くろぐだの奇妙な冒険 第３巻 ～フニコロの休日～

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 第七話「フニコロの休日」 1 「ふぁ…」 R.S.C.の三人が港見学に出た日。フニコロは一人街を歩いていた。理由は簡単、彼女の師匠に呼ばれたのだ 「師匠、生きてたんだぁ…」 そんな事を呟きつつ、フニコロは路地を曲がり、師匠の待つホテルへと向かう だが、その前を遮るものが

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#くろくだの奇妙な冒険 2 「ねーね、おねーさん！一人？一人っしょ？」 蜘蛛の意匠の革ジャンを着た、軽薄そうな男。そいつはフニコロに笑顔で詰め寄る 「ならさぁ、俺とお茶―」 「やだ」 そう言って、フニコロは男の顔を掴んで壁に押し付けた 「じゃ」 そのまま立ち去るフニコロ 「イッテェ…」

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#くろくだの奇妙な冒険 3 直ぐ復活した男は、顔を擦りながら呟く 「…ま、俺ああいう強気な女をヤるのが好きだから良いけどなぁ…！」 そう下卑た笑いを見せる男。その右手には、白い光の塊があった 「コードクラッシュ！」 「…？」 フニコロの前に、さっきまでなかった筈の鉄パイプが突き刺さる

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#くろくだの奇妙な冒険 4 もう一本。音を便りにフニコロは左へ避ける。と、さっきの男が近付いてきた 「おねーさんさぁ…逃げれると思ってんの？」 そう言って、男は左手の黒い光の塊でコンクリートブロックを掴み…消す 「俺、本気出しちゃうよぉ…？」 そう言った時、男の横にスタンドが現れた

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#くろくだの奇妙な冒険 5 それは、丁度天秤の様な形をしていた。そして右は白い光、左は黒い光が灯っている。それを見たフニコロも、自身のスタンドを出した 「へ～、おねーさんもスタンド使いなんだ…」 瞬間、フニコロに向かってコンクリートブロックが飛ぶ。男のスタンド、コードクラッシュの能力だ

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#くろくだの奇妙な冒険 6 フニコロは最小限の動きで、コンクリートブロックを切り落とす。が、次に飛んできたのは、金属のブロックだった 「やるじゃん、おねーさん」 男の左手の先には、自販機が。その一部が抉れている 「でもさぁ…早くしないとピンチじゃね？」 そう言う男は、フニコロの横を指した

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#くろくだの奇妙な冒険 7 そこには、予め削られていたであろう街灯が。そして視界が動いたフニコロに、ペットボトルのお茶や水が掛かる 「街灯ってさぁ…電気流れてるよねぇ。おねーさん、早く逃げないと感電しちゃうよぉ？」 （と、思わせて…） 男は顔を歪ませて考える （実は狙いはそっちだよ）

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#くろくだの奇妙な冒険 8 男がちらっと見た先。実はこの先は袋小路になっており、ホテルへの抜け道はあれどスタンドバトルには狭い。なので （どんな能力か知らねぇが…！） 男は更に、近場にあるガラクタを吸っては投げる。フニコロは防戦一方だ （このまま無理矢理―） ガッ 「え」 男が宙に浮く

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#くろくだの奇妙な冒険 9 しかし、何故浮いているのか分からない （な、なんだ！？あの女のスタンドは動いてねぇのに…！？） そのまま壁にぶつかる男。何かに縫い止められる様に、身体の自由が利かない と、男は気付いた。さっきまでフニコロの背後にあった鉄パイプが無い事に そして、フニコロが動く

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#くろくだの奇妙な冒険 10 「俺を護れ！コードクラ―」 「邪魔」 フニコロのスタンド、アトロポスの剣がコードクラッシュを捉え、弾く。それだけでコードクラッシュは軽々吹き飛んだ そして、男の顔先にフニコロは何かを近付ける 「…私のスタンドは、アンタの視界を《切った》」 アトロポスが消える

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#くろくだの奇妙な冒険 11 「ひ…！」 男の目前にあったのは… 「なら私は、アンタの何処を斬れば良い？」 大きな軍用ナイフだった。男は避けようとするが、曲がった鉄パイプで縫い止められていて動けない そして― 「師匠、遅れましたぁ」 テルイグランドホテル。Ｔ駅の近くにある高級ホテルだ

