【装束小ネタ】 初期小袖について(+立膝・湯巻) メモ

立膝と初期小袖の身幅の広さや、湯巻きが戦国時代劇でよく見られることについてなど
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ただし、『褶(ひらみ)』については、もっと早くに礼服一式に付属するものとして存在し、襞を深くとった『裳』に対して、荒くつまんだだけのものとも言われ、のちのエプロン的なものとは区別する必要があるともされている。

2020-06-14 13:11:55
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湯巻は元は禁中の下級女官が湯殿奉仕の折に必要に応じて着用するものだったが、平安末期頃になると禁中以外の湯殿でも用いられ、また鎌倉時代頃には湯殿以外でも使用され、時に上臈女房の使用例も見られるようになる。石山寺縁起(鎌倉時代末)などでは下臈女房の小袖に湯巻姿が描かれる。

2020-06-14 13:34:17
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湯殿での使用に限られなくなったので、裳袴という呼び方もされる。 しびらは、襞がなく丈も短めとされる。『源氏物語』にも見えるが、用途は湯巻と同様だがより簡素なものという扱いのようだ。また、男の官人の着用例も『女官飾抄』に見える。 以上『有職故実大辞典』よりざっと拾ってみた。

2020-06-14 13:43:37
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というわけで、物としては平安からあるものの、下臈の女房(中流階級の女性)やもう少し下、庶民層へ浸透していくのは鎌倉以降なのかもしれない。 ただエプロンのように作業時にのみ用いたか、帯の補助としてずっと巻いていたり外出用に裾を整える為に巻いたかどうかははっきりしない。

2020-06-14 14:04:47
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ただ、阿国歌舞伎図(桃山)、花下遊楽図(桃山?)洛中洛外図(歴博乙本・桃山)などを見ると、腰に巻きものをしてる女性を殆ど見かけない。(画像1は洛中洛外図だが前掛けの女性?はいた。画像2花下~はどうも生地の切替に見える)この頃には少なくなっていたのかも知れない。 pic.twitter.com/py9rAPwE8E

2020-06-14 14:25:16
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(あと花下遊楽図のこの二人は他と髪型や化粧などが微妙に違うので、もしかしたら少年…?) pic.twitter.com/q1LrvWlXpI

2020-06-14 14:27:50
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あんまり戦国時代もので裳袴だかしびらだかを巻きまくっているのはどうなんかあとは思う

2020-06-14 14:31:52
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そもそも室町時代の絵巻でも、そこまで腰に巻物してる女性多い印象がなくて、裳袴(湯巻)もしくはしびらが『中世っぽさ』っていうのがどこで作られたのかがわからん…復元衣装では確かに見かけるんだけどバリエーションのひとつに過ぎないし

2020-06-14 14:41:14
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(原本散逸してるけど模本で)七十一番職人歌合なんか、ザ・中世庶民のおかみさん揃いだけど、腰に巻物してる人いないし…。

2020-06-14 14:47:19
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例が見られないわけでも稀少というわけでもないとは思うんだけど、時代・階層の典型例にされるほど強い印象がないというか

2020-06-14 14:48:55
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小袖の黎明期には、帯も見せるものやお洒落する部分だという認識があんまりなかった、薄かったような気がするんだよ。ただの紐とまでは思わないけど帯が見せるための装飾品になってきたのはやっぱり小袖文化が花開いて豪華になるのにつれての事だと思う。帯が見えないと違和感があるのは近現代的感覚

2020-07-23 12:21:31
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十二単のイラストでなんか前に巨大なリボンくっつけてしまってるみたいなのが多いのも、腰回りに何か結び目がないと落ち着かない感覚があるんじゃないかと思う。帯を湯巻きに替えるという感覚も、やっぱり近現代のものなんだよね…。湯巻きは元々防汚用の前掛けで帯用途はないし着付けに必須でもない

2020-07-23 12:28:17
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あってもなくてもいいし、皆がしてたわけじゃないものに、その時代の名を冠してしまうのはやっぱりちょっとどうしても違和感がある。 帯文化も絶対じゃないと思ってるので布やラップスカート巻くのはすごくいいと思うんだけどさ…。

2020-07-23 12:35:07

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あとおまけで、別資料から室町時代の鮎売りの女性。髪は頭に巻きつけた上から桂巻をし、小袖と麻の単の裾は壺折して(端折って)いる。 「日本女装変遷史」(吉川観方/装道出版局/1980) twitter.com/sakana6634/sta… pic.twitter.com/QvJRnR7qPW

2020-07-23 11:43:29
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室町時代の女性の装いの復元で、湯巻(もしくは裳袴)を着けてるものとないもの。 本当に先の『室町スタイル』が、これらと同じに見えますか? 四点とも『日本の女性風俗史』(京都書院アーツコレクション版)より pic.twitter.com/vA5IrCNnm4

2020-07-23 10:20:38
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室町時代の女性の装いの復元で、湯巻(もしくは裳袴)を着けてるものとないもの。 本当に先の『室町スタイル』が、これらと同じに見えますか? 四点とも『日本の女性風俗史』(京都書院アーツコレクション版)より pic.twitter.com/vA5IrCNnm4

2020-07-23 10:20:38
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同じく「日本女装変遷史」より、安土桃山時代の復元で、唐輪髷の遊女と白歯(未婚でお歯黒してない)女中。 pic.twitter.com/QmyyNqtlOc

2020-07-23 11:54:01
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「日本の女性風俗史」は、今でも書店で入手できる良資料ではあるけど、時代行列の記録写真集なので歩ける服装にしてあったり、化粧がやや濃かったり、当時の染織業界あげての行事だったので織物に気合いが入りまくっていて豪華だけど庶民層では少し華やかすぎるしボリュームが出すぎている部分もある。

2020-07-23 11:58:18
逆名🌈🕊️🏳️‍🌈🏳️‍⚧️ @sakana6634

「日本女装変遷史」は、ハレの扮装の「~風俗史」に比べて、より考証寄りの復元で、着付けの過程や小物も写しており、知りたい部分とマッチすればかなり参考にはなるが、件数自体は少ないのが難点。説明ももう少し多い方がありがたい…。

2020-07-23 12:03:26
逆名🌈🕊️🏳️‍🌈🏳️‍⚧️ @sakana6634

あと、「日本女性風俗史」も「日本女装変遷史」も、なぜか(風俗史は西陣とコラボしてたからだと思うけど) 江戸時代の風俗は京風・上方風に偏りがちなんだよね。資料としては貴重だけど

2020-07-23 12:10:23