
ファンタジーの『勇者・冒険者』が、一種の「保護剥奪」「追放刑」を受けた”賤民”だったら?〜大西巷一氏が想像する
昔、世界には「平和喪失」という”刑罰”がありました

彼を手当てし匿った。 事情を知ったオーロフ王は民会を開き、エームンドゥを平和喪失刑(法の外に置く刑罰、殺されても誰も文句を言わない)に処すと、王女インゲヤードゥは一艘の船を仕立て、エームンドゥを国外へと逃がした。 数年後、インゲヤードゥがキエフ大公国のヤロスラフ賢公に嫁ぐと(続く pic.twitter.com/owEHbZceyd
2019-09-22 18:55:59
平和喪失(読み)へいわそうしつ(英語表記)Friedlosigkeit
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
中世ゲルマン社会における最も重い刑事制裁。犯罪人をジッペが保障してきた法律の保護の外に放逐するというもの。人民や国家自体の法益を侵害した場合,破廉恥罪のような不名誉な心情にいでたる犯行の場合,犯人は平和喪失者となり,同時に法喪失者となった。これによって,彼の一切の法的関係は解消されることになる。平和喪失となった犯罪人は共同体から追放され,なんぴとがこれに危害を加えても処罰されたり,贖罪金を払わせられたりすることはなく,当時にあっては死刑そのものと等しかった。

おもに歴史物の漫画描いてます。 『女媧~JOKER~』『曹操孟徳正伝』『おてんば珠姫さま!』『ダンス・マカブル~西洋暗黒小史』『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』シリーズなど。『星天のオルド タルク帝国後宮秘史』連載中。 にゃんこを3匹飼ってます。北海道コンサドーレ札幌を応援してます。

大昔考えたネタだけど、「中世ヨーロッパ的世界観」に「冒険者」という職業があったらほぼ確実に「賤民」扱いされるだろうなと。各地を遍歴し、人の住まない山野で活動し、生き物(モンスター)を殺すことを生業とし、魔法を使う奴までいるなど、賤視される要素てんこ盛りだからね(笑)
2018-03-26 23:46:07
旅芸人と羊飼いと刑吏と傭兵と錬金術師を引っくるめたような、名誉あるまともな市民から見れば怪しさ満点の職業、それが冒険者。衣服に冒険者のマークを付けることや、賤民用の宿屋に泊まることや、ミサの際は最後尾の席につくことを義務づけられ、一般市民からエンガチョさる存在。
2018-03-26 23:46:08
冒険者とは知らずにうっかり一緒に酒を飲んだ人が、その瞬間から賤民に落とされ、職も家族も失い、冒険者として生きていくしかなくなる、という悲劇も起きたりするに違いない。
2018-03-26 23:46:08
ゲームとかで主人公がいきなり王様に呼び出されて、棍棒とか粗末な武器ひとつ与えられて、魔王退治に送り出されるのって、実は一種の追放刑・名誉剥奪刑なんじゃないだろうか…一体何をやらかしたんだ、勇者さまは?
2018-03-26 23:46:08関連です
このまとめを読んで、2年前のツイートを思い出しました

一部は、ここにも収録されています

全部同じではないので、互いに補い合えると思います

@kouichi_ohnishi 死罪にするのは憚られる程度に、いいところの坊ちゃんとかが受ける刑罰なんじゃないですか?(笑)もしくは死罪に値する刑を受けた人の身内が受ける刑罰。
2018-03-27 00:18:44
@fuyuno_ikuya これを仮に「勇者刑」と名付けますがw、魔王を倒すまで帰ってくるな、というのはかなり過酷な刑だと思われます。法の保護外に置くという名誉剥奪刑を受けた人物は文字通りアウトローとして盗賊になったりしますし、罪の贖いに十字軍に参加するという例もあります。それらの折衷的なものかなと。
2018-03-27 01:25:02
@fuyuno_ikuya 罪を犯した人間が刑罰として危険な敵と戦う任務に従事するのが「勇者刑」だと考えると、ゲーム・オブ・スローンズの「ナイツウォッチ」なんかはそのイメージにぴったりです♪
2018-03-27 01:26:43
@kouichi_ohnishi ヤマトタケルの話とか、武士のごく初期の在り方とか考えますと、非常に興味深い視点、なるほどと思わせていただきました。(ダビデが羊飼いの杖と石投げだけを持って敵に向かったのも、聖書では自発的になっていますが、実は…… と妄想したくなります。)
2018-03-27 03:15:11
@kouichi_ohnishi たしかに!あ、でもナイツオブウォッチは一部権威は剥奪されてないイメージです。名誉職的な。
2018-03-27 06:14:48
@kouichi_ohnishi そういえば、勇者って普通に生きるには無駄に強いって事は、色々喧嘩早くて白眼視されてた厄介者? あ、人の家のタンスとか勝手にあけて持っていくのも手癖の悪さから追放されたとかw つまりならず者にさせないための勇者縛りで、魔物と戦ってる内は法の保護の下、不法行為を認めてやる、と。
2018-03-27 07:22:57
@kouichi_ohnishi 中世よりも少し後の時代の騎士物語には、遍歴の騎士が滞在する土地の厄介事に対処したり、馬上槍試合に参加して賞金を稼いだりするというパターンの逸話が多々ありますので、自分的には遍歴騎士と従者グループの延長上で「中世のリアル冒険者」を捉えておりました。(遍歴騎士の史実性はさておき)
2018-03-27 10:57:09
@kouichi_ohnishi @mon_emon 人の家に押し入り破壊の限りを尽くし有り金をすべてかっさらう恐ろしい魔物だからだよ
2018-03-27 12:57:15
@kouichi_ohnishi 騎士ではなく戦士、祭司ではなく僧侶、そして遊び人と商人・・・ 最終局面になって遊び人が賢者になれるのも、元々遊び人にだけお目付け役のロールがあったのかなぁ・・・とか邪推しちゃいますね。
2018-03-27 13:34:48
@fuyuno_ikuya ナイツウォッチは建前上は名誉職だけど、なり手が不足して罪人とかを徴用するようになってましたね。エダードやティリオンも「死一等を減じて壁送り」になりかけたり。興味深い設定だと思います~
2018-03-27 15:02:11
@takivictory むしろ逆で、勇者宣告を受けた者は法の保護外に置かれてしまい、実質ならず者同然になってしまうのではと。町の人も決まり文句以外は口を利いてくれません。武器屋など魔物退治に最低限必要な取引は可能ですが、基本的に魔王を退治するまではまともな市民には戻れないのですw
2018-03-27 15:15:19