大怪竜ザハキVSシャン・シャンVSオオグイ頂上決戦1(#えるどれ)

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前回の話

まとめ ダークエルフのショタがインポのペガサスと人形遊びする話(#えるどれ) インポでバランスをとったからセーフ(独自理論) えるどれシリーズの過去のエピソードまとめは見やすいWikiからどうぞ 4315 pv 4

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 【この物語は】 エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系のウハウハドスケベファンタジー #えるどれ 作者の性格に難があっても、いや難があるからこそしつこく続く読者泣かせシリーズ!! 過去のまとめは見やすいWikiでどうぞ wikiwiki.jp/elf-dr/

2020-06-29 21:15:27
帽子男 @alkali_acid

卓上遊戯の馬鹿どもが何を反省しようが知ったこっちゃねえ。 こいつは「何となく黒くて悪い種族」ダークエルフと「何となく白くて善い種族」ライトエルフの骨肉の愛憎劇だぜ!!!

2020-06-29 21:17:04
帽子男 @alkali_acid

舞台は艶やかな絨毯と馨しき香水で知られ、葡萄の豊かに実る安息の国。 国一番の火山のふもとに築かれた市場、通称、鬼食市。 東西南北の珍味佳肴が集められ、目から鼻の先へ抜けるような辣腕の食糧商によって買い付けられ、各国で食通を唸らせる超一流料理人のもとへと運ばれる。

2020-06-29 21:21:10
帽子男 @alkali_acid

しかし最大の上客は、天子の国生まれで、げてもの食いとして名を斯界にとどろかす貴人シャン・シャン。 鬼食市にほど近く、火山の中腹に建つ料亭「新餐庁(ノヴァレストラン)」の支配人でもある。

2020-06-29 21:23:28
帽子男 @alkali_acid

シャン・シャンやその配下はしばしば鬼食市に降りてきては、それこそ陸軍の一個師団を賄えるのではないかというほど大量の食糧を買い付けていく。 支払いは黄金のこともあれば、同じ重さではもっと高い値打ちのある香辛料や薬膳の食材のこともある。

2020-06-29 21:25:31
帽子男 @alkali_acid

さて、シャン・シャンには料亭の支配人、鬼食市の上客とはまた違った顔があった。 人類の文明を超常の脅威から守る秘密結社「財団」の最高戦力たる機動部隊「終端の騎士団」の一員。 怪異嗜食侯の異名を持ち、たいていの超常現象なら捕食してしまうのだ。

2020-06-29 21:27:39
帽子男 @alkali_acid

読むと十日以内に十通同じ内容を出さないと死んでしまう「不幸の手紙」は、すべてシャン・シャンが追跡しことごとく食い尽くしてしまった。 「枕元に置いて眠ると人間の魂を吸い取るぬいぐるみ」もとりあえず見つけた途端に腹に収めた。

2020-06-29 21:29:56
帽子男 @alkali_acid

シャン・シャンは独特の目利き鼻利き耳利き舌利きで、尋常のものではない怪異を探り出す。 例えば、骨董屋に並んでいる古ぼけた銅鍋のうち一つだけが、中からぐつぐつぐつと人間に似た種族の肉を煮込んだ有毒強酸の羹が湧き出させてくるが、現代科学にはどれか判別ができないとする。

2020-06-29 21:32:37
帽子男 @alkali_acid

シャン・シャンはそういう場合、すぐに銅鍋の存在を感じ取り、骨董屋ごと平らげる。 店の建物と、土台と、場合によっては店主やその家族も。ぺろりと。

2020-06-29 21:33:41
帽子男 @alkali_acid

財団は現代科学では破壊不能な怪異を「遺物」と呼び、確保、収容、防護する任務を負っているが、遺物と呼べるかどうかの判断基準のひとつは、 シャン・シャンが食欲をそそられるかどうか、である。 シャン・シャンが消化できるなら、それは並の怪異に過ぎず、遺物とは呼べない。

2020-06-29 21:35:04
帽子男 @alkali_acid

シャン・シャンはかくのごとく、機動部隊の精鋭としてきわめて有能であり、人類を怪異から救った回数は数えきれないほどである。 が、しかし。 シャン・シャンは財団に忠実な女ではなかった。魑魅魍魎の類を喫せるのに便利だからこそ組織に留まってはいたが、そもそも理想や使命に共感してはいない。

2020-06-29 21:37:01
帽子男 @alkali_acid

財団の方でも、シャン・シャンを職員というよりは、収容しておくべき「遺物」ではないかと考える向きもいなくはなかった。 とはいえ財団が持つ戦力には限りがあり、シャン・シャンに匹敵するほど使い勝手のよいものも少なかったので、目下は多少の逸脱は不問としていた。

