『地獄の黙示録』×『モロー博士の島』×『ジャングルブック』 ぷりめ文書

連ツイ小説です。ヒトと獣の話です。
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@ぷりめ @prime46502218

わたしは小銃を抱えて歩み出た。虎を撃つのが私のつとめだった。たとえ虎が死にかけていても。もう誰を傷つける恐れもなくても。 つとめ。義務。警官としての、情報部の協力者としての、植民地当局者としての、英国人としての、白人としてのつとめ。 私は宙に向けて一発発砲し、砦の門へと坂を上った。

2020-06-09 19:11:44
@ぷりめ @prime46502218

虎を撃った、と皆に話すつもりだった。臆病で虚栄心の強い私の、それが精一杯だった。 「ありがとう(Thank you)」背後で少女が言った。私は振り返らなかった。その勇気がなかった。 砦の門を目指しつつ私は、次の休暇の時にイギリスにもどって、そのまま警官をやめると決心していた。(了

2020-06-09 19:16:12
@ぷりめ @prime46502218

いい話かどうかは、読んだあなたが決めてください。

2020-06-09 19:34:57
@ぷりめ @prime46502218

『象を撃つ』『闇の奥』『地獄の黙示録』『失われた世界』『モロー博士の島』『ジャングル・ブック』のごたまぜです。 ルーイの称号は『完全な真空』の『親衛隊少将ルイ16世』から、モロー博士の境遇は『スパイキッズ2』のロメロ博士から。モームはこの頃にはもう作家になってますけどお話なので。

2020-06-09 19:42:51
@ぷりめ @prime46502218

元ネタのせいで帝国主義とか植民地のえげつないところ山盛りになりました。 オーウェルが「H・G・ウェルズには、ヒトラーの求心力は理解できない。キップリングなら理解できたはずだ。どんな対応をとったかは分からないが」と書いてて、なるほどなと思いました。力の論理ですよね。

2020-06-09 19:48:41
@ぷりめ @prime46502218

読み返して、作中の密林の王たちの対比がいいですね。自分が何をしているか分かっている文明外の文明人ハティ大佐。ヒトになりたくないと言いつつヒトの暮らしにすっかり慣れているキング・ルーイ。モローが去ったら次代には只のサルに戻るのをどう思ってるのか。老いて力を失った傀儡王モロー。

2020-06-10 12:29:40
@ぷりめ @prime46502218

虎の王シア・カーン。彼はどんな経緯で人間を憎むようになり、人間になりたいと願うようになったのか。 モーグリが次の「獣人たちの王」になるのでしょうか。原作のプレンディックはなり損ねましたが。 何故カーンを撃ったのか、二人の間に何があったか、ありがとうの真意は。すべて真相は闇の奥です。

2020-06-10 12:35:04
@ぷりめ @prime46502218

こいつらに聖杯問答してもらいたいですね。誰か書きませんか?

2020-06-10 12:37:11
@ぷりめ @prime46502218

ハティ大佐はたぶんこんな顔です。キップリング先生をイメージして書きました。先生本人やその著作と同じく、見ようによって評価が一八〇度変わる人です。 pic.twitter.com/od9mhgK5VD

2020-06-10 14:01:24
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