ストレイトロード:ルート140(49周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」をベースに、毎日1作ずつ投稿している掌編という名の習作。 今回は2401~2450+おまけ。リクエスト回以外のテーマは「祈り」「願い」。 でも今回はあんまりダイレクトにそれらを描けていませんでしたね。。なお各話の内容につながりはありません。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

追っていた人物を見失ったまましばらく歩くと、質素な家の軒先にうずくまる子供を見つけた。藍が目撃証言を求めて近づいたが、程なく不満そうな顔で戻ってきた。「邪魔するな、だって」夕方に同じ道を引き返すと、子供がいた辺りの地面に色鮮やかな模様が描かれていた。魔除けの紋様に似た砂絵だった。

2020-04-29 19:20:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2413。砂絵。

2020-04-29 19:20:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

城壁の外に積まれた瓦礫は最近の物らしい。街の中は高い建物が消えた分だけ空が広かったが、やけに人が多い。藍は前が見えない不満を風に変え、混雑の先を調べた。「みんなが白い岩の前に集まってる」案内には古い時代の聖女が変わらず崇敬されていると書かれていた。「彫像でしょうか」「ううん、岩」

2020-04-30 19:00:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2414。聖女。

2020-04-30 19:00:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

レース用の雪車を引いていた馬が突然脱走し、私達の車にぶつかりかけたことがきっかけで保護された。牧場に連れ帰った後も逃げようとする馬を止めたのは、藍が差し出した餌だった。結果、友達以外も増えた。予定以上に増量して本番に挑む相棒を選手は心配していたが、号砲と同時に杞憂と悟ったようだ。

2020-05-01 18:58:16
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2415。増量。 なお「雪車」は「そり」と読む。前に使ったお題。

2020-05-01 18:58:16
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

荒野で火を囲む先客はサーカスの一座だった。集団に加わり話を聞いていると、曲芸師達が揉め始めた。玉乗り中の表情がおかしいと言う。「真剣にやるから見てもらえるんだ!」「顔がキツくちゃ誰も笑わないでしょうが!」藍が二人に実演を求めた。火花を散らす彼らを乗せた玉は横風に煽られて衝突した。

2020-05-02 19:07:13
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2416。玉乗り。 誰のためなのかは同じはずなのに。

2020-05-02 19:07:13
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

ようやく確保した今夜の宿は幹線道路のすぐ近くにあった。大きな倉庫に出入りする車が多く振動が絶えない。「平気よ、慣れてる」藍は騒音の中でも眠れると言うが、思わぬ形で悩みが発生した。揺れが邪魔で紙に直線を引けない。明日までに送信すべき宿題が終わらないと、往来を止める手段を考え始めた。

2020-05-03 19:11:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2417。直線。

2020-05-03 19:11:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「子供が来る店じゃないだろ!」酔客の文句程度で引き下がる藍ではない。堂々と舞台に上がり、ギターを爪弾いて歌い出した。子供が好むとも思えない民謡の調べに人々は驚き、耳を傾ける内に幾人かが口ずさんだ。「いつか行きたい場所の一つだから」後に語った彼女の目はここにいない誰かを映していた。

2020-05-04 19:08:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2418。爪弾く。

2020-05-04 19:08:20
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

前回は病室で対面した藍の友人が、今日は別室にいた。紙を切って作った花を手作業で一つずつ貼り付けている。藍が話しかけても応答がなかったのは集中していたからか。「想う相手のことだけ考えて作るもの、だって」少女の心が編み込まれた花束が誰の手に渡るのか。藍さえ教えてもらえなかったようだ。

2020-05-05 19:01:33
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2419。手作業。

2020-05-05 19:01:33
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

山の頂上付近で出会った怪物が軍に捕獲された後、近くの巣穴を藍の指示で調べた。「いずれここも見つかるのでは」「だから先に探すのよ」土や枝葉に混ざって多くの骨と様々な道具が敷き詰められていた。最悪の想像は直後に覆された。「この旗は何?」かつて登頂した人々の忘れ物が集められていたのだ。

2020-05-06 19:04:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2420。登頂。

2020-05-06 19:04:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「火起こしは慣れたし」先に課題を終えた藍は、試行錯誤を続ける子供達と距離を置いた。今は長いロープに枯れ枝を結びつける作業中らしい。「線路に見える?」キャンプの遊び道具と言うが、枕木と言うなら丈夫な枝を選ぶ必要はない。最初から縄梯子として作っている。「備えろっていつも言うじゃない」

2020-05-07 19:19:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2421。縄梯子。

2020-05-07 19:19:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

訪ねた部屋は住人の青年が掃除中だった。「見ても面白くないよ」「そう?」親戚が本気で怒らないと踏んでいるのか、藍は平然と箱の中を漁った。何かの競技の盾やメダルが詰め込まれていた。「優勝するまで封印するんだ」「大記録なのに」「二番手なんて自慢にもならない」メダルはすぐ取り上げられた。

2020-05-08 19:18:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2422。二番手。

2020-05-08 19:18:57
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「布切れで充分と言いました、こんな上等なものはとても」道中で助けられたお礼を帰りがけに届けたら、予想外に恐縮された。「どうして?」途中の街で布を買った藍は首をかしげた。彼女の認識では安物だったか。「あなたに必要なのは継ぎはぎのない服だと思うの」「いや勿体ない」恩人は頭を上げない。

2020-05-09 18:56:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2423。布切れ。

2020-05-09 18:56:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

親戚宅の掃除を手伝っていた藍が、家主の青年と母親の話をしていた。寝しなに絵本を読み聞かせる習慣がなかったと聞いて藍は驚いた。「寂しくない?」「考えたこともない」荷物を撤去したら古いベッドが出てきた。今の彼には小さい。藍でも窮屈だろう。「むしろよく眠れたね。逆に目が冴えそうなのに」

2020-05-10 19:23:53
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2424。寝しな。

2020-05-10 19:23:53
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「それは車ね、あなた運転できるのね!」農場の柵越しに手を振る女がいた。藍が窓を開けて首をひねる。「この人、車も飼ってる」他の牛舎から離れた一つをクラシックカーが占拠していた。乗り手がいない車を引き取ってはひそかに直し、動かせる誰かが来る日を待ち続けていたようだ。博物館でも難しい。

2020-05-11 18:44:39
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