くろぐだの奇妙な冒険 第３巻 ～フニコロの休日～

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 7 女が偶々描いた絵が、県大会で優勝したのだ。当然彼女は喜んだ。しかし… 「あんなレズの描いた絵が優勝するなんてあり得ない」 「キモい奴が描いたキモい絵なのに」 そんな周囲の声が、遂に学校中で聞こえる様になった。更に一年だった事もあり、上級生の風当たりは酷かった

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#くろくだの奇妙な冒険 8 既に教師達は見て見ぬフリをしている。遂に二人は、耐えきれなくなった 心中をしよう 最初にそれを言い出したのは何方だったか。最早それは分からない。だが、辛い今より明るい未来。それを二人は何よりも望んだ その日。二人は互いに髪止めを交換した。指輪の変わりに

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#くろくだの奇妙な冒険 9 そして、それを互いに着けて…学校の屋上から飛び降りた。二人は、最後まで抱き合っていた… しかし、現実は非常であった 偶々そのタイミングで、女のスタンドが発現したのだ。しかも運の悪い事に、ダメージを受け流すスタンドを 心で願ったものが、遅くやって来てしまった

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#くろくだの奇妙な冒険 10 女が目にしたのは、他でもない変わり果てた彼女と…回りでスタンドの能力を喰らい、女のダメージを《肩代わり》して死んだ者達だった その後、女は何度も死のうとした。多少遅れても構わない。彼女の後を追えればそれで良い。しかしスタンドが有る限り、死ぬことは出来ない

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#くろくだの奇妙な冒険 11 しかも、発動すれば必ず誰かが死ぬ。段々と、その方が目的に成り始めた。自分が死ね無いが故に、目的と手段が入れ替わって行ったのだ それに従い、女の服装は派手になった。注目を浴びながら、一体どれだけの人間を巻き込めるのか。そして、ついでに自分も死ねればそれで良い

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#くろくだの奇妙な冒険 12 そんな事を繰り返していたある日。一人の男と出会った。それは他でもない、バッド・デイを連れたブシドーだった ブシドーは、女の《自殺》を止めた。何故そうしたのか、それは分からない。しかし少なくとも、バッド・デイは女を殺す事はなかった 「君は、未来は好きかい？」

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#くろくだの奇妙な冒険 13 ブシドーはそう聞いた。女は直ぐ、首を横に振って否定する。他でもない彼女を殺したのは、その言葉に違いないのだから すると、ブシドーは笑う。そして話を続けた 「僕も嫌いさ。だって、未来は何があるか分からない。しかも《過去》の素晴らしさが薄れてしまうからね」

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#くろくだの奇妙な冒険 14 そして、不意に聞いた 「君は…名前はあるのかな？」 無い。女は答えた。少なくとも、昔の自分はあの時に死んだ筈だから。と、ブシドーは少し考えて…こう言った 「じゃあ…鴉。鴉にしよう。だって黒いし」 鴉。不幸と死の象徴。これ以上無いほどに、女にピッタリな名前だ

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#くろくだの奇妙な冒険 15 「鴉。わた…オレは鴉」 女は、鴉はそう反復した。まるで自分に新たな名前を刻む様に。まるで過去を捨て、未来も切り捨てる様に 「じゃ、鴉。行こうか」 ブシドーは笑って、手を差し伸べてそう言う 「僕と同じ様に、未来を嫌うものを探しに、さ」 鴉は…ブシドーの手を取った

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#くろくだの奇妙な冒険 16 「て事でぇ…今日は何人死ぬかなぁ！？ギャハハハハ！」 高層ビルの屋上で、テンション高く下品に笑う鴉。眼下には帰宅ラッシュで行き交う人々が見える 「たまには三桁行きてぇなぁ…ま、レッツトライってか？」 そう言って飛び降りようとする鴉。しかし、足が動かない

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#くろくだの奇妙な冒険 17 「あ…？」 足元を見ると、自分の影が厚底ヒールを絡めている。そして視線を上げると… 「久しぶり…と言うか、この世界じゃ初めてだねぇ。鴉君」 長身痩躯を着物で包み、ハットを手で押さえながら杖を高らかに鳴らす男が一人 「テメェ…誰だ？」 鴉は警戒し、スタンドを出す

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#くろくだの奇妙な冒険 18 そのスタンドは、鴉には不釣り合いとも似合いとも取れる天使の様な姿だった。しかし、その両手足は鎖で繋がれている 「オレのスタンドはなぁ…」 「知っているさ。カモン・スイートデス、だろ？ダメージを蓄積して、周囲に弾き返す」 そう日向寺が言うと、鴉は更に顔を顰める

