクトメール量は「先輩たちとほぼ同じ」という回答が最も多いのに対し,

2020-05-30 00:28:41
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

中堅私大(B)とそれに準じる私大(C)では,ダイレクトメール量が減ったという回答が最も多い。翌95年には,文系 S・A で「少ない」が増加するものの,「同じ」という回答が最も多いのは変わらない。

2020-05-30 00:28:42
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(´ω`;) 採用経費を抑制することになって,真っ先に外されたのが,非銘柄私大の学生で,企業にとっての優先度が低かったことが示されている。

2020-05-30 00:28:42
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

調査にこの項目が入ったのが 1999年,その時点でインターネット受付のみと回答した企業は5.6%に過ぎず,約半数の企業はネットエントリーを導入していなかった。

2020-05-30 00:29:57
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

その後,インターネット受付のみの比率は急激に上昇し,2008年時点で77.3%(郵送との併用を加えると95%)の企業がインターネットでの受付を行うようになっている。

2020-05-30 00:29:58
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

資料請求ハガキの送付先と送付枚数の平均値(1990年男子) pic.twitter.com/J0xARAeKV5

2020-05-30 00:29:59
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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

大学ランク別の就職諸形態の違い(平均値1993年度) pic.twitter.com/cp84PRhPBU

2020-05-30 00:30:00
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