キタノ・アンダーグラウンド #4
【ニンジャスレイヤーAoM】 ・舞台は2050年頃のネオサイタマ ・電子ネットワーク、サイバネティクス、ヘッドマウントディスプレイ等、サイバーパンクなものはだいたいある ・ニンジャもいる ・ニンジャは超人的な身体能力を持つ。ある日突然ニンジャになる ・ニンジャスレイヤーはマスラダ・カイ
2020-11-06 20:57:01【ハッキング】 ・ハッカーはUNIXとLAN直結し、無限の力を行使する ・ハッカーには、スゴイ級、テンサイ級、さらにヤバい存在としてヤバイ級がいる ・タイピングがとにかく速いほどハッキングが強い ・ハッキングで負けるとUNIXデッキやファイアーウォールが爆発する
2020-11-06 21:00:07【今回のエピソード】 ・賃料を二倍に値上げされ、火炎放射するクローンヤクザでジアゲされる、キタノ・スクエアの住人 ・裏にはニンジャの陰謀があった。暴力や詐欺で家主からハンコを奪い、立ち退きを円滑化。最終的に地下鉄を開通する名目で巨額マネーを集めた ・そのニンジャを前回スレイした
2020-11-06 21:03:53「イヤーッ!」KRAAASH!ニンジャスレイヤーは厳重な金庫のダイヤルをマスターキーめいたニンジャ握力で破壊した。そして鉄扉を引き開ける。ガシュッ!たちまち二重のシールドが閉じ、危うくニンジャスレイヤーは手首をケジメされかかった。今度の防備は堅牢である。「……」彼はUNIXデッキを見た。 1
2020-11-06 21:09:25ダッダーズバシバシ。モニタが明滅し、ファイアウォールのランプが輝く。「ニンジャをやったぞ」ニンジャスレイヤーはタキに呼びかけた。『……ザリザリ……』彼のニューロンにタキのIRC通信が繋がった。『クソッタレ、奴ら押し寄せてきやがって……』「ジアゲの連中か」『ファック!そうだ!』 2
2020-11-06 21:11:51やはりだ。彼の懸念の通りになった。「とにかく持ちこたえろ。すぐに戻る」早口で言った。「ロックの解除が要る。こっちのUNIXに繋げるか!?」『社長のデッキあるな?ソーシャルできるか?』「待ってろ」パスワードが要る。ニンジャスレイヤーはモニタ横の本棚の背表紙を確かめた。ヒントはあるか。 3
2020-11-06 21:14:47「成功者の法則」「ビッグ・キンク」「般若心経」……ネゴシエイターはこの社長室をニンジャの宝物殿めいて飾り立てている。誰にも入れなかった筈。他の者の気配は感じられない。となればパスワードはぞんざいか、付箋が貼ってあるか……。背表紙のタイトルはどれも弾かれる。 4
2020-11-06 21:17:23「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはデスクの引き出しを破壊、引きずり出した。「……!」一瞬、時間が止まった。彼は中にあったものに触れた。違う。触れればわかる。これは、"そのもの" ではない。だが……。彼はそれを懐にしまい、入力した。『S、A、T、S、U、G、A、I 』。キャバアーン! 5
2020-11-06 21:21:08引き出しの中にあったのはハッポースリケンだ。しかしそれはレプリカだった。つまり……彼のニューロンには様々な問いが渦巻いたが、今最優先で成すべき事があった。起動画面を前に、タキに言葉を飛ばした。「繋いだぞ」『こっちからも見える。クソッ!ヤベエ。コトブキのやつが食い止めてるが……』 6
2020-11-06 21:23:26『外部からのリモート操作リクエストドスエ』UNIXが鳴いた。タキだ。ニンジャスレイヤーは「許可」をヒットした。LANケーブルを通して、直結する金庫に光が流れ込んだ。カゴーン!シールドが開いた。中には契約書の束がある。ニンジャスレイヤーはそれを掴み取り、懐にしまった。 7
2020-11-06 21:26:40「終わったぞ。今、戻る」『アイエエエ!ニンジャスレイヤー=サン!まずい……!』「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは社長室の強化ガラス窓を跳び蹴りで破壊し、そのままビルから外へ飛び出していった! 8
2020-11-06 21:28:56「ハイヤーッ!」「グワーッ!」タキをUNIXデッキごと火炎放射殺しようとしたクローンヤクザにコトブキはカンフーを叩き込み、外へ蹴り出した。「タキ=サン!今ので最後です。もうダイジョブです!」「クソッ!」彼は操作キーをタイプし、シャッターを閉め直した。「上だ!上、急げ!」「ハイ!」10