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#くろくだの奇妙な冒険 19 「マジで何者だ、テメェ…」 そう聞かれ、黙っている日向寺ではない。ハットを直し、眼鏡をズラして言った 「私の名前は日向寺皐月。以後お見知り置きを、〇〇〇君」 日向寺がそう言った時。鴉の表情が変わった 「何処でその名前を…！？」 それは、狼狽の表情である

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#くろくだの奇妙な冒険 20 そして、腰から一丁の拳銃を取り出した。一発。しかし日向寺には当たらない 「狼狽えるのかな？君の《名前》なのに」 「そんな過去は、捨てた！」 一発。今度は杖で受け止める。そして今度は、自分に銃口を向けた 「テメェ…嫌いだ」 そして引き金を― 「危ないなぁ」

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#くろくだの奇妙な冒険 21 「！？」 引けない。それはそうだ。トリガーに影が絡み付き、引き金が動かないのだから そしてワンステップで近寄り、銃を目前でバラす 「銃で私を殺そうなんて…2万年早いよ」 その瞬間、足元で閃光が炸裂した。フラッシュバンだ 「テメェ…嫌い」 一瞬、そんな声が聞こえる

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#くろくだの奇妙な冒険 22 日向寺の視界が戻った時、鴉の姿はなかった。日向寺は手を上に挙げ、待機しているスナイパーに合図を出す。引き上げだ 「目標、人混みに紛れています。狙撃は不可能じゃありませんが…どうしますか？」 日向寺のインカムに、スポッターからの連絡が届く 「いや、良いよ」

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#くろくだの奇妙な冒険 23 「了解」 それを聞き、日向寺はまたハットを直す。それから、手帳を取り出してメモを取った 「鴉君のスタンドは、前回同様…と。あぁ、早く本が欲しいなぁ…」 日向寺のそんな嘆きの声は、ビルの風に飲まれて消えた

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#くろくだの奇妙な冒険 24 さて、この手帳によれば…いや、なんかやりづらいな。やっぱり本が欲しい 兎に角、これでスタンドが違うと言う厄介な事もない。たまにあるんだ、そう言う面倒が じゃあ、今日はこの辺で…チャオ！

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 スタンド使い名鑑 ブシドー：ラスボス。ナチュラルヤベー奴 でも自分から殺しに行かないから余計厄介。ASITは何となく把握してるけど、手を出そうにも危険すぎて出来ない感じ 「バッド・デイ」は文字通り最悪なスタンド。敵意を感じれば即抹殺 死体は微塵も残らない…

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#くろくだの奇妙な冒険 スタンド使い名鑑 鴉：ゲゲルしてるので実際グロンギ。一部では都市伝説扱いされてるゴスロリ女 可愛い女の子大好きな反面、言うほど恋愛に持ち込まない 忘れられない過去が… スタンドは「カモン・スイートデス」。両手足を鎖で縛られた天使で、ダメージを蓄積して受け流す

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 スタンド使い名鑑 はむらび：モーリアティー枠。Ｔ市の犯罪の約三割に荷担してる。しかも手を直接汚さない 普段は大学教授。この街出身じゃないので、日向寺以外はノーマーク 「ヴィレッジ・ピープル」は弱い意思を操るスタンド。犯罪をさせるには一番向いてる

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#くろくだの奇妙な冒険 スタンド使い名鑑 ソルティー：謎のイタリア人。慇懃無礼だが果たして 謎の登場をして謎のスタンドを操る謎な四人目。でも多分強い 今はとある男の暗殺依頼を受けている スタンドは「ケーク&ソドミー」 相手の体内の糖分をお菓子に変えるスタンド。つよつよじゃん

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#くろくだの奇妙な冒険 スタンド使い名鑑 カルキ：ヤンチャなヤンキー。フニちゃんパイセンをただの女の子と思ったのが運の尽き 死んではないけど… 「コードクラッシュ」は天秤に腕が付いた様なスタンド。左手でものを吸い込み、右手で発射する 強いスタンドなんだけど…相手が悪かった

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#くろくだの奇妙な冒険 第十話「甘き罠」 1 「で、あの娘と一緒に作ったのがその本です」 そう言って、ミヅキは日向寺の持つ一冊の本を指した。A4判のその本は、まるで辞書か何かの様な厚さをしている 。そしてタイトルは、「救世主降臨歴」とあった 「それ重くて大変だったんですよ、持ってくるの」