千野帽子『物語は人生を救うのか』読書メモ集

千野帽子『物語は人生を救うのか』(ちくまプリマ―新書、2019)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

千野帽子『物語は人生を救うのか』。改行のテンポが独特だな。

2020-12-16 13:25:23
荒木優太 @arishima_takeo

「フィクションの条件とは、「これは作り話であり、実在の人物・団体との類似があったとしても偶然のものである」ということを作品本体の外でなんらかの形で主張する(たとえば「小説」と銘打って発売される)ことです」(千野帽子『物語は人生を救うのか』70)。へぇー。

2020-12-16 13:33:22
荒木優太 @arishima_takeo

「人間は現実(の話)と嘘との区別がつかないことならいくらでもありますが、現実(の話)と虚構との区別がつかないことはほぼありません」(千野帽子『物語』72)。【私は虚構をそのように定義します】って話ならそりゃそうだろうが、虚構論の射程ってそんなもんなのか?

2020-12-16 13:42:17
荒木優太 @arishima_takeo

たとえば、【貨幣によって欲望が叶う】というのは、ただのフィクションで、手元にあるのは現実には紙きれや金属片にすぎないが、そのことを忘れて貨幣自体をフェティッシュに追求する人々は後を絶たないのでは?

2020-12-16 13:48:14
荒木優太 @arishima_takeo

我々の世界認識や因果の把握に物語的枠組みが使われている以上、それほど現実と虚構をきっぱり切り分けることはできないように思うが。

2020-12-16 13:49:23
荒木優太 @arishima_takeo

p75の記述も説得力を感じない。「好景気の指標となる数字は操作されたもので、まったくの虚構だった」を誤用として退けているが、たとえば「GO TO施策によってこれだけ数字が上がったのだ」と語る政治家は、やはり物語や虚構を操っているといって構わないだろう。

2020-12-16 14:02:27
荒木優太 @arishima_takeo

仮に数字上昇の嘘がなかったとしても、ある出来事(GO TO)と別の出来事(数字の変化)を因果で語る点において虚構は忍び込んでいる。実際、別の専門家からみれば、数字の上昇はGOTOとは関係なく、人々の衛生意識が向上したためかもしれない。

2020-12-16 14:05:56
荒木優太 @arishima_takeo

「この人、「やまとことばより漢語・西洋語のほうが知的な感じがする」と感じている人なのかな、そんなにやまとことばが嫌いなら「虚構」ではなく「錯誤」「虚偽」と言えばいいのに、漢語に詳しくないくせに背伸びしちゃって、などと思ってしまいます」(千野帽子『物語』75)。

2020-12-16 14:12:12
荒木優太 @arishima_takeo

こういうのも性格が悪いからやめたらいいのにな、とか思いますけどね。

2020-12-16 14:12:52
荒木優太 @arishima_takeo

「本章の冒頭で書いたように、「実話であること」それ自体が報告価値を持つのは、動物としての人間が生物レヴェルで「ほんとう」と「嘘」を区別して生きているからです」(千野帽子『物語』82)。この本、進化生物学みたいな話好きやな。

2020-12-16 14:36:43
荒木優太 @arishima_takeo

「だって、長らく慣れ親しむ必然性がその椅子にあるなら、その椅子が歴史に最初に登場したときからあるはずだし、ないなら、最初からないはずです」(千野帽子『物語』94)。うーん、なんかピンこないな。

2020-12-16 14:53:00
荒木優太 @arishima_takeo

「椅子のデザインの真実はおそらく、〈長い歴史の中で〉たまたま生き残ってきたデザインがあったとしたら、人は後づけでそこに生き残った〈必然性〉があることにしちゃう、というものでしょう」。ここに繋げたいのだろうし、その方向性自体は文句ないのだが。

2020-12-16 14:55:59
荒木優太 @arishima_takeo

備忘。椅子の形態には歴史的必然性がある、という主張は人間の身体にとっての最適を考えればそりゃあるんじゃないのって気がする(アフォーダンスの話の反対)。

2020-12-16 15:00:38
荒木優太 @arishima_takeo

切り株よりもソファの方が座り心地がいいし、一時足を包むようなものが流行ったとしても、長時間作業にはスタンダードの型がやっぱりいい、みたいな。進化論で適者生存を論じると生存者バイアス(偶然性の必然化)になるだろうが、椅子の形態史においては最適解があるのでは。

2020-12-16 15:02:49
荒木優太 @arishima_takeo

特にこの著者は、人間の進化論的・生物学的な条件を虚構論の根底に認めている(p35, p82)。そこには不可避的な必然性を持ち込むのに、椅子には認めてやらんのかい、ってのが違和感の原因かもしれない。

2020-12-16 15:12:43
荒木優太 @arishima_takeo

小説を読んで、あるいはTVドラマを観て、筋の展開にたいして「必然性がない」と批判したことがあるすべての人は、こういう〈劇的緊張〉に支配された〈筋の一貫性〉を物語コンテンツに求めてういる、そういうタイプの読者・視聴者だということになります。by千野帽子『物語』109

2020-12-16 15:38:23
荒木優太 @arishima_takeo

「小説や人の話ならともかく、僕たちはどうかとすると、自分の人生というかライフストーリーの「本筋」というものを、同じように勝手に決めつけてしまっているのではないか」(千野帽子『物語』126)。

2020-12-16 15:55:26
荒木優太 @arishima_takeo

せっかく虚構と現実を弁別したのに、ここで虚構と人生への態度を重ね合わせるとなんだか危うい感じもするが、勿論杞憂かもしれない。続きを読む。

2020-12-16 15:56:09
荒木優太 @arishima_takeo

千野帽子『物語は人生を救うのか』読了。余り説得力を感じなかったがそれは前著を読んでないからかもしれない。つづけて読む。あとトドロフ『幻想文学論序説』も読む。

2020-12-16 21:04:18
荒木優太 @arishima_takeo

前著で論じているのかもしれないが、というか端的に私の課題なのだが、物語論と人生の問題を論じるならばバーナード・ウィリアムズの「道徳的な運」の議論と対決/に応答する必要性があるな、と思う。

2020-12-16 21:07:42
荒木優太 @arishima_takeo

高田敦史「ストーリーはどのような存在者か」が論じているような分析美学→形而上学の物語論的アプローチの周辺も摂取する必要がある。メモyoutube.com/watch?v=COOnFQ…

2020-12-16 21:12:03
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