『Blood Card』の「死神」システムは、なぜ画期的だったのか? ――インディーズゲームにおける、コンパクトに作るコンセプトの成功例

「Steam」で「サマーセール」を開催しています(日本時間で、2020年6月26日から、7月9日深夜まで)。「SLG」中心で、そのセール対象のゲームを、前回までご紹介してきました。 今回は独自コンセプトでコンパクトな「トガった」ゲームである、『Blood Card』一本に集中します。 同作の「死神」システムが、シンプルでも画期的だったことを考察、解説していきます。
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しろうと @sirouto

ブラッドカードの死神は、「HP 999」と、体力が多いだけで、じつは倒せる存在です。「最初から登場し続ける、(真の)ラスボス」みたいな感じでしょうか?

2020-07-01 22:13:57
しろうと @sirouto

そして、死神から逃げるだけでなく、倒そうとすると、それまでとゲーム性がガラッと変わります。

2020-07-01 22:15:59
しろうと @sirouto

具体的には、死神を倒そうとすると、余裕で倒せる敵の時に、あえて倒さないで粘って、死神の方に攻撃を当てる、というスタイルに自然となります。

2020-07-01 22:17:04
しろうと @sirouto

するとなんと、死神は「難易度調整」システムにもなっている、という所が素晴らしいのです。

2020-07-01 22:18:02
しろうと @sirouto

普通は、ゲームに習熟して、余裕で敵を倒せるようになると、飽きてしまう訳です。しかし、本作では、その余剰を死神が上手く回収する。

2020-07-01 22:19:03
しろうと @sirouto

動物の死骸を微生物が分解して、植物の自然な肥料になるみたいな、そういうイメージのエコシステムができている。

2020-07-01 22:20:20
しろうと @sirouto

あるいは、エンジンの「ターボチャージャー」みたいな、排気するエネルギーを再利用して、加速に使うみたいな、上手い仕組み。

2020-07-01 22:22:06
しろうと @sirouto

要は、死神がいるため、ザコ敵への「オーバーキル」が、「死に要素」にならずに、死神攻略という、コンテンツとして再利用できると。

2020-07-01 22:23:17
しろうと @sirouto

だから、ブラッドカードは、ゲームシステムの作り方が上手いなと感じました。だから、『Slay the Spire』のたんなるパクりとかではないと思います。

2020-07-01 22:25:27
しろうと @sirouto

ところで、前回述べた「山札=HP」も、今回の「死神」の敵味方への無差別攻撃も、ゲームのターンを圧縮して、テンポ向上に役だってます。

2020-07-01 22:27:09
しろうと @sirouto

まず、本作は「山札=HP」なので、攻撃を受けると、山札のカードも失うので、HPの数値上のダメージだけでなく、選択肢も減少して不利になります。

2020-07-01 22:28:25
しろうと @sirouto

一方、「死神」が無差別攻撃してくるので、これもターン短縮効果があります。前述のように、あえて長期戦に持ち込むことも可能だけど。

2020-07-01 22:29:21
しろうと @sirouto

もし、「山札=HP」と「死神」の両方の要素が、なかったとしたら、もっとダラダラと間延びした展開になっていそうです。

2020-07-01 22:30:08
しろうと @sirouto

勝負は見えているけど、試合は続くみたいな、「消化試合」があると、ゲームがつまらなくなりますよね。それが起きないようにしている。

2020-07-01 22:31:58
しろうと @sirouto

これは、アニメ絵で、目が大きく描かれるような「デフォルメ」ですね。それをレベルデザインに適用している。

2020-07-01 22:34:17
しろうと @sirouto

ゲームの勝負所に時間を圧縮しよう、というシステムには前例があって、ソシャゲの「自動周回」とかもその一種だと思います。

2020-07-01 22:35:40
しろうと @sirouto

「コンセプト」の明確化によって、「コンパクト」に作るというのは、インディーズの方法論としては最重要になることでしょう。それが成功している。

2020-07-01 22:37:28
しろうと @sirouto

もちろん、一般的にはまだ有名ではない「通」向けの作品だけれど、「もっと評価されるべき」だと思うので、こうしてご紹介しているしだいです。

2020-07-01 22:38:08
しろうと @sirouto

まあ実際には、慣れていくと、強いカードの組み合わせがパターン化していき、結局「強いカードが強い」みたいな状態に帰着します。

2020-07-01 22:40:41
しろうと @sirouto

具体的にはたとえば、エナジー(カード使用可能回数)を増やして、「爆炎」みたいな循環カードで連続攻撃すると強いとか。「ずっとオレのターン」みたいな。

2020-07-01 22:42:13
しろうと @sirouto

それはカードゲームの宿命で、仕様がない部分です。たとえば、初代『カルドセプト』で、「デコイ」や「リンカネーション」がすごく強かったとか。面白かったけど。

2020-07-01 22:43:34
しろうと @sirouto

だけど、強い組み合わせを求めて、試行錯誤している過程では、ゲームのプレイ時間の密度も濃いし、やはり面白いです。

2020-07-01 22:45:21
しろうと @sirouto

そういうわけで、今回の「Steam」「サマーセール(2020)」で、有名作や定番作以外では、『Blood Card』がイチオシです。

2020-07-01 22:46:32
しろうと @sirouto

Steamの『Blood Card』のレビューを見ても、約8割が好評なので、やはり普遍的な面白さがあると思います。

2020-07-01 22:47:20
しろうと @sirouto

ただ、人を選ぶ要素はあって、ノベゲみたいな充実したストーリーはほぼないことと、ダークな世界観(グロ表現はマイルドで、たんにゾンビやドクロが出る程度)は、好みが別れるかも。

2020-07-01 22:48:51