2020-06-29 21:38:46
帽子男 @alkali_acid

シャン・シャンは次第に増長し、財団に報告せずに怪異を捕食し、あるいは遺物を新餐庁に隠匿するようになった。 ついに財団も捨て置けなくなり、密かに同じ最高戦力の一つを送り込み、調査と場合によっては収容を行うことを決定した。

2020-06-29 21:41:01
帽子男 @alkali_acid

終端の騎士団の第零番、鏡の乗り手の異名を持つ烈婦ダリューテが、ついに鬼食市に潜入したのである。

2020-06-29 21:41:50
帽子男 @alkali_acid

ちなみに財団は秘密作戦を得意とし、必ず偽装経緯(カバーストーリー)という設定を用意して事を荒立てず作業を進める。 今回の偽装経緯は、はるか世界の北西にある学園都市「学問の都」は古典の府付属中等部による修学旅行「歴史深き安息の国を巡る七泊八日~あの鬼食市を体験~」であった。

2020-06-29 21:44:42
帽子男 @alkali_acid

偽装経緯の信憑性を高めるため、学問の都にある財団の分派組織「学園」に協力を要請。 古典の府の本物の教授であるリンディーレ・リンダール女史が引率を担うことになった。当然ながらほかは生徒ということになる。

2020-06-29 21:46:00
帽子男 @alkali_acid

ダリューテは、ほっそりした肢体の持ち主とはいえ丈は高く顔立ちの幼げなところはなく、立派な成人女性であったが、まあ幸い妖精族という老いも衰えも知らぬ不死の民であったので、古典の府中等部の制服をまとう運びとなった。任務のためならかような試練には立派に耐えるのが財団職員である。

2020-06-29 21:48:16
帽子男 @alkali_acid

本人も当然納得ずくだ。 「なぜ…私が…」 多分。 「協力しておいて今更ですけど、この偽装経緯という財団の慣行、そろそろやめてはどうかしら…あまり意味がないのではなくて?」 そばで妖精学者のリンディーレ教授が、白葡萄酒をすすりながら淑やかに提案する。

2020-06-29 21:51:03
帽子男 @alkali_acid

動きやすい洋袴姿をした中年婦人は、眩い日差しを遮るよう布庇がかかった縁台にある、木彫りの椅子に腰かけていて、目の前に置いた円卓には素焼きの皿に載った橄欖油がけの山羊の乾酪(チーズ)やら岩塩のまぶった腸詰やらが並んでいる。

2020-06-29 21:55:56
帽子男 @alkali_acid

市場で買った持ち込んだ食材を驚くほど安い代金で調理してくれる店だ。 「いえ、財団の工作に間違いはありません」 ダリューテの方はそう答えてから、膝が隠れる程度の丈の裳裾をさりげなく整えると、度の入っていない銀縁眼鏡を直し、見た目は年嵩の連れに促されるまま向かいに座る。

2020-06-29 21:58:15
帽子男 @alkali_acid

「ところで、お喋りを続けて大丈夫かしら?ここにも西方語を解する人がいらっしゃるかも」 「簡単な風の呪文で音を散らせています」 「まあ…妖精の魔法」 リンディーレは言葉を切らし、溜息を吐く。 「ずっと紙の上で研究していた全てが血肉を備え目の前にあるなんて、いつまで経っても慣れません」

2020-06-29 22:03:12
帽子男 @alkali_acid

妖精の騎士は返事代わりにかすかに首を傾げさせた。すると人間の学究は微笑んで別のことを切り出す。 「お探しのものは何でしたかしら」 「禁則事項です」 「…あら…では当ててみましょう。黒き獣でしょう?」 「禁則事項です」 「ウィスティエさんではありませんね…」

2020-06-29 22:07:09
帽子男 @alkali_acid

「禁則事項です」 「もしウィスティエさんを探しているなら、ダリューテさんはもっと急いで調べを進められるでしょうから」 「私はいつも通り職務を遂行しております」 「ええそうでしたね…ウィスティエさんではなく…別の黒き獣…どんな姿をしているのかしら。獣ではなく鳥?魚?」

2020-06-29 22:10:55
帽子男 @alkali_acid

「お答えしないのは、あなたを必要以上の危険にさらさないためです」 「まあ。妖精の騎士が一緒なら危険なんて思いもよりません…ええと。何と言っても、これだけ珍しい食材がそろう市場ですもの、いるのは、もっと風変わりな姿をした獣かもしれませんね…身近なものではなく…例えば伝説上の獣」

2020-06-29 22:13:30
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