北海の死闘!― 潜水艦鸚鵡貝号よ伝説の海底都市を追え4(#えるどれ)

天馬は(画面外で)憩っています。 過去のエピソードはまとめWikiをどうぞ! https://wikiwiki.jp/elf-dr/
2

シリーズ全体のまとめWiki

https://wikiwiki.jp/elf-dr/

前回の話

まとめ 北海の死闘!― 潜水艦鸚鵡貝号よ伝説の海底都市を追え3(#えるどれ) 同担拒否。 それはオタクの生きざま。 3997 pv

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ この物語はエルフの女奴隷が騎士となり失われたものを取り戻すファンタジー 略して #えるどれ 過去のエピソードが見やすいWikiを作ってもらいました! wikiwiki.jp/elf-dr/

2020-06-21 20:00:23
帽子男 @alkali_acid

えるどれはすけべな人妻エルフにエロエロする物語として始まりました。 で、今は人妻エルフの末娘がペドに尻を揉まれています。

2020-06-21 20:03:32
帽子男 @alkali_acid

ペド。 正しくは驚天傀儡師ペドロフスコ。 機械工学に長け、自動人形(オートマータ)の製造に天才を示す職人。 大兵肥躯の青年で、握力は極めて強く、ずんぐりした指は意外なほど繊細。ぎゅっぎゅ、ぐいぐぐいと色々な角度や強さで、小ぶりながらよく弾む二つの肉毬を入念に掴んでは捩じり。

2020-06-21 20:06:46
帽子男 @alkali_acid

材質や形状を精確に把握する。 ペド自身は致命傷を負ったところを奇跡のような外科手術によって辛うじて一命をとりとめたはずで、まだ譫妄の状態にあります。 しかし指使いはおお、まさに匠(たくみ)と呼ぶにふさわしく注意深く徹底しているのです。

2020-06-21 20:08:13
帽子男 @alkali_acid

揉まれている方の少女はというと、両手で口を押え、小刻みに震え、ひっひっとしゃっくりのような音を繰り返しつつ耐えています。ちなみに容姿は暗い膚に尖り耳。どことなくエルフっぽくはありますが、やっぱちょっと違う。

2020-06-21 20:10:42
帽子男 @alkali_acid

周囲には殺気に満ちた黒い獣が数匹、それぞれ攻撃の予備動作に入っており、一触即発の状況。 「だめ…だめ…だめだっ…んっ…から…っ…」 「赤ちゃんを…産むんだなあ…ペドがずっと否定してきた…母性…成熟…そういうものも…ようじょにはあっていいんだな…」 「だめ…」

2020-06-21 20:12:13
帽子男 @alkali_acid

「ウィスト。ゆーっくり抜け出してみたらどない?」 そばで耳を澄ませていた獣の一匹、黒海豹が助け舟を出す。 「う…うん」 肥満漢の腕の間から、少女はそっと脱出しようとするが、かえってしがみつく勢いは強まり、指の食い込みもきつくなる。 「グルルルル」 「ヴヴヴヴヴ」

2020-06-21 20:15:14
帽子男 @alkali_acid

やや離れたところにうずくまる黒猫と黒犬から何やら闇色の靄のようなものが立ち上がり、四つ足が踏みしめる床に不気味な罅割れが走る。 「だ…だめ!カミツキ!アケノホシ!待て!!」 「んー。ほな、男に戻ったらえええんちゃう?」 「んっ…うん…」

2020-06-21 20:17:10
帽子男 @alkali_acid

少女が胸に手を当てると、ほのかに輪郭が曲線から直線へ移ろう。 「固さが増したんだな…でも安産型だなんだな…ペドの知ってる素材で再現できるかどうか…」 傀儡師は指に伝わる新たな形状をまた確かめ直す。 「!?」 「あかんかー」

2020-06-21 20:19:03
帽子男 @alkali_acid

華奢な娘のうわべから矮躯の男児へと変わってなお、拘束が解けぬのに、ウィストと呼ばれた仔は困惑のきわみに達する。 左右非対称の翼を持つ黒蝙蝠がふわふわと飛び上がり、少年の肩にかけている背嚢に潜り込むと、やがて足に一本の細い筒を掴んで這い出てくる。 「チノ…ホシ…何…して…」

2020-06-21 20:22:07
帽子男 @alkali_acid

チノホシは筒を肥満漢に近づける。いきなりパチパチと火花が散って、小さな雷が先端からあふれると、太った青年の肌に流れる。 「アバババババババ!!!」

2020-06-21 20:23:56
帽子男 @alkali_acid

絶叫とともに痙攣したペドはうつぶせに倒れる。 「ちょ!?」 「おとーはん。そらあかんのとちゃう?ウィストまで巻き添えになったかもしれんわー」 黒海豹がたしなめると、黒歌鳥が少年の肩に舞い降りながらさえずる。 「オチビガ、ヘマスルハズナイヨ!」 「んー。そらそうやな」

