WW2におけるドイツ軍の鋼材のお話

兵器に使うの鋼材製造や原材料の調達は大変なんだよというヤマパンスキーさんの解説
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ヤマパンスキー @yamapanski

ドイツは第二次世界大戦の艦艇用の大口径砲でも、鋼塊製造に坩堝法(小型の坩堝多数に原料を封入して加熱、調質後流し合わせて大型の鋼塊を作る)を使ってます。 19世紀中盤から多数の坩堝で調質した鋼を併せてクルップが大鋼塊を作って見せていた頃からノウハウは保持されていたんでしょう。

2020-05-30 20:59:10
ヤマパンスキー @yamapanski

他の製鋼調質法で必要な、空気由来の酸素や窒素の溶存と除去が兎に角嫌なので、ノウハウがあって出来る手段で回避したのでしょう。 とは言え、大量の坩堝とそれで調質した鋼の合流、製鋼の手間とコストを考えると、ドイツ的拘りとは思います喃。。。

2020-05-30 21:02:54
ヤマパンスキー @yamapanski

他の製鋼法も全部大規模に出来る上でこういうことをしているのは、地金の品質への(理想論は別として過剰な)こだわりとは思います。

2020-05-30 21:16:46
ヤマパンスキー @yamapanski

と言って、ドイツが高品位の鋼材、装甲の量産が出来るかというと、戦時になると国内の低品位の鉄鉱石ルールの石炭(鋼材の品質にに有害で、脆性に繋がる成分が多く、「汚い」)を使わざるを得ない訳で、大戦後半の戦車、駆逐戦車の装甲が、厚いけど被弾で割れて撃破されるとかに繋がってます。

2020-05-30 21:32:20
ヤマパンスキー @yamapanski

この辺国内とか勢力圏の産出資源に左右されるので、経済力だけでは補いが付かない部分があります。 結局、スウェーデンの低燐鋼とか有害な成分の少ない優良な材料を輸入出来るか、どれだけ備蓄しているか戦時でも輸入出来るかに掛かっていると思います。

2020-05-30 21:34:24
ヤマパンスキー @yamapanski

これはご存じ本邦以外他の国も同様で、イタリアとか、「勢力圏内で石炭が出ないので製鉄製鋼が出来ない、出来るのは水力発電を使った電気製鋼くらい」というもっと条件の悪い国もあります。 平時は良材の輸入に頼りますが、国際関係が緊張すると苦しくなります。

2020-05-30 21:39:16
ヤマパンスキー @yamapanski

カイオ・ジュリオ・チェーザレ級やアンドレア・ドーリア級が改装されたのは、「第二次エチオピア戦争でイギリスと敵対して国際的に孤立した結果、鋼材が輸入出来ず生産が不足しているので、新造よりコスト増を覚悟で既存船体を改装して利用し、鋼材の使用を節減する」というお話ですし喃。。。

2020-05-30 21:41:13
巡洋戦艦タイガー @BC__Tiger

@yamapanski それを考えちゃうと、巡洋戦艦タイガーがロイヤルネイビーに留まる限り大規模な近代化改装で生まれ変わって第二次大戦で活動する可能性はゼロなんですよねえ……新造した方がお得ですから……。

2020-05-30 21:43:52
ヤマパンスキー @yamapanski

@BC__Tiger それはまあ。 イギリスですら第一次世界大戦後の緊縮で装甲の製造能力が製造技術力維持の最低限くらいに下がって、戦間期の建造艦には「コストの安い、ドイツ製の装甲を輸入して使っていた」のですから喃。。。 それで、再軍備まで、国内で需要がほぼなくなったドイツの装甲製造技術が維持されたので。

2020-05-30 21:47:10
巡洋戦艦タイガー @BC__Tiger

@yamapanski やっぱり身売りしてドナドナされるしか生き残る可能性がありません……。

2020-05-30 21:48:43