ストレイトロード:ルート140(50周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」をベースに、毎日1作ずつ投稿している掌編という名の習作。 今回は2451~2500+おまけ。リクエスト回以外のテーマは「海」。なお各話の内容につながりはありません。 主人公は風を操る少女・藍(ラン)、語り手は彼女の従者をしているおじさんゼファールです。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2462。紫外線。

2020-06-17 19:29:00
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「きっとあれね、海の底にある家」防波堤の内側に並ぶ奇妙な円筒は、藍によると通気孔らしい。水圧に耐える素材を再開発した企業の関係者が、試しに沈めた構造物に住んでいるという。もちろん全体像は波の下なので見えない。「もう高台は嫌だからってここまでする?」藍は風に侵入させるか悩んでいる。

2020-06-18 18:50:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2463。水圧。

2020-06-18 18:50:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

沖から波に押されてボートが戻ってくる。途中まで懸命に漕いでいた藍は疲れたのか飽きたのか、流れに身を任せて空を見上げていた。その背後に黒い背鰭が迫る。浜辺からでは種類まで特定できないが人工物には見えない。ボートを持ち上げた波の下に一瞬、凶暴な横顔を見た気がした。私達の声は届かない。

2020-06-19 18:45:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2464。背鰭。

2020-06-19 18:45:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

空飛ぶ怪物は高い構造物に好んで巣をかける。大型クレーンがある施設は狙われやすいからと、私達が見学した造船所は様々な対策を用意していた。案内役の説明がエンジンを語る時のように熱い。「迎え撃つ日を楽しみにしてる子みたい」移動中に藍が呟く。風向きの関係で当面は来ないと彼女は知っている。

2020-06-20 18:58:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2465。造船所。

2020-06-20 18:58:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

海岸に流れ着いた土塊を藍は船の積み荷と思ったようだが、正体は破損した蛸壺だった。中身は既に逃げた後だろう。「これを漁に使う?」藍は壺の底に刻まれた記号を睨み、まだ他の解釈を探している。「まさか船から投げて海水ごとすくうとか?」釣り針でも網とも違うその方法は悪魔の発明かもしれない。

2020-06-21 20:02:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2466。蛸壺。

2020-06-21 20:02:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

昨日私達が降りた桟橋が消えていた。陸地側の一部が辛うじて残った他は、木片となって波間に漂っている。「昨日空から落ちたあれ?」藍は夜に聞いた衝撃音との関係を疑ったが、職員は別の方角を指した。「物音の正体でしたらあちらかと」着岸に失敗した小型船がひっくり返っているようにしか見えない。

2020-06-22 18:47:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2467。着岸。

2020-06-22 18:47:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

雨降りの砂浜を出歩く人は少ない。荒れた海を眺める者などもっといない。だが藍は聞き込みを続けると言い切る。「さっきのおばさんの話聞いてなかったの?」冷たい一瞥だけ置いて先へ行ってしまった。仕方なく後を追い、訪れた食堂で答えを知った。「化け物?ああ見たよ」釣り人の団体が揃って頷いた。

2020-06-23 20:47:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2468。釣り人。

2020-06-23 20:47:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

雲間に走る電光は一種の合図だった。風速を弱めるか、せめて風向きを変えるよう伝えたいのに、その風の強さ故に声は藍まで届かない。怒りがそうさせるなら止める手段は幾らかある。だが彼女は今、大気の制御という大仕事と向き合っている。考える間にまた光花を目視した。こちらも電光石火で動かねば。

2020-06-24 19:16:05
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2469。電光。

2020-06-24 19:16:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「何もない集落なんてないのよ、本当は」藍は村の商店から漁師小屋までくまなく巡り、人々の懐を大いに暖めた。そして車には様々な古道具が積まれた。投網を広げてみたら破れを見つけた。「これで何を捕まえるつもりですか」「今聞いてどうするの?」藍が顔を背けたまま答えた。確実に何か企んでいる。

2020-06-25 19:10:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2470。投網。 少なくともゼファールには投げないよね。多分。

2020-06-25 19:10:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

携帯端末の着信音で目が覚めた。朝から連絡してきたのは藍の母親だった。『無事だったのね!海にでも放り込まれたかと!』滞在している家の主、藍の伯父は姪の従者である私を気に入らないらしい。電話越しに言われたという文句を電話越しに聞かされた。妹の家庭に波風を立てるのが目的なら多分失敗だ。

2020-06-26 18:46:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2471。波風。

2020-06-26 18:46:50
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

貢物は多い方がいいと買い物を止めない藍達に、自分で作ってはどうかと提案した。「市販でない、つまり金では買えない物にこそ惹かれるかと」こうして塩を作ることになった。ただし海水を集め濾過するのも煮るのも私。藍と仲間は送り先の攻略法を考え始めたが、議論が先に煮詰まる可能性はなさそうだ。

2020-06-27 19:22:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2472。煮詰まる。 「行き詰まる」ではなく。

2020-06-27 19:22:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

魚市場は見学不可と門前払いされたことを根に持っているのか。藍は不満を述べるばかりで手元のパフェが少しも減らない。「魚を買う人が行く場所なんでしょ?」相手を下に見る言い方ではなかった。事情か規則があるのだろう。「材料がないと対決に勝てない」クッキーの人魚がクリームの海に沈められた。

2020-06-28 19:07:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2473。魚(さかな/うお)。 違う読み方を使ってまとめる練習。 あと、パフェの日。

2020-06-28 19:07:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「人間だってあいつのことは言えない」崩れた堤防を波が飲み込む。少年の大切な村を破壊した怪物は軍の追跡を逃れて飛び去っていく。「先も周りも考えない、自分の欲しいものだけ根こそぎさらっていくじゃないか」そんなわけが、と言いかけた藍を遮った。目の前の海で魚一匹取れない謎がやっと解けた。

2020-06-29 19:06:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2474。根こそぎ。

2020-06-29 19:06:11
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