2020-06-21 20:27:09
帽子男 @alkali_acid

「え…だ、だって……さっきいっぱい血流して…こんな…」 恐懼しながら少年は頭巾をかぶりなおし、またうつぶせになった肥満漢を介抱しようとする。 黒犬がおざなりに襟首を咥えて、軽々とひっくりかえすと、太った青年はさわやかな表情で事切れていた。

2020-06-21 20:29:19
帽子男 @alkali_acid

見てくださいこの幸せそうな死に顔 あなたは こんな顔で 死ねますか?

2020-06-21 20:30:32
帽子男 @alkali_acid

「わああああ!?」 「そらしゃあないわー」 「だめ!アケノホシ!助けて!もう一回助けて!」 黒犬はなぜか無力そうに耳を伏せ、そっぽを向いてしまう。黒猫は念のためさらにとどめを入れたそうにしている。 黒蝙蝠はやや迷っていたが、もう一度筒を近づけ、肥満漢の心臓の上あたりに押し当てた。

2020-06-21 20:32:40
帽子男 @alkali_acid

「アババババババ!!!」 ペドは再び蘇生した。 「チノホシ…なんなの…それ…」 「キキィッ」 「影地歩き…?わからない…」

2020-06-21 20:34:16
帽子男 @alkali_acid

「キィ…キィ」 「溶液を細かい穴のたくさん空いた…ものにしみこませて…金属でおおって…電気は知ってる…この前チノホシに教わったの覚えてる…うん…電気を蓄えるの?それで…一度に出すの?どうして」 「ワフワフ!」

2020-06-21 20:39:56
帽子男 @alkali_acid

「アケノホシがほしいって?人間の体も…電気が…心臓も?電気で動くの?…じゃあ…手当の使うの…うん…うん…すごい…けど…」 話し込んでいる間にはっとなったウィストは、あわてふためきつつ、黒犬の見守る横でペドの脈と呼吸を確かめ、瞳孔の縮みを検める。

2020-06-21 20:42:00
帽子男 @alkali_acid

ほっとして少年はへたりこむ。 「だいじょうぶみたい」 「…先生…」 背後で黒海豹がぽつりと呟く。 「?」 「なんでもない」 そのままごろごろと転がって頭巾の仔にひっつく。

2020-06-21 20:44:27
帽子男 @alkali_acid

「あんなウィスト。もうちょい大きくならん?」 「?」 「ウィストなんや育ち遅いやんか。魔法でちょこっと大きくなったらどない?」 「??できるの?」 「できると思うで。やってみん?」 「やりかた…わからないし…魔法は…あんまり…よくない…」

2020-06-21 20:46:18
帽子男 @alkali_acid

すとっとそばに黒猫が下り、首を傾けて黒海豹に間近からガンを飛ばす。 「んぁ?」 目の見えない海獣は、しかし小さな仲間の殺気に気付くといきなりべろっと舌を伸ばして顔を舐めた。 「フギャ!」 「ほわー。むっちゃええ味やわー」 「ヴヴヴ…」

2020-06-21 20:47:53
帽子男 @alkali_acid

黒犬が呆れたように鼻息を吐き、黒蝙蝠がその頭に降りて申し訳なさそうにか細く鳴く。 とうとう黒歌鳥が羽搏いて舞い上がると、急降下して、小さな足で黒海豹の横面を蹴る。 「あいた。堪忍してやー」 「ウィストハ、アタイトウタウ!」 「一緒にお船に乗ってもらうだけやんかー」

2020-06-21 20:50:50
帽子男 @alkali_acid

頭巾の仔は額を抑えつつ肩を落とすと、とりあえず背嚢から毛布を出して、枕を作り、肥満漢の頭を高くしてから、そのまま安静を保たせて、黒犬を振り返り、頷き合ってまた出発する。 「みんな…暴れないで…」

2020-06-21 20:52:40
帽子男 @alkali_acid

暗い膚に尖り耳の少年は頭巾を直すと、いささかげっそりした面持ちになる。 一匹でも世話が大変な黒き獣が、五匹にもなるとてんてこまいだった。 「ねえ…全部で…九匹…いるの」 「ウィストを数に入れんかったら八匹やな」 いつのまにか黒海豹が傍らを軽快に這いずりながら返事をする。

2020-06-21 20:55:23
1 ・・ 7 次へ