ノーベル賞受賞経済学者・シムズ教授の財政政策 ―― FTPL vs MMT

ノーベル賞受賞経済学者・シムズ教授の「FTPL(物価水準の財政理論)」が、今回のテーマです。 「アベノミクス」にも影響を与えている割りに、認識している一般人は少ないのではないか、と考えて取り上げました。 コロナで財政赤字も拡大中ですが、財政再建(または反緊縮政策)を行う上で、重要な理論だと考えています。 今回、基本的な紹介と、ネットでは有名な「MMT」とFTPLの違いについて、またFTPLの今後の課題、とくに「期待形成」の問題について考察しました。
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しろうと @sirouto

単純化すると、FTPLは、「財政」に合わせて、「物価(水準)」が調整される、という理論だ。

2021-01-05 22:43:20
しろうと @sirouto

さて、これのどこが、画期的なのだろうか? 伝統的(リカード的)経済学では、財政を物価(や金利や国債残高など)に合わせるべきと考えるのが普通だった。

2021-01-05 22:45:10
しろうと @sirouto

それは要するに、「プライマリーバランス」や財政均衡、財政黒字、財政再建、財政規律など、反緊縮系論者の憎しみの対象となっている考え方だ。

2021-01-05 22:48:04
しろうと @sirouto

しかし、FTPLにおいては、政府が財政再建を放棄することで、物価が上昇し、増税ではなく、インフレ税によって国債を返済するのだという。

2021-01-05 22:49:18
しろうと @sirouto

つまり、政府が財政再建を止めると、結果的に財政再建できる。非常にトリッキーに見える、この仕組みを支えるのが「インフレ期待」の形成だ。

2021-01-05 22:52:02
しろうと @sirouto

政府が財政再建を止める(ことを宣言する)と、インフレが期待形成される。なぜか?

2021-01-05 22:54:06
しろうと @sirouto

「バーナンキの背理法」があって、インフレしないなら無税国家ができるが、経済に「フリーランチ」はないから、結局どこかでインフレすると。

2021-01-05 22:54:56
しろうと @sirouto

物価と通貨は裏表なので、インフレすると、名目債務が目減りして、結果的に財政再建できると。こういう理屈。

2021-01-05 22:56:11
しろうと @sirouto

奇妙な感じがするが、たとえると、「追われると、逃げたくなる」が、「逃げられると、追いたくなる」という、恋愛心理みたいな感じだろうか(笑)?

2021-01-05 22:57:15
しろうと @sirouto

今の理屈の裏返しとして、「財政再建に固執すると、かえって財政再建に失敗する」という風にも言える。

2021-01-05 23:00:49
しろうと @sirouto

これは、日本で言うと、70年代に「オイルショック」でインフレが続き、インフレは沈静化したものの、今度は90年代頃から、デフレと財政赤字に悩まされるようになった状態を想定しているらしい。

2021-01-05 23:03:16
しろうと @sirouto

つまり、インフレのコストを財政赤字につけ替えただけではないか、それならインフレの方がマシではないか、というのがFTPL論者から見た時の疑問。

2021-01-05 23:05:34
しろうと @sirouto

さて、ここまで話を分かりやすくするために、もっぱらFTPL論者の立場から説明してきた。

2021-01-05 23:06:07
しろうと @sirouto

しかし、FTPLと、「リフレ」や「MMT」など、他の反緊縮系・経済理論との違いが、初見だと分かりにくいかもしれない。

2021-01-05 23:07:01
しろうと @sirouto

「どうも要するに、国が借金ガンガン増やしていくと、自動的に上手く行く、みたいな話でしょ」と一括りに考えるかもしれない。

2021-01-05 23:07:56
しろうと @sirouto

先に私の立場から結論を言うと、経済政策として、「FTPLはアリだが、MMTはナシ」という立場だ。両者には違いがある。それが何なのか、これから違いを見ていこう。

2021-01-05 23:10:38
しろうと @sirouto

その先にまず、FTPLとリフレの違いを簡単に見ておこう。これは、金融政策主体か、財政政策主体かの違い。

2021-01-05 23:11:26
しろうと @sirouto

FTPLが財政主体の立場なのは、「物価水準と関係があるのは、貨幣供給よりも、国債残高ではないか?」という疑問を持っているからだ。実証的な裏付けもあるらしい。

2021-01-05 23:13:00
しろうと @sirouto

俗に言う「マネタリーベースのブタ積み」を、見せつけられた経験も日本にはあるので、金融・財政の協調政策というのは、昔より説得力を持っただろう。

2021-01-05 23:15:10
しろうと @sirouto

では、いよいよ核心に入るが、「FTPLとMMTの違い」は、いったい何だろう?

2021-01-05 23:16:11
しろうと @sirouto

ここでじつは、先入観に反して、FTPLは「借金しホーダイ」の理論ではない!

2021-01-05 23:19:16
しろうと @sirouto

さらにじつは、MMTも、アメリカ提唱者の原典ではそうで、必ずしも財政拡大一辺倒を正義とはしていない。

2021-01-05 23:19:57
しろうと @sirouto

それは建前上かもしれないが、「借金が増えると、財産も増える」みたいなコピペを繰り返す、日本のMMT信者とは一線を画している。

2021-01-05 23:20:39
しろうと @sirouto

FTPLは、「借金しホーダイ」ではなく、長期的には、財政均衡に収束する必要がある。

2021-01-05 23:23:30
しろうと @sirouto

なぜなら、予算制約式があるが、赤字が続けばインフレが発散してしまう。ので、長期的にはいつか財政均衡に回帰することになる。

2021-01-05 23:24:39