2020-11-06 21:32:56「ニンジャスレイヤー=サンと繋がりましたか!?」ハシゴを上りながらコトブキが叫んだ。タキは額の汗を拭った。「あっちは終わったとよ!契約書も見つけた!だが……」次のヤクザウェーブ、凌げるのか……?カンカンカン!コトブキは全力でハシゴを上に上がる! 11
2020-11-06 21:35:25「アイエエエ!」「モウダメダー!」ミボシ、タタラギ、イシモ……ピザ階に詰め込まれた客の中で正気の者達が、店内になだれ込んできたクローンヤクザウェーブに絶望!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ヤクザは店内の無気力ゾンビーを殴り飛ばし、チャカ・ガンを構える!アブナイ! 12
2020-11-06 21:39:07「ハイヤーッ!」トイレの扉が内側から蹴り飛ばされ射出!「グワーッ!」クローンヤクザ一体を吹き飛ばす!コトブキがダイナミックエントリーし、グルグルと回転しながら残るヤクザに接近、流れるような掌打、脛刈り、肘打ちで攻撃した!「ハイハイ!ハイヤーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」 13
2020-11-06 21:41:42「スッゾオラー!」「ハイヤーッ!」バール攻撃をコトブキは防御し、殴り飛ばした!「グワーッ!」だが、その時だ!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」KRAAAASH!窓が割られ、別方向からクローンヤクザが入ってきた!振り上げるカタナ!アブナイ!……!「ウオオーッ!」ミボシらが奮起! 14
2020-11-06 21:44:19三人の中年男性は命がけのタックルでクローンヤクザを押さえつけ、殴ったり蹴ったりした。「グワーッ!」カタナも蹴り飛ばす!だがもう一人のクローンヤクザがドスでタタラギを刺しに行く……「ハイヤーッ!」「グワーッ!」ヤクザの首に凍った円盤が突き刺さった。コトブキが投擲した冷凍ピザだ。 15
2020-11-06 21:46:51「ハアーッ!ハアーッ!」「ナメンナヨ」中年男性達は互いの健闘を称え合い、クローンヤクザの武器を拾って武装した。「ひとまず退けましたね……」コトブキが言った。「しかし、ジアゲは執拗です。まさかピザ屋側にまで来るとは……」『オイ!ダイジョブか!』レジ横のUNIXモニタにタキが映った。 16
2020-11-06 21:51:20「皆無事です。でも、窓を割られてしまって……」『フザケルナ!保険降りねえかな?』「またすぐ敵が来るはずです……!」緊迫した会話の最中も、店内をゆらゆらとうろつくのはゾンビー住人たちだ。「アバー」「アバー……」ミボシ達が閉口した。「この役立たずのアホども」「まるでゾンビーだぜ」 17
2020-11-06 21:53:35「とにかく多勢に無勢なんです」コトブキは言った。「迎撃するにも、皆さんは戦闘訓練がされておらず、敵は武装したクローンヤクザで……」「アバー」「アバー」コトブキはフロアを振り返った。徘徊するゾンビー住人の中で、一人、おかしな動きをしている者がいる。例の老人だ。両手を動かしている。18
2020-11-06 21:56:05「この爺さん……ムラノ=サンか……?」イシモが呟いた。コトブキは見た。「知っているのですか?」「いやあ、こんな薄汚れちまったらわからねえけど……ヒゲも生え放題で……」イシモは自信なさそうに、「だけど、この動き……」左掌を上に向け、右手の指を押しつける……。 19
2020-11-06 21:59:23「やっぱりムラノ=サンだ。キタノでスシ屋をやってたのに」「……」コトブキはそのさまをジッと見た。「……あ!」口を手で押さえて驚く。彼女はカウンターを飛び越えてキッチンに行き、冷蔵庫のタッパーからコメを掴み取った。「これでは!?ハイヤーッ!」タッパーをイシモに投げつけた。 20
2020-11-06 22:01:37「これを……?」タタラギはタッパーからコメを掴み取り、老人の掌に乗せた。「アバー……」老人はコメに指を押し付ける。「やっぱりだ」イシモが息を呑んだ。コトブキが別のタッパーを持って走ってきた。タキがサケのツマミに常備している酢漬けのサバだ。タイミングよく、彼女はそれを手に乗せた。21
2020-11-06 22:03:55