特攻兵器「伏龍」の正体

稚拙で単純な特攻兵器兵器とされる伏龍ですが調べるうちに複雑かつ概要程度しかわかっていないことがわかったので簡単にまとめてみました
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BOOBY @Bonjin13_BOOBY

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伏龍について素人ながら調べてみようと思ったのは前に特攻機の終速について調べるために買った光人社NF文庫「特攻の記録」の中に伏龍開発に尽力した海軍工作学校研究部員清水登大尉の記事が記載されていて、その内容が一般的に語られる伏龍のと大きく違ったのが気になったからだ twitter.com/Bonjin13_BOOBY…

2020-06-18 17:54:39
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九九式艦爆の爆撃要領では投下高度600m、終速は370km/hで投弾となっているので終速は700キロ余り、一方で理想的な突入をした特攻機の終速は720km/h程度と考えられていたので、どうも特攻機の終速は九九式艦爆の降爆と同程度と考えられていたんじゃないかと思う pic.twitter.com/zO6k1qwRi1

2020-04-12 17:14:20
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清水氏は海軍で潜水の神様と呼ばれた人物で潜水具の開発・研究を行っていて、そんな清水氏に昭和20年1月に軽便潜水器の開発が命令された この潜水器は掃海作業用のために開発されたもので、機雷の投下直後に潜水員を潜らせて爆薬を設置して爆破処理して瀬戸内海を掃海するという計画だったらしい

2020-06-18 18:01:03
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この掃海用軽便潜水器開発は特攻兵器を隠蔽だったのではないか?と言われているものの、軽便潜水器以前の海軍の潜水器は水上からホースで繋がる潜水員の被るマスクに空気を送る方式で兵器として使えるような代物では無く、これを特攻兵器に発展させたというのは個人的には無理があるのではと思う

2020-06-18 18:10:37
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軽便潜水器は空技廠医学部の協力から空気ではなく酸素吸入として、資材は多数の在庫があった戦闘機用の酸素ボンベと旧式潜水艦用の炭酸ガス吸収剤を組みあわせて試作と実験を繰り返して2月はじめに開発に着手して3月末に完成の域に達したとこと

2020-06-18 18:21:43
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完成した潜水器の実験報告書によれば「潜水中気泡が発生せず隠密性が高い、沈降と浮上が容易で運動性が高い、5時間15mの潜水が可能」とされて以上のことから特攻兵器としての利用価値が高いと書かれている

2020-06-18 18:28:12
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清水氏によれば4月末に潜水員一人一人に小型ブイを取り付けて金物を叩いて合図を出す編隊歩行訓練が好成績をおさめたため中央関係者に披露したところ称賛を得て、5月に特攻隊を編成せよと命ぜられて呆然としたと書かれている

2020-06-18 18:37:05
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伏龍の構造について説明しようと思う 潜水服は上下に別れたゴム製で上下を着た後金属バンドで固定するようになっていて、兜は首部分に取り付けられた台座にボルトで固定されるようになっていた pic.twitter.com/bYEVhsiIMB

2020-06-18 18:44:44
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背中には酸素ボンベ2本と炭酸ガス吸収剤の苛性ソーダが入った清浄缶を背負っている 伏龍隊員には鼻から吸って口から吐く呼吸法が義務付けられていて、これは鼻から兜と潜水服内の酸素を吸って口元の排気口に吐くことで二酸化炭素を苛性ソーダで吸着して酸素を循環させるというシステムになっていた pic.twitter.com/ovjJLlCU5d

2020-06-18 18:55:45
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呼吸を繰り返すと酸素が少なくなるので適時酸素ボンベから補充することになっていて、伏龍隊では酸欠になりかけると面ガラスが曇るので見逃さずに給気弁を開くことになっていた

2020-06-18 19:02:43
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伏龍の酸素は単純に呼吸用だけでなく、適当に潜水服内に送り込めば浮上することが可能で海中の岩を乗り越えたり熟練すれば海中から潜望鏡だけを出して偵察すくことも可能だったという

2020-06-18 19:05:06
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兜内の右こめかみ部には排気弁の突起があるので頭で押して排気することになっていて、隊員は潜水時に余分な空気を抜いて歩きやすいように調整することとなっていた 一概に伏龍は隊員から身動きが取りにくいと言われるもののそれまでが送気式で兜も大型だったのでこれは相対的な話だったのだと思う

