ロバート・ブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』読書メモ集

ロバート・ブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』(加藤隆文+田中凌+朱喜哲+三木那由他訳、勁草書房、2020)の読書メモをまとめました。
3
荒木優太 @arishima_takeo

「公共的言説は共通の目的に、私的言説は新奇な目的に、各々対応しているのである」(ブランダム『プラどこ』下66)。おおー、このローティ読み替えはなかなかすごいな。公的が自然主義的プラグマティズムで、私的が歴史主義的プラグマティズムに対応する、と。

2020-11-17 20:49:55
荒木優太 @arishima_takeo

ブランダムにとって、言語が重要なのは分かるのだが、身体の問題はどうなっているのだろう。ローティの残酷さ最小化倫理は、普通に考えれば(?)ボキャブラリーの根底には痛みを感じる身体がある、ってことなんじゃないかと思うが、その言語の外部性で決定づけられていることって沢山ある気がするが。

2020-11-17 20:54:17
荒木優太 @arishima_takeo

或いは、その「言語の外部性」なるものも言語によって指示されるからプラグマティズム=言語的プラグマティズムでOKみたいな感じなんだろうか。メモ。

2020-11-17 20:56:32
荒木優太 @arishima_takeo

「しかし、一本の論文、例えば本章からランダムに選ばれた、引用ではな文が過去に一度でも使われていたことがあるなどということは、まるでありそうもない」(ブランダム『プラどこ』下69)。ここも面白い。「創発」(byミード)概念ともかかわるかも。

2020-11-18 09:06:23
荒木優太 @arishima_takeo

私たちは人生の大半を人跡未踏であるような推論の大地の上で過ごす。byブランダム『プラどこ』下71

2020-11-18 09:07:14
荒木優太 @arishima_takeo

私たちがおこなうすべての主張や推論は、そのただなかで過程を統べている概念的規範が陰伏している伝統というものを持続させると同時に変化させる。byブランダム『プラどこ』下74

2020-11-18 09:09:47
荒木優太 @arishima_takeo

「仲間うちの共通言語を話すこと、言い換えればある公共的ボキャブラリーに共有された規範によって自らを束縛するということの核心は、共有された公共的な目標を追求する能力に限られるものではない」(ブランダム『プラどこ』下76)。公言葉は私的=新奇の言葉という差分を生み出すためにある。良い。

2020-11-18 09:13:54
荒木優太 @arishima_takeo

ボキャブラリーのボキャブラリーが見せてくれるのは、百の私的な花が咲き誇り、百の新奇な思想の流派が争うことを保証することこそが、個々のボキャブラリーを股にかけた、私たちの公共的な目的であるべきだという可能性なのである。byブランダム『プラどこ』下78

2020-11-18 09:15:22
荒木優太 @arishima_takeo

「仲間うちの言葉での日常的なおしゃべりと創発的な言説による個々人の再創造」(ブランダム『プラどこ』下79)。やはり創発概念を用いている。ただし、ならばもう少しミードに言及があってもいいのではないか。索引を見ると序盤に一箇所のみ。

2020-11-18 09:19:00
荒木優太 @arishima_takeo

ミードを軽視していいなら、プラグマティズム=言語的プラグマティズムの図式はすんなりいくのかもしれないが、身体、ミードっぽくいうと「身振り」の問題が言語論ですべてカバーできるかというと疑問が残る。

2020-11-18 09:21:55
荒木優太 @arishima_takeo

そういう意味では、ブランダムがローティのボキャブラリー論から公的と私的の弁別に関わるメタボキャブラリーの方向に行く道(言葉の道)とは対照的に、残酷さ最小化の倫理からミード的な身振りの文法に行く道(身体の道)が残されているのかもしれない。

2020-11-18 09:30:20
荒木優太 @arishima_takeo

ブランダム『プラどこ』第六章「分析プラグマティズムに向けて」。この章は完璧に意味不明だった。トークンってなんやねん。

2020-11-18 14:34:45
荒木優太 @arishima_takeo

「若い哲学研究者にとって、ローティのフォロワーであることはアカデミック・キャリア上のリスクになり得ると考えられることもあったようだ」(加藤隆文)。へぇー。

2020-11-18 15:26:24
荒木優太 @arishima_takeo

ブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』下巻読了。ローティのボキャブラリー論を読み替えていく第五章がもっともスリリングで面白かった。反対に、セラーズや分析プラグマティズムがどうのこうのみたいな話はよう分からんかった。」

2020-11-18 15:55:31
荒木優太 @arishima_takeo

プラグマティズムの現代的可能性を知りたい場合は上巻だけ読めば用が済むが、じゃあその新装がどいうことに使えるのか?を知りたかったら下巻を読まねばならない。が、そのへんはちょっと専門的で理解が追いつかない。

2020-11-18 15:58:14
荒木優太 @arishima_takeo

一言でいえば、プラグマティズムは語用論の観点(言葉を使用から考える)があるから素晴らしいし、分析哲学とも協働できるということだが……そもそも分析哲学において語用論ってそんなに爪弾きにされていた領野なんだろうか。

2020-11-18 16:00:15
荒木優太 @arishima_takeo

『プラどこ』ではウィトゲンシュタインがやはり「使用」の観点から高く評価されているわけだが、素朴に、ウィトでOKなんだったらわざわざプラグマティズムの伝統を召喚しなくてもいいんじゃないの?とか思わなくもない。

2020-11-18 16:02:32
荒木優太 @arishima_takeo

まあ英語圏の学界で活動しているわけでもないので、向こうには向こうの色々な事情があるのだろう。

2020-11-18 16:03:06
荒木優太 @arishima_takeo

やはり〈いま(オレたちが)使える/使いたいプラグマティズム〉って感じはするが、他方、正統なプラグマティズムの流れを根拠づけるためにパースだけを切り抜くミサック的な作業に比べれば、全然好意的に読めた。

2020-11-18 16:08:21
荒木優太 @arishima_takeo

道具主義は真のプラグマティズムではない、と言うのではなく、プラグマティズムには道具主義な線があったがそれはいまは画期性がない、と表現すればいいのだ。

2020-11-18 16:09:55
荒木優太 @arishima_takeo

ただ、やはり歴史的に存在したプラグマティズムの総体(の一新)という感じはしない。ミードの現在哲学に学んだ三隅一成はこれをスポーツ科学に応用しようとした。デューイ的な民主主義論に関しても、プラグマティズムの財産が言語的な視角に収まるとは思わない。

2020-11-18 16:15:54
荒木優太 @arishima_takeo

勿論、ネオプラの方々はそんなことご存知で、その上で、そのアイディアは使えないし捨ててもいい部分だと思えるのだろう。実際、そうかもしれない。

2020-11-18 16:18:13
荒木優太 @arishima_takeo

私は哲学的に洗練されていれば、それ以前のものを忘れてもいい……とは思わないので、この違和感はどうしようもないのかもしれない。理系の方はいまだにアリストテレスを参照する文系のスタイルを馬鹿にするが、それで説得されないのと同じで。

2020-11-18 16:21:39
荒木優太 @arishima_takeo

それこそ(ブランダムが自然主義と歴史主義について述べている)目的性の型が根本的に違う気もする。

2020-11-18 16:22:33
荒木優太 @arishima_takeo

というわけで、いい本だからみんな読むといいよ。

2020-11-18 16:22:53