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#くろくだの奇妙な冒険 12 そんなホテルのラウンジに、彼女の師匠―日向寺は居た。珈琲を飲みつつ、横の女にケーキを渡している 「おや、変わったファッションだね」 お茶やペットボトルで濡れたフニコロは、暫く太陽で乾かしていた。しかしそれでも、多少色が残ってしまう 「先生、彼女が…？」

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#くろくだの奇妙な冒険 13 日向寺の隣に居た女が、フニコロを見て驚く。それを聞いた日向寺は楽しげに笑い、説明した 「フニ君。彼女はミヅキ君だ。ASITの情報戦担当だよ」 「あ、初めまして。ミヅキと申します」 ミヅキは深々と頭を下げ、そう言う。フニコロも返した 「ふぁぁ…弟子のフニコロです」

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#くろくだの奇妙な冒険 14 「で…なんで私なんです…？」 そうフニコロが聞くと、日向寺はニヤリとしてタブレットを一台取り出した。トゥーから渡されたタブレットである 「君達に、これの解読と纏めをお願いしたい。そうだなぁ…一冊の本に纏まればベストだ」

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#くろくだの奇妙な冒険 15 さてさて。やっと物語が動いた様な気がするね、皆様 トゥーは未来を残してくれるのは良いんだが…せめて日本語でお願いしたいところだ。ま、だから頭の良いフニ君に頼んだのだけど おっと、これ以上はネタバレになる では皆様、また次回…

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#くろくだの奇妙な冒険 第八話「山を見に行こう！」 1 「何か言うことあるか…？」 「何て言うか、その…ゴメン」 かせんのそんな言葉に、はんちょ～は深く頷いた 二人が居るのは、真っ暗な洞窟。何故そんな所にいるのかと言うと… 「と言う訳で山に行こう！」 かせんは言った 「どう言う訳だよ」

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#くろくだの奇妙な冒険 2 はんちょ～は何時も通り突っ込む。全開同様、放課後の空き教室での事だ 「山…ですか？」 持ち込んだ大型ディスプレイに繋いだレコーダーの電源を落とし、くろぐだは聞く。日向寺に渡されたBlu-rayセットを見ていたのだ 「あ、でも確かくろぐだちゃんの田舎って…」

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#くろくだの奇妙な冒険 3 かせんの気付きに、くろぐだは返す 「はい、山の中ですよ」 くろぐだの田舎は、深海山と言うＴから離れた山の中にある。電車を二本乗り継いでやっとＴ市に入れるのだ 「あ、でも山によって植生とかも違いますし…」 「植生って？」 かせんの呟きに、はんちょ～は呆れる

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#くろくだの奇妙な冒険 4 「植物の生え方や分布の事だよ。お前、本当に興味ない事は記憶しないよな…」 実際、かせんは特定科目のみ成績が高い。基本的に低いはんちょ～よりはマシだが、それでも常識不足感は否めない 「って事は、山に行くって事で良いかな？」 かせんがそう聞くと、くろぐだは頷いた

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#くろくだの奇妙な冒険 5 そして週末。集まった彼らR.S.C.の三人は、Ｔ駅から電車で一時間程度の睦月山に向かった。深海山とは反対である 「でも、なんで山なんだよ…」 山道を歩くはんちょ～は、後ろの方でバテ気味なかせんに聞いた。基本的にインドア派なかせんに、二人程の体力は無い

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#くろくだの奇妙な冒険 6 「いや…ほら、海行ったらあれだろ？だから山なら…」 息も絶え絶えなかせん。くろぐだが心配してかせんをアシストしているが…それでもバテている 「阿呆。御託は良いが、結局くろぐだちゃんに世話してもらってるじゃねぇか」 はんちょ～は端から、かせんの体力を知っていた

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#くろくだの奇妙な冒険 7 それもその筈。この睦月山にかつてかせんを誘った前例があるからだ 「あの、今から引き返します…？」 心配してそう言うくろぐだ。しかしかせんは首を横に振った 「いや…なんとしても、くろぐだちゃんに夜泣き石を見せたくてね…」 「夜泣き石…？」 くろぐだは聞いた

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#くろくだの奇妙な冒険 8 「そう。この睦月山にはそう言う伝説のある岩があってね。せめてそれだけでも、見せてあげたくて…」 かせんはそう言って、笑顔で親指を上げて見せた 「全く…無茶しやがる…」 はんちょ～は呆れたが、何となく理解した。前回が散々だったので、今回こそは名所を見せたいのだ