池上冬樹さん(@ ikegami990)と小説の新人賞

まとめました。
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池上冬樹 @ikegami990

▼「このままでは本にできない。でも作家には3回も書き直しをしてもらって、キレかかっている。池上さん、○○好きですよね? 池上さんの指摘ということなら4回目の書き直しにも応じてくれると思う、どうでしょう?」と某編集者に頼まれた。読んだら確かに問題点があり、それをいくつか指摘した。

2020-07-12 01:04:51
池上冬樹 @ikegami990

▼2)作家は書き直しに応じた。単行本が刊行された。評判にはならなかったが文庫化されてベストセラーになり作家の代表作になった。でもその後が続かない。新聞からの書評依頼も二回断った(二作とも褒められくて)。厳しい編集者がいなかったのか、それとも力を落としたのか。期待しているのだが。

2020-07-12 01:05:10
池上冬樹 @ikegami990

▼新人賞の下読みで、これは最終候補に残るだろう、いや、間違いなく受賞するかもと思って上にあげたら、「すでに電子書籍になっているので外します」と編集者から連絡があった。電子書籍にしたものを応募するなよ。応募するなら本になっていないものを。本にするのは落ちた後でいいではないか。残念。

2020-07-12 01:06:22
池上冬樹 @ikegami990

▼電子書籍を賞の候補から外すのは当然だが、某新人賞の2次選考に上がった(最終候補ではない)という理由で落とす賞も増えてきた。かつては問題なかったが、誰もが検索できる時代では、A賞の2次通過作品がB賞の候補になっていると格好が悪い。編集部が完全な新作を求める傾向にもあるけれど。

2020-07-12 11:55:03
池上冬樹 @ikegami990

▼2)応募者もその辺の検索事情を知っていて、別の賞に名前と作品名をかえて応募してくる。で、見つからないかというと見つかるのである。僕も他の評論家もそうだが、みな賞の下読みを複数している。「あ、これ某賞の下読みで読みましたね」と気づく。編集者に伝えて、その作品はボツになる。

2020-07-12 11:55:35
池上冬樹 @ikegami990

▼最終候補作を決める予選会議(評論家と編集者の合同会議が多い)で一度も最終候補にならない書き手の話で盛り上がるときがある。みな複数の賞の下読みをしているから“常連" に詳しい。あの人は毎回同じ書き方で丁寧だけど面白くない、書く方法を変え、題材を別にすればいいのに、なんて話になる。

2020-07-12 12:09:08
池上冬樹 @ikegami990

▼2)力はある、でも孤独に書いているし、あまり本を読まないからレベルアップしない。で、A賞で落ちたらB賞、B賞で落ちたらC賞、C賞で落ちたらD賞と送り先をかえるだけ。ABCD賞の下読みをやっている評論家たちの話題になるだけ。山形や仙台講座に来てくれたら詳しく書き方を教えるのに。

2020-07-12 12:09:54
池上冬樹 @ikegami990

▼文学賞の下読み(一次または二次選考)・予選委員(最終候補作を選ぶ)をしていると「運」を考える。最終候補作が決まった後に問題(二重投稿など)が発覚してボツに。代わりに一作上にあげるのだが、こんなものをあげても選考委員は推さないだろうと思ったものが受賞作となったりする。過去に二回。

2020-07-12 18:28:54
池上冬樹 @ikegami990

▼2)でも、そういう作家が意外と化けたりするから面白い。編集者としかと向かい合い、相手のいうことをきちんと聞き、書き直しにも何回も応じて仕上げるからだろう。運というものが、実は、その人の性格によって生かされるものであることがわかる。名前はいわないが、直木賞を受賞した作家もいる。

2020-07-12 18:30:03
池上冬樹 @ikegami990

▼3)毎回予選委員が強く推しても賞をとれない最終候補作家もいる。何回も受賞できないと迷走して、受賞できるような作品を狙ってくる。でも大抵はつまらない。個性をなくした作品で逆に最終候補にあげられない。他賞を狙っても賞がとれない。実力はあるのに腐り、そのうち消えてしまう。何人もいた。

2020-07-12 18:31:16
池上冬樹 @ikegami990

▼文学賞をとったもののフェイドアウトした人が、昔の栄光を求めてまた文学賞に応募してくる。元受賞作家たちが彷徨っている。でも賞をとって2、3作で消えた作家は伸びない。書けないからだ。編集者の要求に応えられない。元作家にはハンデをつける。よほどの傑作でなければ最終候補に辿りつけない。

2020-07-12 23:23:05