えんとつの町のやつの映画の感想

原作絵本でおかしいなと思ってたところが映画ではわりと直っていました。きちんと感動できるところ、面白いところもあったと思います。 ただあちこちで本人の喧伝したい主張、思想がチラ見えしていて、本人が語るほどエンタメに徹し切れてはいないなという印象です。作者が読んで欲しいのは子供じゃなくて大人なのだろうなとも思いました。 2021.1.1 ゴミ人間と捨てられた夢のテーマについての連ツイートを追加しました。 続きを読む
27
銅折葉 @domioriha

心臓配達人、絵本においても完全に意味不明&投げっぱなしの設定だったんだけどあれほんとマジで何がしたかったんだろうな……

2020-12-27 20:44:11
銅折葉 @domioriha

映画版として追加された異端審問官の設定が、せっかくの敵役なのにあんまりにも雑に使われてて勿体なかった。スーさんとトシアキが魅力的なのにあまりにも雑に処理されすぎて失望。船に乗り込んで上空で立ち回りするとか、隠していた初代レター世代の飛行船で追いかけるとか、それくらいしてくれよ。

2020-12-27 20:47:41
銅折葉 @domioriha

ルビッチたちを止めようとする異端審問官を、そこに割って入る煙突掃除夫たちがなし崩しに乱闘に入ったのに、その後でわざわざ全員ぞろぞろ揃って並んで船の前に並んで「ずっと疑問に思っていた仲間が立ち上がるんだ!」みたいな感じになるの、アレも多分西なんとかさんの演出だなって感じがした。

2020-12-27 20:50:44
銅折葉 @domioriha

言葉と動きで明確に意見や立場を発表するのは大事なんだけど、露骨なくらいに西なんとかさんの「世間の常識は間違ってる」「正しいと思うこと=西なんとかさんの主張を信じ抜け!俺たちはその仲間だ!」「俺もだ」「俺も!」って意思表明を繰り返すのがチラつくんだなあ……。

2020-12-27 20:52:28
銅折葉 @domioriha

「えんとつ町の物語」なのに、ラスト前の異端審問官たちによる町の統治体制の歪さが露わになり、町の人々が声を上げ始める瞬間をほとんど海岸のシーンでやってるのも実にもったいない。冒頭で意味ありげに出てきた異端注意報の赤いサーチライトも出てこないし、巨大な中央塔も一切関係してこない。

2020-12-27 20:55:15
銅折葉 @domioriha

高低差があってビルも塔もえんとつも立ち並んでて、高架道路が走りトロッコが駆け抜ける魅力的な町なのに、最後のシーンで町を駆け抜けて飛行船が飛んだり、そこかしこで争う人々がそれぞれの場世から空を一斉に見上げるみたいなシーンが全然ないから、えんとつが本当にただのベンチにしかなってない。

2020-12-27 20:56:20
銅折葉 @domioriha

たぶんだけどストーリーの中核になるシーンのほとんど、西なんとかさんが自分の経験のある舞台演劇の場面として作っちゃってて、そのせいで画面を動かしながら進む演出が全然できてないんじゃないか。プペルは最初期に一度舞台演劇として披露されてるのでその流用だろうか。

2020-12-27 20:58:23
銅折葉 @domioriha

それ以外の画面に動きがあるシーンは(ルビッチの2Dアクションゲーム、ゴミ焼却炉の宮崎ルパン的ギミック脱出シーン、地下のトロッココースター)、話の本題に関わるシーンではないので西なんとかさんが「こんな感じで」だけ指示してアニメのスタッフに作らせたから動く画面になってるんじゃないか。

2020-12-27 20:59:52
銅折葉 @domioriha

そして「ホシ」がテーマなんで今さらなんだけど、やっぱり雲の向こうには青空の方が良かったと思うよ。夜空に輝く星空の光景、夢みたいな光景って魅せるにはえんとつ町のきらびやかな町並みとあんまり差がないんだもの。もっと薄暗い陰気な町ならともかく、青空の方がはるかにインパクトあるよ。

2020-12-27 21:03:59
銅折葉 @domioriha

劇中歌もね、西野さん作詞以外の曲はどれもうまく夢とか希望とか迫害をはね除けること信じることを比喩や掛詞で表現してるけど、西野さんのこれだけ正しいすごい綺麗だ真実だが露骨すぎる。 『映画 えんとつ町のプペル』エンドロール プペルができるまで展Ver. youtu.be/VB2IUNQioc8 @YouTubeより

2020-12-27 21:06:30
拡大
銅折葉 @domioriha

プペル強いぞカッコいいぞ一撃だぞ悪い奴らはコナゴナだ!悪い奴らは全滅だ!みたいな歌詞だよな……。

2020-12-27 21:08:09
銅折葉 @domioriha

仮にも多少なりとも好意を持った相手に「その臭いカラダも洗えば少しはマシになるんじゃない?」って台詞回しに疑問を持たないあたりが(蔑んでるわけではなく思いやってるらしい)、西なんとかさんの西なんとかさんたる所以だなと思うところだ。

