円城塔さんによる #対話を先行 非公式まとめ
円城「視覚と聴覚の違いを考えたときに思うのはやはり、視覚が二次元的にあることに対して、聴覚が一次元的であること、」 #対話を先行
2020-12-17 15:25:43円城「そうして、視覚は光電子デバイスであるのに対して、非常に機械的なデバイスであるというところです(耳はその機構に、骨を使っているわけですし)」 #対話を先行
2020-12-17 15:25:53円城「わりとそうした、そもそものデバイスとしての差、みたいなものがどうしても気になるところでした。そして佐々木さんに聞かねば、と思ったことなんですが文字というのは、この場合、なんなんでしょう」 #対話を先行
2020-12-17 15:26:06円城「というのは、文字は僕には風景の一部には見えない。しかし実際に見えているものではある。また、他の視覚情報とは別の箇所で処理されている信号だとも感じる(そうして実際そうでしょう)」 #対話を先行
2020-12-17 15:26:47円城「『それを小説と呼ぶ』では、『Self-Reference ENGINE』の冒頭部も引いて頂いていて、あそこは僕の書いた文章の中では比較的、言及されやすいところなんですが、」 #対話を先行
2020-12-18 10:40:39円城「大意としては、『全ての可能な文字列の中に、あなたが望む文字列が存在するとは限らない』というやつです。バベルの図書館の中に、あなたの望む本はあるか? と」 #対話を先行
2020-12-18 10:41:09円城「これは、バベルの図書館をどうインデクシングして、リトリーブしますか、という問いと受け取られることが多いんですが、」 #対話を先行
2020-12-18 10:41:33円城「僕が素直に読むと、可能な文字列とは表現可能なもの全てにすぎないわけですが、あなたの望むものは、表現可能なのですか? という問いになります。両者はかなりちがうものです(笑)」 #対話を先行
2020-12-18 10:42:10円城「ただしそこでは、望むものが表現可能ではなかったとしても、その存在は別に疑っていない、というようなニュアンスがあります。P. But I don't believe that P. と扉にある気持ちとも似ています」 #対話を先行
2020-12-18 10:46:05円城「存在することは疑いないが、それを表現することはできない(かもしれない)というのが自分の巡っている問題圏ではないかと思います。これは、佐々木さんの言う『超越』と似ているところはあるなと思うのですが」 #対話を先行
2020-12-18 10:46:19円城「ただこれは、それほどロマンチックなことでもなくて、存在は証明できるが、構成方法は知られていない解、具体的な形もわからない解、なんていうものはいくらでもあるわけです。そういうものを超越と呼ぶ必要があるのかには、わりと懐疑的なところもあります」 #対話を先行
2020-12-18 10:49:00円城「小説はそういう、表現できるのかどうかもわからないものを扱うものなのだ、という感覚はあるのですが、現実問題として、そのための技術が発達していない、という気持ちも強い。なので、色々やってみている、というのが素直なところです」 #対話を先行
2020-12-18 10:52:53円城「そろそろ時間もなくなってきたので、この宣伝も終わりにしようかと思うわけですが、やっぱり、佐々木さんにデビュー当時からずっと訊かれ続けていて、うまく答えられていない話、『新しい小説のために』でも触れられているやつですが、」 #対話を先行
2020-12-18 14:52:25円城「僕がよく言う、『みたままを書いている』というやつですね。これがいろいろ批評的には問題のある発言だというのはわかります」 #対話を先行
2020-12-18 14:52:40円城「でもですね。さっきの話を受けるなら、僕がわりとやろうとしていることは、文芸ではあんまり知られていない構造を元にした小説、みたいなものなわけです」 #対話を先行
2020-12-18 14:53:03円城「結構前のところに出てきた、LISP で書いた eval みたいなものですね。次新年号の群像に載るはずの短編は、diff の話で、これはまあ(見せる)」 #対話を先行
2020-12-18 14:53:31円城「で、そのコードを書いたり、動かしたりしているときに、思ったもの、もしくは現れてきたもの、そういうものを書いている、ということを、どう表現しているかというと、」 #対話を先行
2020-12-18 14:54:10円城「『見たままを書いている』となる、と。だからまあ、情景描写なわけですよ。この場合は、コードという風景の」 #対話を先行
2020-12-18 14:54:21円城「別にいつもコードを書いているわけじゃなくて、そのときどきで根っこのものは違うのだけど、なにかそういう、新しく使えるようになったものを利用することで書けるようになるものがある、と」 #対話を先行
2020-12-18 14:57:36円城「小説はフロベールで終わったということでもいいんですけど、でも、フロベールはJavaScript を知らなかった。今皆さんが見ているこの画面は、そういう機械の言葉で実現されているものなわけです。(今のところは)誰か人間が書いた」 #対話を先行
2020-12-18 14:57:56円城「なので、『見たままを書いている』は実感です。今自分が見ているものをもとに、それによって可能をなったものを見て、書いている」 #対話を先行
2020-12-18 14:59:18