さて、がん細胞がワールブルグ効果によって糖の取り込みを亢進させていることはかなり以前からわかっていたことですが、この事実を根拠に、「がん細胞は増殖するためのエネルギーを糖に依存している」として「がん細胞は糖中毒の細胞だ」と考える研究者や医学者が後を絶ちません。

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医療法人聖仁会 松本医院 @matsumotoclinic

さて、がん細胞がワールブルグ効果によって糖の取り込みを亢進させていることはかなり以前からわかっていたことですが、この事実を根拠に、「がん細胞は増殖するためのエネルギーを糖に依存している」として「がん細胞は糖中毒の細胞だ」と考える研究者や医学者が後を絶ちません。

2020-12-05 22:26:00
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そして、実際に、 1.高血糖・高インスリン血症・高IGF-1血症はがん患者のアウトカムを悪化させること 2.疫学的調査では、低炭水化物食でがんのリスクを低下させること 3.末期がん患者に対する低炭水化物食・ケトン食は安全かつ効果的であること

2020-12-05 22:26:00
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4.低炭水化物食・ケトン食は副作用なしに断食と同じ効果があること(断食はがんに有効) 5ケトン体は直接的な抗がん作用があること(in vitro, in vivoでの実験) (Klement and Kämmerer Nutrition & Metabolism 2011, 8:75)

2020-12-05 22:26:01
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などを根拠に、がん患者に糖質制限食(CHO restriction diet)や、ケトン体ダイエット(Keton diet)を勧める人も増えてきているようです。しかし、これら(糖質制限やケトン体ダイエット)は本当に正しいダイエット・治療方法と言えるのでしょうか??

2020-12-05 22:26:01
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確かにがん細胞ではワールブルグ効果によって、糖の取り込みは亢進していますし、糖質制限食やケトン体食を実践することで、糖の取り込み自体は阻害することができます。しかし、それで本当にがん細胞を兵糧攻めにしてやっつけることができるのでしょうか??

2020-12-05 22:54:43
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実は、近年の研究でがん細胞は微小環境中の糖以外の栄養も用いることができることがわかってきました。例えば、がん細胞は 1.アミノ酸(グルタミン)を餌にして増殖できること(eLife.2016:10;7554) 2.細胞外マトリックスや間質の細胞から様々な栄養を受け取ること(Nature.2016:536;401–402)

2020-12-05 22:54:43
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3.Exosome(エキソソーム)からも栄養やシグナルを受け取って増殖できること(Cancer Metastasis Rev. 2013 , 32;623-42) などがわかってきました。すなわち、がん細胞は糖がなくなった時には、別の栄養素を用いて増殖できる経路を生み出す能力がある、ということなのです。

2020-12-05 22:54:43
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糖質制限やケトン体ダイエットなどのがんに対する臨床研究は始まったばかりであり、まだ長期的な影響がどうかはわかっていません。 また、私自身は健康な細胞の代謝は、あくまでもミトコンドリアの糖のエネルギー代謝が重要であって、これによって細胞の機能や構造が保たれている、と考えています。

2020-12-05 22:54:44
医療法人聖仁会 松本医院 @matsumotoclinic

ですから、糖質制限やケトン体ダイエットは正常細胞にもストレスを与えると考えられるため、当院ではがん患者にはオススメしておりません。また、がん患者以外でも厳しい糖質制限食を行なったことでむしろ体調を崩された患者を当院では何人も診てきましたので、糖質制限食自体決してオススメできません

2020-12-05 22:54:44