ひらがなドラフト

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さて、昨今話題の『ひらがなドラフト』だが、何度かカジュアルプレイを繰り返す内に、このゲームには高い戦略性と広大なデザイン空間が残されている事が判明した。今回はそんな #ひらがなドラフト の深い戦略性に焦点を当て、実際に行われたドラフト戦を元にリプレイを執筆してみようと思う。

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まず、 #ひらがなドラフト は以下のルールによって成り立つ。 カードゲームにおける『ドラフト』の概念と、『面雀』や『ひらがなポーカー』のような面白い言葉を作ってゲラゲラ笑う要素を組み合わせた非常に頭の悪い遊びだ。 今回は10人環境。まずはパックの作成に入ろう。 twitter.com/ebleco/status/…

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#ひらがなドラフト において、戦いはパック作成の段階から始まっている。下家の動揺を誘い、最適なピックを妨げるのも有効な戦略の一つだ。 私が開く卓では、濁音や拗音は区別している。『よ』と『ょ』、『か』と『が』等は別のカードとして扱うというわけだ。 その方が戦略性が高まるので奨励する。

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私が作成したパックは以下の通り、 『み』 『ず』 『の』 『よ』 『う』 『に』 『や』 『さ』 『し』 『く』 汎用性の高いカードを幾つか収録しながら、全体で見たデザイン上の美しさに気を配った。きっと花のように激しい造形のこのパックは、下家の動揺を誘い、震える刃で貫いてくれる事だろう。

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一巡目。 『お』 『ち』 『ん』 『ち』 『ん』 『び』 『ろ』 『ん』 『ろ』 『ん』 この程度のパックで動揺してはいけない。小学生ビート等は #ひらがなドラフト において基本戦略の一つであり、冷静さを欠いてはならない。定石では『い』や『ん』等の汎用性の高いカードをピックする事が望ましい。

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この場合、定石では『うんこ』等のコンボパーツとして採用出来る『ん』をピックする事が望ましいが、既にパックの中で３枚もある『ん』に安易に飛びつくのも考え物だ。『ん』がフラッドする恐れがある。ここはアンコモンでありながらも汎用性の高い『お』を選び、攻めのピックを行っていこう。

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二巡目。 ｜と｜り｜あ｜え｜ず｜な｜ま｜び｜る｜ 明らかに『い』が抜かれている。上家は定石に従って手堅いカードをピックしたという事だろう。このシグナルは環境を読む上で重要だ。。通常ならば『あ』をピックして『あお』とシナジーを期待するのが妥当だが、それでは少々運に左右され過ぎる。

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ここは敢えて『る』をピックし、手札の『お』を合わせ『おる』とシナジーを期待してみよう。 回ってくるパックに左右されてしまう為、理想論ではあるが、『どなたかおるやんけ』などの強力なコンボへと繋がる可能性もあるし、『なんかおる』程度のコンボであれば十分現実的だ。悪い選択肢ではあるまい

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三巡目。 ｜り｜じ｜ょ｜う｜じ｜え｜い｜た｜ 三巡目程度であれば、まだパックの元の形を想像出来、上家のシグナルを判断する事も可能だ。通常のデッキ構築であれば『い』を２枚以上ピックする価値は薄い。上家のピックは恐らく『いく』となっているはずだ。ならば、定石に従って『い』をピックだ。

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四巡目。 ｜む｜こ｜う｜せ｜ん｜ま｜ん｜ パックの元の形が判断し辛くなってきた。やはり『ん』がフラッドを起こしている。初手での『お』のピックは間違いではなかった。……この時点で『ん』が2枚……まだ回ってくるチャンスはあるか……？　よし、ここは冗長性確保の為に『う』をピックだ。

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五巡目。 『せ』『せ』『ょ』『う』『ょ』『う』 ……ピックが裏目に出たか……！　やはり『おるやんけ』に繋げる為にパーツである『ん』をピックしておくべきだったか。まさか『う』が余っているとは……！　だからと言って手札に『い段』の文字が無いのに『ょ』をピックする冒険は出来ない……！

