ネット上に散見されるアイヌ民族「否定」論への反論（５）

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知里真志保『日本語とアイヌ語の関係　マタギという言葉の存在について』より 《古く東北地方に進出してきた日本人は、その当初においては、先住民族であるアイヌの生活様式を多量に採用しなければならなかったであろう。もちろん、それは後になってしだいに廃棄されていったにちがいないけれども、➡

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この地方のようにアイヌの血が比較的優勢であった特殊の地域においては、ことにまた狩猟のような信仰のからまる特殊の世界においては、古い時代の慣習と言語が、比較的後代にまで保存されていたとみていいはずである。マタギのアイヌ語は、すくなくともそれを言語のうえで証明するものだと思う。》

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《近ごろエゾ非アイヌ説が流行し、古代のエゾはアイヌではなく、日本民族と人種を同じくする辺民にすぎぬとなし、東北地方の地名などもアイヌ語で解けるものは日本語でだって解いて解けぬことはない、などと強弁する学者まで出て来たようだが、その人々はマタギの山言葉の中にあるアイヌ語を、➡

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どのように説明づけるのであろうか。》 （『北海道新聞』昭和36年2月3日朝刊） 知里真志保が言っている「エゾ」は文脈からして、もちろん「蝦夷（エミシ）」のことである。

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昨日も「縄文人が先住民」とほざくネトウヨがしつこく自説を押しつけてきたが、ならば縄文人の遺伝的文化的伝統を引き継ぐアイヌこそが日本の先住民であり、大陸系の要素が圧倒的な大和は「侵略者」ということになってしまう。実際、戦前はこれがほぼ定説だった。大和は外来の「天孫族」だったのである

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実際、縄文人の遺伝的要素がせいぜい2割もない大和が縄文人との混血を理由に「先住民」と主張することは、アメリカのレイシストが若干のインディアンとの混血を理由に、自らも「先住民」と主張するのと指して変わらないだろう。

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大体、「縄文人が先住民」という主張がおかしいのであって、先住民とは原始時代にさかのぼるような問題ではなく、近代国家の国境線が画定する過程で生まれてきた問題である。

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琉球とアイヌが先住民（先住民族）と言うのは、明治になるまで日本国家には編入されておらず、多数派の大和とは違った民族として存在しており、更に日本国家への編入後、その文化やアイデンティティが否定され、同化を強制されたからである。

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とどのつまり、ネトウヨがあれこれ屁理屈を並べてでも否定したいのはアイヌという自分たちと違ったアイデンティティを持った民族の存在であり、それこそ思想的ジェノサイド以外の何物でも無い。

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そもそも、たとえ共に先祖が縄文人であろうと、その後の歴史の流れの中で、中国文明の影響を受けて国家・民族の形成を行った大和と、大して受けていないアイヌとが違う民族であるのは当然であり、実際、文化も言語も大きく違い、その際は大和内部の地方差の比ではない。

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大体、「共に縄文人の子孫だから、同じ民族だ」という説明で、果たしてアイヌが納得するのだろうか。それどころか、大和の中にも反対する人間が出てくるだろう。実際、アイヌが縄文人の子孫であるかどうかをめぐって、ネトウヨどうしが喧嘩している（笑）。 twitter.com/xiongmao53/sta…

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①北海道の反アイヌカルト集団と②日本第一党というネトウヨどうしがアイヌの起源をめぐって喧嘩している（笑）。まあ、②の方が強すぎてけんかにもならないようだが。 ちなみに、①がアイヌは縄文人とは無縁の鎌倉期に北来した集団と主張しているのに対し、②はアイヌは和人同様、縄文人の子孫、と➡

2021-02-07 15:46:11

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既に遺伝的にアイヌと大和よりも、大和とコリアンや漢族の方が近い事ははっきりしているが、文化的言語的（文字をも言語と考えれば）にも、大和はアイヌとより漢・コリアンの方に圧倒的に近いだろう。 twitter.com/xiongmao53/sta… pic.twitter.com/vvebjzPo3Z

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上図は、斎藤成也『核DNA解析でたどる日本人の源流』（河出書房新社 2017年）より。