大学の犯罪 児玉作左衛門などによるアイヌ遺骨の盗骨 附:琉球遺骨盗骨問題

【その1】は基本、抜粋です。追加した【その2】は「琉球遺骨返還請求訴訟・支援集会」に参加しての感想。
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【その1】

熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

松島泰勝・木村朗編『大学による盗骨』(2019)所収、植木哲也「アイヌ遺骨返還運動とDNA研究」より。 《日本人としてはじめてアイヌ遺骨の大量収集に手を染めたのは、(略)現在の東京大学医学部の解剖学教授だった小金井良清である。》《幕末(略)英国人によるアイヌ墓地盗掘事件があった。➡

2019-07-02 20:31:40
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この行為は犯罪として罰せられた。ところが、それからわずか二〇年あまりで、小金井の発掘は犯罪とされるどころか、むしろ多くの人の協力を得て実行された(略)なかでも重要なのは、行政関係者と医療関係者の協力である。》、《アイヌにはあくまでも無断で墓地を掘り起こした。アイヌの目を盗み、➡

2019-07-02 20:35:20
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あるいは発掘がばれないように言い訳をした様子が、小金井自身の手記に記録されている。当事者の了解を得ていないのだから、盗掘であることは間違いない。それにもかかわらず、和人たちは積極的に協力した。(略)和人社会全体が犯した犯罪だったのである。》

2019-07-02 20:37:49
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《昭和になると、アイヌ墓地発掘はいっそう大規模化する。(略)北海道帝国大学医学部の(略)児玉(作左衛門)は、(略)北海道各地、さらには千島列島や樺太で膨大な数のアイヌ頭骨を収集した。戦前だけでも五〇〇を超える頭骨を集めた。北海道大学の頭骨収集は戦後も続いた。》

2019-07-02 20:47:02
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《北海道大学の頭骨収集は戦後も続いた。一九五五年から五六年に北海道日高地方の静内町(現新ひだか町で都市計画事業による墓地「改装」が行われた。その際、和人の遺骨は新しい墓地に移されたが、一六〇あまりのアイヌ遺骨は北海道大学医学部がそのまま持ち去った。》

2019-07-02 20:57:34
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なお、市川守弘『アイヌの法的地位と国の不正義』(2019年)は、50年代の上の一件に続き、なんと70年代初めにも「改葬」が行われ、《通常であれば改葬で新しい墓地に埋葬されるべきアイヌの人たちの遺骨が北海道大学によって持ち去られ》、その数はこの両件で200体近くと書いている。

2019-07-02 21:05:11
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

当然、これは「墓地埋葬法」違反であり、静内町は新しい墓地に改葬されなければならないアイヌ遺骨を北海道大学に「寄贈」してしまったのである。《しかも、「墓地改葬事業」であるにもかかわらず、人骨だけでなく副葬品の発掘調査をも行い、人骨とともに副葬品も北海道大学は持ち去ったのである。》

2019-07-02 21:11:17
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《静内町は、埋葬されていたのがアイヌであるがゆえに、その遺骨と副葬品を北海道大学が研究室に持ち去ることを認めたうえで、「研究には役立たない」頭骨以外の残骨についてのみ焼骨して改葬後の無縁墓に埋葬していた。これは北海道大学と静内町が共同で行った墓地埋葬法違反行為なのである。》

2019-07-02 21:14:54
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

《アイヌの墓地を無断で発掘し埋葬されているアイヌ遺骨を掘り出す行為は、戦前でも刑法に触れる行為(墳墓発掘罪、死体損壊罪)であった。それでも研究者は「古墳あるいは遺跡の発掘である」とか「無縁墓だからよい」などといって発掘していった。しかしアイヌの墓地は「古墳」でも「遺跡」でもない》

2019-07-02 21:19:11
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

【重要】 《小金井良精も清野謙次もアイヌの目を盗んで遺骨を持ち去った。墓地発掘の犯罪性を自覚していたからだろう。一方、 児玉作左衛門はアイヌの眼前で墓を掘った。多くのアイヌたちが恐怖心をいだき強く抗議した様子は、児玉の論文からも伺える。しかし、遺骨を取り戻すことはできなかった。》