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戦略上のミスを悔いていても仕方がない。ここで『ょ』を取るリスクは避けたいが、『せ』をピックした所で手札の『お』『る』『い』『う』と大したシナジーは期待出来ない……苦しいが、此処は最も汎用性が高いであろう『う』をピックだ。

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六巡目。 『ば』『う』『る』『ざ』『け』 ……完全に『お』と『る』と『が』が抜かれている……！！ 危なかった。上家のシグナルを見逃さず、攻めの『る』をピックしておいたまではいいが、ここで『ば』は余りに重い。やはり『おるやんけ』を目指してピックしておけば……ここは『け』をピックだ！

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七巡目。 ｜ぐ｜ぐ｜だ｜い｜ 『い』はもう必要ないが『ぐ』の汎用性も高いとは言えない。……成程、ここは『だ』をピックだ。手札の『け』と組み合わせれば『だけ』と限定語句を作っていく事が出来る。最悪の場合、手札を投げ捨てて『いるだけ』と構築して敗北自爆ボタンとして運用する事も可能だ。

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八巡目。 ｜か｜め｜ら｜ 残り３ピック。最早殆ど選択肢が残っていないこの局面において、ここまで真っ当に語彙が成立しているパックは貴重だ。ここは汎用性の高い『か』をピックだ。 下家から「お兄さんから12点くらいのダメージが流れて来た」と声が聞こえて来たが、炎耐性を持ってない奴が悪い。

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九巡目。 に｜さ 今回は10人環境の為、選択肢のあるパックが回ってくるのはこれが最後となる。 手持ちのカードとのシナジーを考えて、ここは『に』をピックしておく場面だろう。プレイヤーの人数が多い環境では、『に』や『の』のような接続詞として使用できる文字は相対的に価値が上がる事が多い。

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十巡目。 『の』 最後のピックは、自分のパックから『誰にも選ばれなかったカード』が返ってくる事となる。このカードが帰って来た以上、私のデッキのアーキタイプは『接続詞文章コントロール』でほぼ決まりだ。 さぁ、ピックしたカードを並び替え、構築に入ろう。

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では、私がピックしたカードを確認してみよう。 『お』『る』『い』『う』『う』『け』『だ』『か』『に』『の』 の計10枚だ。 残念ながら『や』が流れて来なかった為『おるやんけ』のコンボは組めないが、虚無感を推した『いるだけの～』軸、フレイバーで勝負に出る『におい』軸などが考えられる。

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オールインで考えるのであれば、『うにのおいるだけかう』、『雲丹のオイルだけ買う』。それなりのデッキパワーを見せながらも、全てのプレイヤーが10枚もカードを使う事が出来るこの環境では、聊か力不足と言わざるを得ない。ここは、何枚かのカードを敢えて削り、インパクトのある言葉を作っていこう

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そこで、私が構築したデッキが、これだ。 『け』『だ』『る』『い』『か』『お』『の』『う』『に』 ……『気怠い顔のウニ』。敢えて重複した『う』を１枚デッキから削る事により、何とも言えないメランコリックな風情が生み出せた。『におうだけのいるか』などの別プランもあったが、これで勝負だ。

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一斉に構築したデッキを公開して、プレイヤーは全員ゲラゲラ笑い転げた。ゲラゲラ笑えればこのゲームでは勝ちである。 他のデッキも『よめびよういんなう』、『おだくんとぼいん』など、恐るべきデッキパワーの構築が並んでいた為、あと一手でもピックを失敗していたらこの勝負は判らなかっただろう。

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特に『おだくんとぼいん』等はあと一歩踏み込まれていたら危なかった。敢えて２枚のカードを削る事により、そのまま４コマか何かとしてtwitterで連載出来そうな程のパワーを秘めている。クールな小田くんが巨乳に惑わされる様が目に浮かぶようだ。このゲームは基本的に出来上がる言葉の知性が低すぎる

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以上が、エキサイティングで知的な戦略を要求される割に、出来上がる言葉の知性が低すぎる事で評判のゲーム、 #ひらがなドラフト の一連の流れだ。 諸君らもこのリプレイを参考にして、実際に『ひらがなドラフト』を楽しんでみてくれれば幸いである。 それでは、『良いひらがな』を！