【その人以外でも】福間健二 #k2fact266
その人、そのリズム。いいなと思っていた。一日のうちの、ある時間だけの、ランボー的な風のそよぎ。このかぎ裂きの使命と考えてきたのは、どんな小さな事件でも背後になにかを見ること。だが、手段、手段、手段、フェアプレーでも息苦しい。なんでも映像が付いてくる。(その人以外でも1)#k2fact266
2020-08-07 10:58:44手わたしされる貝殻。それでなにかしたり、ポケットに入れたりもできるが、思い出させることが痛い。しなかったこと。歌いながらの挑戦。そんなことでもこんなことでもない。解釈はした。探究はした。老いたデクノボーの介抱はした。夢に出てくる群集に紛れ込む前に。(その人以外でも2)#k2fact266
2020-08-08 12:21:39その群集のなかには可愛くてちょっと生意気な女の子がかならずいて、迷子によくなった子ども時代に戻りそうな幸運な事故と、中腰の協力いくつかあるのだが、いつも退屈なデート。性格が突然変わる装置なし。どんな天才にでも、同じこと考えていたよ、と言われたくない。(その人以外でも3)#k2fact266
2020-08-09 11:45:56そうなってこうなる。濡れることなく。東京でもつまりは月と木星、場合によっては土星も隠すカーテンの前に立つ権力に好きなこと言わせるということなのだ。救おう。生まれたばかりの赤い火。やわらかな鳴き声。消費、症状、証拠、見て聴いたら曖昧な死をくりかえすな。(その人以外でも4)#k2fact266
2020-08-10 12:15:25神秘を求めたくなるのが難の、廃線の周辺。水を飲むこと、恋をすること。その人のようにしなくても。いい生地。この世が涼しいときは何を包んでいたのだろう。洗った。乾かないうちにもう夜なのだ。爬虫類でなくても湿った心をもち、いい生地だから突然の変化もある。(その人以外でも4)#k2fact266
2020-08-11 09:24:27スローテンポ、最初は片手で。翼あるものを飛びたたせる。ワンセンテンスずつ言っていることは。沈んでいた箱のなかにある生活からだが、怖いと思う。人の目のあるこの社会が怖いと思う。両手と音楽でなんとかする。街でも耳にするこのリズム、なんという叩き方だろう。(その人以外でも5)#k2fact266
2020-08-12 09:15:43西アフリカの体の動きに憧れたことのない人がいる。関係ありでもなしでも被害について自分の観察を言おうとしない人がいる。そんな世間。退屈していられるうちはいい。左目で空を見て右目はつむって。途中の、叩き方。死がそうであるように二種類だけではすまなくなる。(その人以外でも7)#k2fact266
2020-08-13 10:46:25世間が怖い。それを隠せない。少しだけ降った雨のせいでかえって蒸し暑いが、虹と夕陽を見た。夜にむかってどうやら準備完了の、あざむく心と不自由な手など。いくつにも割れて出現する「類的なもの」をのりこえるのに必要な訪問の能力。自分にはないとその人は言った。(その人以外でも8)#k2fact266
2020-08-14 10:05:46どの階にも失敗の記憶のための「ためらい」のベルト。その上を鎧のような皮の動物がよたよた。横目で見るだけですむかもしれないけど、そんな建物を脱出してからの、こんにちはだ。ヤカンのお茶、勝手に飲みなさい。うれしい。一瞬とまどった耳かきと爪きりの贈り物も。(その人以外でも9)#k2fact266
2020-08-15 09:54:02交換できないもの。どのくらいあるか。表現論。「それであること」の褪せた青や赤。その意外な引力にいつのまにか紛れ込む八月十五日の新資料。この夏に降りているのに汗疹ひとつない皮膚のその人と同じことをこの売れない詩人も言う。ぼくがいいと言ったら天下無敵だ。(その人以外でも10)#k2fact266
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