2020-06-18 19:14:08
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伏龍で特に有名かつ悪名高いのが清浄缶を損傷して苛性ソーダが浸水して沸騰した強アルカリ性の海水が隊員に吹き付けることと呼吸法を間違えると炭酸ガス中毒に陥ることで、これをもって伏龍を欠陥兵器としていることが多々ある

2020-06-18 19:22:43
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伏龍の呼吸システムはリブリーザーと呼ばれる方式で日本以外の国でも使用されていて、オキシラングの製品名で呼ばれることもあった この方式は吸着剤が濡れて二酸化炭素を吸着できなくなって中毒を起こすことがあるため浸水による事故は伏龍特有の欠陥ではなくリブリーザー共有の欠点と見たほうがいい

2020-06-18 19:34:03
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清浄缶による事故について清水氏は直接言及していないものの資材不足によりきちんとしたものが作れなかったとしていて、医官が清浄缶のブリキが薄すぎて損傷しやすいと報告していたものの資材不足から対処が行われなかったとしている

2020-06-18 19:39:20
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伏龍隊では事故が起こるとだいたいは清浄缶損傷によるものと噂されたと言われている ただ、記録が無く、事故が起こっても隊員に知らされることはなかったと言われているので本当に清浄缶によるものだったのかは怪しいのではないかと思う

2020-06-18 19:57:52
BOOBY @Bonjin13_BOOBY

伏龍の攻撃法は海中に潜んで上陸部隊を竹竿の先端に機雷を取り付けたもので突き上げて自爆攻撃をするのは有名だと思う この攻撃は殆どの場合LCMやLCVPのような上陸用舟艇がターゲットとされているのだが pic.twitter.com/7IOBeIYcVb

2020-06-18 20:09:08
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清水氏は「もっとも望まれるのは超大型戦車搭載艇の撃破」としていて戦車揚陸艦の撃破を念頭に置いていたらしい pic.twitter.com/ZWdiAscRVE

2020-06-18 20:14:37
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また、この時期に日本軍が警戒している重戦車はM1重戦車しかいないので伏龍もM1重戦車対策一環だったのならヤケクソ気味な計画だったのもうなずける気がする pic.twitter.com/jG0cloAWrF

2020-06-18 20:19:31
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伏龍の武装は五式撃雷(通称棒機雷)で竹竿の長さは当初5mだったのを切り詰めて2m、炸薬量は15kgで重量は25.1kgで機雷自体は終戦までに生産されなかったと思われている ただし訓練用の模擬機雷が製造されたとされているものの使われた、見たことがあるという話はほとんどない pic.twitter.com/gkLICN84ZV

2020-06-18 20:25:01
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模擬機雷はぼくが調べた限りでは伏龍調査の第一人者で自身も伏龍隊員だった門奈鷹一郎氏の1ヶ月先に入隊した隊員が訓練を行ったのを聞いたという話と清水氏が上陸用舟艇を使用して模擬機雷で演習をした、鈴木貫太郎内閣総理大臣の視察時に実物大模型を見せたの3例だけで

2020-08-12 15:42:09
BOOBY @Bonjin13_BOOBY

昭和20年5月の伏龍隊創設期に配属された隊員も模擬機雷による訓練をしたとは言っていないので、実験的な演習が行われただけで訓練はしていなかったのではないか思う 実際に演習をした隊員は抵抗と潮流で竿がかなりしなり命中率の自信が持てなかったとしていて一般的にこちらが解説されている

2020-06-18 20:39:23
BOOBY @Bonjin13_BOOBY

しかし、清水氏は棒爆雷の水中重量は1kgに調整されていて隊員の頭上付近を通った舟艇に対しての命中率は100%で自信を持ったとしている

2020-06-18 20:43:30
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海中での棒機雷の安全距離は動物実験から最低50mとされて、隊員はこの間隔で配備することになっていた ただ、安全距離については実験部隊長は50m以上離れた場所に潜水器を着せた藁人形を設置して機雷を爆破する実験では面ガラスが砕けて人形に刺さっていてだめだと思ったとしていて

2020-06-18 20:50:24
BOOBY @Bonjin13_BOOBY

爆雷も誘爆して全滅するのではないかとしていて、両方信じれば人間よりも潜水器と爆雷が耐えられなかったのではないかと思う この結果から海底に沈没船を偽装して隊員を待機させる要塞を作ってそこから出撃する案が出されたものの具体化はしなかったらしい pic.twitter.com/m03P9kxQsC

2020-06-18 20:54:02
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