2020-12-27 21:10:22
銅折葉 @domioriha

総括。西なんとかさんが10年前に完成させた壮大なサーガのうちほんの一部だけを切り出したのが原作絵本という喧伝をするなら、あの映画のどこをどうやって切り出したらあんなトンチキな内容の絵本になるのかという部分に説明が欲しい。原作絵本を元にシナリオを練り直したって素直に言えばいいのに。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-12-27 21:20:42
銅折葉 @domioriha

アニメ映画『えんとつ町のプペル』感想。「作者と作品は切り離して考えるべき」は無理無理の無理 - 社会の独房から shachikudayo.com/entry/2020/12/… 同意。腐るお金レターについては西なんとか氏が唐突に思いついて世紀の大発明と宣伝し彼のコミュニティに流布した実物をそのまま使ってるので実に洒落臭い。

2020-12-27 20:03:21
銅折葉 @domioriha

何もかも10年以上前から計算通りの完璧な天才!のロールで売り込むなら、あんまり雑なことはしなさんなというのと。 この10年でいろいろ得た新しい経験とか交流で生まれた要素を盛り込んでもっと面白くしましたって言えないのは創作者を語る上でどうなんだよ、という気持ちだ。

2020-12-27 21:23:00
銅折葉 @domioriha

ホシの問題については「プロ野球選手になる」「ラピュタを見つける」よりも地動説の「地球は動いている」なんだよな。視聴者にとっての常識を(劇中でも同じように事実である)ありもしないと大人たちに否定させることで、打破する社会の蒙昧さを強調してしまう。

2020-12-27 22:59:14
銅折葉 @domioriha

主人公が叫ぶのが「ラピュタがあるかどうかわからないだろ!」と「ホシがあるかどうかわからないだろ!」だと、それが視聴者にとって同時感じられるかはかなり違うはずなんだが、そこが混同されて論じられるのがすごく気になる。

2020-12-27 23:00:53
銅折葉 @domioriha

えんとつの町のやつの映画の感想 - Togetter togetter.com/li/1642747 @togetter_jpより あらためてこの話をもうちょっとウダウダとやる。そもそものコンセプトっつーか夢を諦めないっていうテーマとゴミ人間というキャラクターの主題のところ。

2021-01-01 22:18:58
銅折葉 @domioriha

@togetter_jp 一番最初にこの本の設計ができた時に語られたのが、作中の町におけるゴミというのは人々が諦めた夢であるということだったはずだ。挫折したり妥協したりで夢を見ることを諦めた人々は、その夢を捨て、顧みることがなくなる。これがえんとつ町におけるゴミの意味合いであった。

2021-01-01 22:20:56
銅折葉 @domioriha

@togetter_jp ゴミが「役に立たない」「汚い」「臭い」「どこかに捨ててしまいたい」というのは、諦めた夢を直視したくない心の表れである。 このあたりは自分の推測とかではなく、西なんとかさんも何度となくブログや制作秘話で語っている話だ。

2021-01-01 22:23:11
銅折葉 @domioriha

@togetter_jp プペルはそんな人々の捨てたゴミがくっついて生まれたゴミ人間である。 誕生したゴミ人間を見て、多くの人々が恐怖し化け物だと逃げてゆく。 先の比喩に倣うならば、二度と見ることはないと思っていた過去の夢、恥ずかしさや悔しさで注視したくないものが目の前に突きつけられる状況の比喩であろう。

2021-01-01 22:26:22
銅折葉 @domioriha

動かないゴミならば町の下層部のゴミ捨て場に放置しておけば二度と眼に入ることはなかったわけだが、それが動き出してしまった。人々の嫌悪や拒絶はそこに由来するものだ。 同時に、未知への挑戦を諦めている人々は海の怪物や空の上のあるホシを見ようとしない。これも同じ価値観に根ざす思考だ。

2021-01-01 22:28:21
銅折葉 @domioriha

んで。ゴミ人間であるプペルの口はプスーハッハと臭いガスを吐き出す。絵本版ではこれはけっこう強調されている描写なのだが(映画ではかなり省略されてオミットされた設定だった)、この臭い匂いもまた夢を諦めた人々にとっての、直視しがたい「夢を語る言葉」であろうことが推測できる。

2021-01-01 22:30:34
銅折葉 @domioriha

これもまた根拠のない話ではなく、絵本版ではプペルとルビッチはこのプペルの吐く臭いガスを風船に詰めて船を浮かべ、空の上のホシを見る場所まで辿り着くのだ。 また、絵本版のプロトタイプになっている舞台演劇版においては、「この臭いガスに使い道があればいいのに」というセリフがある(らしい)

2021-01-01 22:32:13
銅折葉 @domioriha

さらに言えば、絵本版ではルビッチはプペルの臭いガスの匂いがあんまり気にならない描写がある。「僕の捨てたパンツでも混じってるんじゃない?」と書かれているが、これはルビッチがプペルと同じ臭い匂いをさせていると読めるだろう。共に空に向かう二人が同じ臭いをさせているということだ。

2021-01-01 22:34:12
銅折葉 @domioriha

まあこれはルビッチがプペルを通じて自分に親しい存在(臭いが気にならない)である父を見ていると取ることもできるが、ルビッチ父が空の上のホシを語る存在であるので、比喩としてみる部分の状況的には変わらないとも言える。

2021-01-01 22:35:48