【メヌエット、朝】福間健二 #k2fact274

10月26日から11月4日まで。たぶん半年以上、一日も休まずにやってきたかと思うが、つらくなってきた。何が自分を休ませないのか。そんな思いからの、1の冒頭。三拍子の小節二つで作っていくメヌエットから、リズムをもらおうと意識したが、見えるようにはなってないかな。マザー・テレサの言葉は、最近結婚したカップルに贈るものに添える言葉を考えたときに思い出した。 音楽は、「バッハのメヌエット」から生まれた「ラバーズ・コンチェルト」をサラ・ヴォーンで、と思ったけど、なんと奥村チヨのヴァージョンを見つけてしまったので、それです。 https://www.youtube.com/watch?v=BUF1O76H9A4
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福間健二 @acasaazul

うなる機械、休んでくれない。開封してない誘惑を感じとろうとして。両足、まだ動くのかどうか。きょうの最初の死者はルバーブのジャムが好き。ヨーグルトと犯人のわかりにくい探偵小説も。でも探偵のように質問することはない。二番目の死者は使った食器を上手に洗う。(メヌエット、朝1) #k2fact274

2020-10-26 11:39:56
福間健二 @acasaazul

人の愚かさを大きな海で洗うような気持ちで洗剤はほとんど使わない。大地を汚したくないんだ。この死者は死者なのに沈黙と暗闇が苦手だ。昔は許されなかったことがいまは許されている。その方がその反対のことより多いと思う人と思わない人がいるけど、きみはどっちだ。(メヌエット、朝2)#k2fact274

2020-10-27 10:35:48
福間健二 @acasaazul

この世への提案として。枯れ花を入れたゴミ袋を出しに行く。骨の音ひびかせて。膝に手をおかれ、ふたたび恋に落ちるとしても、洗いきれない、枝ごとに飛躍を夢見た過去の始末が先だ。狂気、自殺、簡単に割れるガラス。何を反射していたのか。根なしのその構成の隙間に。(メヌエット、朝3)#k2fact274

2020-10-28 10:17:50
福間健二 @acasaazul

争う者たちの影。なにか被せたい。行動を明快にするもの。だれかの安らぎを盗むのではなく、風景にしみこむ青に反応する。あまり明快じゃないかな。このへんで終わることと始まることの関係を隠さない秋晴れだが、暗い目をして歩いてもいい。そう言ってくれる石を置く。(メヌエット、朝4)#k2fact274

2020-10-29 13:13:11
福間健二 @acasaazul

手をあてて動かす機械。本当に動くか。自信がなくなる前に糖分も入れて、足もとの何にまだ気づかないか。倒れている人。どんな人であろうと助けなくてはならない。おばあちゃん、大丈夫ですか。石が言う。まるい石が言う。世界とともに。世界の音とともに、ということ。(メヌエット、朝5)#k2fact274

2020-10-30 11:18:37
福間健二 @acasaazul

どんな悪人であろうと。ひとつの生命であること、それ以外の風船が全部破裂していることがある。謝っている、ということじゃないよ。三番目の死者は正直。大悪人のおばあちゃん、一緒に耳を澄ませましょう。山のロザリア、浜辺の歌、バッハのメヌエット。三拍子が快い。(メヌエット、朝6)#k2fact274

2020-10-31 15:43:32
福間健二 @acasaazul

ワルツになる三拍子、もう一曲。愛のロマンス。映画『禁じられた遊び』で使われたスペインの歌。元気になったおばあちゃん、ぼくと死者たちをおいて、結ばれたばかりのカップルを祝福する。人生は歌。二人でそれを歌いつづけなさい。大悪人、本当はマザー・テレサの友。(メヌエット、朝7)#k2fact274

2020-11-01 10:29:55
福間健二 @acasaazul

そこで、もっと、ちゃんと歌うべきだったとあとで思うな。たまらん坂。何をすてたか。何にすてられたか。人に会わないための自転車を引き、自分の力のなさがわかって、3×2と2×3はどうちがうかとかの、社会研究。でも、音楽。だから、死者たち。でも、滑る快感。(メヌエット、朝8)#k2fact274

2020-11-02 14:58:27
福間健二 @acasaazul

原稿も、映画も、あるところで行きづまり、もう無理だと思い、追い込まれる。ぼくはほとんどの場合がそうだ。でも、きょうの何番目の死者だろう。彼が忘れさせたくないこと、それだけじゃない。マザー・テレサの言葉をもうひとつ。人生は約束。それを果たしてください。(メヌエット、朝9)#k2fact274

2020-11-03 09:31:47
福間健二 @acasaazul

バッハのメヌエット。ト長調とイ短調、二つあるけど、どちらもバッハが作曲したのではなく、彼より八歳先輩のクリスティアン・ペツォールトの曲だそうだ。ぼくは夢で自分が書いたはずのない詩に出会うことがある。朝、盗んだそれを思い出しても、もう生きていない。(メヌエット、朝10)#k2fact274

2020-11-04 08:16:03