掌小説語り～自作つぃのべる集～57

リュカ @ryuka511

「…従って、君があの日嘘を吐いたのは明白だ。理由は一つ、他の男と会っていた」証拠を元に真実を突き止めた。得意の推理はこんな時にも役に立つ。君は泣きながら謝罪した後、別れを切り出した。白黒はっきり付けたがる俺の性格に疲れたのだと。違う、こんな話が聞きたかったんじゃない #twnovel

リュカ @ryuka511

カメラの中のあなたは真っ直ぐに僕を見つめている。僕の心を見透そうとするかのように。僕はカメラ越しならばあなたを見つめ返す事ができた。僕があなたをどう撮るか、技術ではなくあなたのどんな瞬間を撮るか。カメラの道を進んだのは、臆病な僕があなたに想いを伝えられる唯一の方法だから #twnovel

リュカ @ryuka511

これで貴方を手に入れた。貴方はもうどこにも行かない。もぎとった翼、その羽根一枚一枚にキスをする。そしてその翼を僕の背に移植するのだ。貴方と一つになる至上の幸せに、身も心も震える。貴方もそうでしょう? そんなにも震えているのは、幸せだからなのでしょう?さぁ、永遠の愛を、貴方と #twnovel

リュカ @ryuka511

「やれやれ…」累々と横たわる無数の死体を前に軽く溜息をつく。自分達で強化人間を作り出しておきながら、邪魔になったから抹消しようとは随分と勝手なものだ。原形をとどめていない死体の一つを、爪先で軽く突く。「自分達で作ったんだからさぁ、その強さぐらい把握しときなよ」 #twnovel

リュカ @ryuka511

君を止めようとして振り払われた手が宙で迷う。そして僕は君を止めなかった。君は君の愛する人の下へ行ってしまった。これで良かったんだと言い聞かせる。幸せの形なんて誰にも定義できないのだから。 #twnovel 黒いリボンで飾らせた君の写真は微笑んでいる。手向けられた白い花は、花嫁衣装を思わせた