このワールブルグ効果によって、実際にがん細胞では糖の取り込みが亢進しており、このがん細胞の特徴を生かした検査が、まさにFDG-PET検査です。

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医療法人聖仁会 松本医院 @matsumotoclinic

さて、がんについての話の続きです。先日ワールブルグ博士が発見した、「がん細胞は有酸素条件下でも、ミトコンドリアの好気的リン酸化(OxPhos)が阻害されており、解糖系(Glycolysis)が亢進している」こと(=ワールブルグ効果)について述べました。

2020-12-05 22:06:52
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このワールブルグ効果によって、実際にがん細胞では糖の取り込みが亢進しており、このがん細胞の特徴を生かした検査が、まさにFDG-PET検査です。これは、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖によく似た分子が、がん細胞に取り込まれることを利用した検査です。

2020-12-05 22:06:52
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FDGはもともとは臓器の糖代謝、主に脳の糖代謝機能をみるために用いられてきました。しかし、FDG-PET検査はがんの原発部位の特定や浸潤・転移・再発などの診断に非常に有用であることが判明し、今ではFDG-PET検査のほとんどががんの病期診断や検診のために用いられています。

2020-12-05 22:06:53
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ちなみにあまり知られていないことだと思いますが、このFDG-PET検査が、がんの診断に有用であることを世界で初めて示したのは、日本の医学者であった米倉義晴先生です(Science.1985, 227; 1494-1496)。

2020-12-05 22:06:53