くろぐだの奇妙な冒険 第11巻 ～魂の重さ～

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 25 「じゃあ…アンタ最初から…！」 ルロイは憤り、日向寺に掴みかかろうとする。だが日向寺はその手を捻って反らした 「なら君が撃ち給え」 「…！？」 日向寺の言葉は、ルロイに冷たく刺さる 「どの道、あのスタンドは撃たねばならない。私がやるか、君がやるか…」

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#くろくだの奇妙な冒険 26 「そこに違いは無いのだよ」 耳元で言う日向寺を、ルロイは突き放した。そして、腰に手を当てる 「変身！」 だが。彼のスタンドは発動しない。何度か驚きながらも繰り返すが、彼が変身する事はなかった 「ど…どうして…！」 「それは、君が悩んでいるからだよ」

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#くろくだの奇妙な冒険 27 日向寺は膝を着くルロイに近付き、囁く 「君は私の言葉を信用し、実行しようと思っている。だから悩んで、自分の行いを正義だと思えない」 「嘘だ…だって、そんな…」 「嘘では無いよ」 そう言い、日向寺はルロイの前に弓と矢を置いた。そして離れ、様子を見る

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#くろくだの奇妙な冒険 28 暫くの沈黙。遠くからはサイレンと共に、ビルが崩れ飲み込まれる音が流れてくる と、ルロイはゆっくりと立ち上がった。そして、弓と矢を手にする 「…僕が…撃ちます…」 「素晴らしい」 その言葉を聞き、日向寺は頷いた。ルロイは弦に矢を掛け、アルベド目掛けて引き絞る

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#くろくだの奇妙な冒険 29 「…当たれぇ！」 突然、ルロイは矢を日向寺に向け、手を離した。矢は真っ直ぐ日向寺を狙い―空中で軌道を変え、アルベドに目掛けて飛んだ 「止めろ！止まってくれ！」 ルロイはそう言い、手を伸ばす。しかし既に遅く、矢は真っ直ぐアルベドへ飛んで行った 「忘れていたよ」

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#くろくだの奇妙な冒険 30 「私は矢に嫌われていてね。どう狙っても刺さらないのだよ」 日向寺のそんな言葉を、ルロイは聞いていない。無駄と知りながらも足掻き、手を伸ばして矢の行く末を探す 暫くして、アルベドの表面が大きく波打った。そしてそこを起点に、少しづつ崩壊していく 「うわぁぁあっ」

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#くろくだの奇妙な冒険 31 地面を殴り、慟哭するルロイ。日向寺はそんなルロイに、優しく言った 「ありがとう。君は真の勇者だ。誇りに思い給え」 そう言って、日向寺は屋上を後にする。残されたルロイの嘆きは、振りだした雨に掻き消えた― 暫くした後。ボロボロなルロイは街をフラついていた

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#くろくだの奇妙な冒険 32 リカルドとヒトシの死。それはルロイを壊すのに充分過ぎた。しかも、リカルドを殺したのは自分。ルロイはそれを知っているが故に、更に深く傷付いている そして、ルロイは見付けた。アルベドが作った例のクレーターの近くの路地に、ナイフが捨ててあったのだ

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#くろくだの奇妙な冒険 33 何の気なしに、ルロイはそれを拾う。そして、自分の首元に― 「待って！ルロイ！」 そんな聞き覚えのある声が、ルロイの動きを止めた 「…リカルド…？」 そんな訳が無い。リカルドは死んだ。自分が殺したのだから。ルロイはそう考えた。しかし、再び声がする 「ルロイ…！」

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#くろくだの奇妙な冒険 34 声のした方を見るルロイ。そこには、あの日の姿のリカルドがいた。ルロイの手からナイフが落ちる 「どうして…」 「ごめんね、ルロイ。私…死んじゃった」 そう言ったリカルドの表情は軽く、恨みなんて無い程に清々しいものだった 「だって…それは、僕が…」 「ううん」

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#くろくだの奇妙な冒険 35 リカルドは首を横に振り、笑顔を見せた。ルロイが憧れ、好きになった笑顔。暖かく、見慣れた笑顔 「寧ろ、私のスタンドを止めてくれてありがとう。ルロイは私の…ヒーローだよ」 その言葉に、ルロイは涙した。ヒーロー。それは彼が求めていた名称にしてゴール。そして希望

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#くろくだの奇妙な冒険 36 それになれた瞬間なのだ。と、ゆっくりとリカルドの姿が消え始める 「…そろそろ時間かな」 リカルドはそう少し寂しげに言って、とある小さな石を取り出した 紅く丸く、特殊な輝きを見せるその石を、リカルドは優しくルロイへ手渡す 「この石を…くろぐだちゃんに渡して」

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#くろくだの奇妙な冒険 37 「くろぐだ…ちゃん？」 ルロイが言うと、リカルドは頷いた。そして、満面の笑みでゆっくりと消える 「その石を使いこなせるのは彼女だけ…ルロイ、貴方に託すよ」 「分かった！」 そうルロイが言うと、リカルドは笑顔で消えて行った。ルロイはリカルドが消えた空を見続ける

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#くろくだの奇妙な冒険 38 「これで宜しかったんだよねぇ？」 「あぁ。感謝するよ。リコ君」 日向寺の言葉に、リコと呼ばれた女は不可思議な表情で頷く 「私のスタンド、幻覚を見せるだけだからねぇ。騙せたかどうか…」 「いや、充分だろう」 若干心配そうなリコに、日向寺は返して言った

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#くろくだの奇妙な冒険 39 「彼の性格なら、疑う様な事はしないだろう。それに、感動は悲劇を揉み消すんだ」 そんな日向寺の言葉に、リコは頷く 「成る程ねぇ…騙された方には悪いけど、君の手腕は大したものさ」 そう言い、リコは笑顔で去って行った 「さぁ、ゲームを終わらせようか」

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#くろくだの奇妙な冒険 40 さあさあ。怪しい動きを見せるさっちゃんに、くろぐだちゃんへ託された石。そしてクライマックスに入った宣言…んんん～！堪りませんねぇ…！ では次回…！チャオ！