俺とよるほーのだいたい365日

カイン @gyoniku

憧れの都会暮らし。説明できないけど、とにかく都会には夢があって……それだけの理由で飛び出した結果がこれだ。……“本当に苦しくなった時に開けてね”。彼女に預かった手紙。開けてしまえば、夢が覚めてしまう気がして。……“よるほー”。ああ……、久しぶりに、電話でもしようか。零時にでもさ。

カイン @gyoniku

なあ。一日ツイッターに張り付いてるんだ、アンタ暇なんだろ？ ……怒るなよ、そういうアンタにこそ頼みたい仕事があるんだ！ 内容はカンタン、ただ“よるほー”と呟くだけ。それを見たお友達も乗っかってくれれば更に……やべえっ、運営の奴らだ！ もうスパム報告されたか……じゃあ、宜しくな！

カイン @gyoniku

彼が……植物状態になってから、どれぐらい経ったっけ。あれから毎日、ここへ足を運んでいるけど……今にも目を覚ましそうな彼が、昔のように笑うことは、もう、無い。でも。……ピッ、ピッピッ……。毎晩の決まった時間に、彼の脳波は動き出す。ピーッ、ピッ……。モールス信号で、“よるほー”、だ。

カイン @gyoniku

あの頃の僕らは、適当にぶらついて、下らない会話を沢山交わして……最後に一言、「よるほー」ってすれば満足だった。子供じみた、だけど充実した毎日。……いつからだろう？ よるほーに意味を求め始めたのは、どっちが先だった？ きっと君は覚えてないよね。急にごめん、それじゃ……よるほー。

カイン @gyoniku

……私が施設へと預けられた、あの日。見たこともない豪勢な食事の並ぶテーブルを囲って、母はそっと口を開いた。本当に辛い時はこの言葉を呟きなさい、と。当時は憎んだものだけど……あの時はきっと、それが精一杯の愛情だったのだ。何故なら、呟くたび、優しい母の顔が浮かぶから。……よるほー。

カイン @gyoniku

「……最近増えたよな、あれ」「ああ……よるほー、な。悪いことは言わねえ、関わるなよ」「でも、気にならないか？ 何が楽しくて毎晩あんなことしてるのか……」「おい、待て！」……それきりだ。彼はTLの波へふらりと消えてしまった。噂じゃ、彼に似たアイコンの人がよるほーしていた……らしい。

カイン @gyoniku

「いいのかい？ アンタがやろうとしてることは、ここじゃ決して褒められた行為じゃあない。確か、最近の調査でも言われてたはずだぜ……意味が分からない、気味が悪い、ってな。アンタはまだ若いんだ、考え直し……」 「いいんです。もう覚悟は出来てます……“よるほー”」 「……いいぜ。入んな」

カイン @gyoniku

俺がよるほーをする時に課すルールが幾つかあって、「登場人物の名前を出さない」、「よるほーに特定の意味を当てはめない」、「時事ネタはなるべく使わない」って辺りは特に気を配ってます。0時丁度に呟くもんだと説明するのはカンタンだけど、そこに一線引いて「よく分からない物」のままにすると。

カイン @gyoniku

……そんな感じで、よるほーを始めてから一年経ったので記念にトゥギャりました。最近サボリ気味ですが、今後も思い出したら続けていきます。それでは、よるほー。