2019-07-02 21:23:39
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

以上、児玉作左衛門を始めとした大学関係者の犯罪行為、レイシズムは常識人の嫌悪と糾弾とを呼び起こすものであり、遺骨は無条件に旧の所に返還されて当然との声を生むものと考えるのだが、何とアイヌ民族や琉球民族の人々が遺骨を取り戻す為に裁判に訴えざるを得ないという現状が存在しいるのである。

2019-07-02 21:31:13
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

なぜ学者達はアイヌ人骨を盗骨したのか? 前掲・市川守弘『アイヌの法的地位と国の不正義』より。 《このような掘り出されたアイヌの遺骨は当初、形質人類学(略)の研究のために利用されていた。この研究はアイヌの人たちの頭骨をさまざまな角度から測定し、その計測値を樺太アイヌ・和人・朝鮮人➡

2019-07-03 20:42:52
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

などのデータと比較し、アイヌの特徴を明らかにしようとするものであった。だから遺骨のうち重要だったのは頭骨であった。ただ、この比較研究は、戦前の“大和民族優越”思想(“優生学”ともいわれる)のもとでの、「アイヌは劣り」「和人は優秀である」との結論を出したいがための研究であった》

2019-07-03 20:46:05
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

なお、市川は植木哲也『新版 学問の暴力』(2017)の《日本学術振興会のアイヌ調査研究が民族衛生学会の主導で実施されたということは、墓地発掘もまた優生学思想の支配下にあったといえるだろう》との指摘を引用し、《アイヌ墓地の発掘とアイヌ人骨の研究が、当時の日本政府による天皇中心の➡

2019-07-03 20:50:44
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

「大和民族優位論」を思想的背景として色濃く持っていたことを指摘している。》と述べる。 そして《北海道帝国大学でアイヌ遺骨の研究を中心的に行っていた教授は児玉作左衛門であった》と述べる。※児玉作左衛門(1895〜1970)。

2019-07-03 20:53:13
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

熊猫感想。 自然人類学の主流が頭骨の計測などの形質人類学からDNA解析を中心とした遺伝子人類学に代わっても、“日本人の優越性”(とは言わないが)、東アジアの諸民族の中での日本人(大和民族)の特異性を強調しようとする傾向は変わっていないのではないかと思う。

2019-07-03 21:04:58
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

後、遺伝子人類学の第一人者と言えば、やはり篠田謙一氏で、長浜浩明などのネトウヨに叩かれまくっているが、問題の多い人で、日本人類学界会長をも務める氏が国際的な「先住民族」概念を「理解」もしていなければ、「盗骨」を真剣に反省しているように思えないのである。 twitter.com/xiongmao53/sta…

2019-07-03 21:25:42
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐰 @xiongmao53

まあ、これでいうとnobutake氏も篠田謙一氏も先住民族の国際法的意味を理解していないという共通項があるのですが。国連決議などによる先住民族とは近代以降の植民地化の問題で土地を奪われたり被害を受けた人々のことであり、太古からその地に住んでいた集団を意味しません。

2019-04-03 21:12:45
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

なお、市川守弘『アイヌの法的地位と国の不正義』によると、北海道大学が北海道・樺太・千島などから「収集」したアイヌ遺骨は頭骨だけで1000体を超え、内35体がアイヌの強い要求によって1985年から2001年にかけて当時の北海道ウタリ協会の5支部に返還されたが、その後は一切返還されることなく、➡

2019-07-04 20:33:33
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

逆に北大は返還を拒否しているという。 その原因として、市川は《遺骨に関して新しい研究分野が生まれたことに原因がある》と見ているという。即ち遺伝子人類学であり、古代人骨からもDNAを取り出せるようになり、これによって所謂「日本人の起源」を解き明かせるという期待が高まっているという。

2019-07-04 20:38:29
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

なお、これについて市川は《現在大学などが保管しているアイヌ遺骨から(略)DNAを抽出し研究することが許されるかどうかは、アイヌの人たちの権利の問題であり、法的な問題であり、研究の是非とは関係ないこと》と主張する。

2019-07-04 20:41:48
熊猫さん🐼🐷🐶🐻🐉🇵🇸 @xiongmao53

(参考文献) ①松島泰勝・木村朗編『大学による盗骨』(耕文社 2019年)所収、植木哲也「アイヌ遺骨返還運動とDNA研究」 ②市川守弘『アイヌの法的地位と国の不正義』(寿郎社 2019年)序章。

2019-12-03 19:34:02