くろぐだの奇妙な冒険 第13巻(最終巻) ~Over "Quartzer"~

作者:日向寺皐月(@satuki_hyugaji)さん 「#自分のスタンドを考えてみるタグ」から始まったフォロワースタンド使い化企画連載小説(三次創作) 第13巻分まとめ https://togetter.com/li/1639892 ←12巻 特別編→ まだ
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日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 第三十八話「Over "Quartzer"」 1 加賀美湾内に浮かぶ、一隻の護衛艦《ひいろ》の艦橋に、日向寺の姿はあった。紫紺の着流しの懐からデジタルマップを取り出し、着弾点のグリッドを確認する。 「いやホント、流石自衛隊の命中率だね。誤差は殆ど無しだ」 「有り難い御言葉で」

2020-12-16 23:41:35
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 2 《ひいろ》艦長の九条は鉄帽を軽く上げ、日向寺に言う 「こんな所で外していては、黒島司令に何と言われるか…」 「次弾装填!」 砲撃手の報告を、九条は頷いて返した 「撃ち方初め!」 轟音。《ひいろ》前方にあるオットーメララ12.7mm単装速射砲が火を吹き、目標へ飛来する

2020-12-16 23:48:13
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 3 「5、4、3、だんちゃーく!今!」 遥か彼方の地平に、着弾の爆炎が見える。日向寺はそれを見て、軽く微笑んだ 「では、私もあちらに行くよ。射撃は後数発程頼んだ」 「貴女に幸運のあらん事を」 艦橋を後にする時、九条は日向寺にそう言った。日向寺はそれを聞き、小さく嗤う

2020-12-16 23:56:26
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 4 「幸運…か。今はとんだ皮肉だよ」 「バッド・デイ…Act.5だ…」 日向寺はそう言い、繭を突き破って出て来る《それ》を見た 純白に輝く、汚れの無い体躯。そして、煌々と輝く頭の蝋燭。その胴体には、顔を少し覗かせるブシドー。そう、同化しているのだ 「成る程、成る程…」

2020-12-17 00:04:55
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 5 日向寺は頻りにそう言いながら、顎に手を当てて思慮を巡らす。しかし直ぐに、影の壁を出現させる 着弾。再び爆風が二人を包む。だが、バッド・デイは無傷。そしてその背後には、大きなクレーターが出来ていた。そう、砲弾を弾いたのだ 「…ねぇ、君達」 ブシドーは口を開く

2020-12-17 00:11:30
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 6 「僕は今、最高の気分なんだ…友達と一緒になれた。素晴らしいでしょ?」 本当に楽しげな笑顔で、ブシドーはそう言った。その顔には、一点の曇りも無い 「だから、そんな気分を邪魔する様な悪い奴は…」 刹那、バッド・デイが走る。日向寺は仕込み刀で弾くが、後ろに下がる

2020-12-17 00:16:37
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 7 「なんて無茶苦茶なパワーだ…!」 くろぐだをカバーしつつ、日向寺は刀を押してバッド・デイの拳を跳ね返す。が、もう片腕で弾かれた 「先生!」 「大丈夫だ、お嬢さん!」 空中で回転してなんとか着地する日向寺。と、バッド・デイはくろぐだに目を向ける 「セイヤーッ!」

2020-12-17 23:41:50
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 8 大槌でバッド・デイを横合いから殴るくろぐだ。しかし、軽いガードで押し返された 「今までに増して…硬い!」 「なんで戦うの?」 ブシドーは不思議そうな表情で、くろぐだに対して尋ねる。一瞬、動きが止まるくろぐだ。が、その瞬間に小さな身体は弾け飛んだ 「きゃあっ!」

2020-12-17 23:49:32
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 9 「お嬢さん!」 日向寺は飛び上がり、空中でくろぐだをキャッチ。反対の手でマテバを抜き、腹部の顔に向けて撃った。片腕でガードするバッド・デイ。もう反対の腕で殴り掛かるが、日向寺はその拳を蹴って離れる そして、再び着弾。今度は日向寺に向けて砲弾を弾くバッド・デイ

2020-12-17 23:55:16
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 10 「小細工を!」 日向寺は弾かれた砲弾を斬り裂く。空中で爆発する砲弾。が、その爆煙を穿ってバッド・デイの拳が飛来する 「今だ!お嬢さん!」 「はいっ!」 と、その拳を伝ってくろぐだが走り出す。もう片腕でくろぐだを狙うバッド・デイ。が、肝心の腹部がガラ空きに

2020-12-18 00:04:23
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 11 「ナイスだ!」 一気に距離を詰め、刀を突き立てる日向寺。が、しかし 「また…また君達は僕の友達を傷付ける…!」 ブシドーがそう叫び、バッド・デイの背中から更に腕が一対生えた。それらは日向寺を押し潰す様に、両脇から襲い来る 「出鱈目な進化にも程がある…!」

2020-12-18 00:10:22
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 12 瞬間、影の壁が拳を包む。そしてくろぐだの大槌が、バッド・デイの顎を捉えた 「セイヤーッ!」 思わず後ろへ怯むバッド・デイ。その隙に、日向寺は回し蹴りを叩き込んだ。流石のバッド・デイも吹き飛び、後ろの電灯を巻き込んで古墳に突っ込む 「なんて強さだ…」

2020-12-18 00:17:31
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 13 日向寺が呟くその先。バッド・デイは無傷で立ち上がり… 「痛い…なぁ…!!」 再び、くろぐだの大槌とバッド・デイの拳が空中でぶつかった 「オラオラオラオラッ!」 グッド・バイはルフランを殴る。が、ルフランはそれを総て受け止め、逆に拳から衝撃として打ち返した

2020-12-19 01:21:00
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 14 「痛え…」 蝶でその拳を包み、本体へのダメージをカバーする。しかし、蝶とて無数にある訳では無い。既にグッド・バイの本体が見えてしまっている 「そろそろ不味いか…?」 ぶんぶんはそう呟き、ルフランの攻撃を交わした 「さっさと…殺られろよ!」 「嫌です!」

2020-12-19 01:28:31
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 15 フニコロは鴉の拳を退け、ガラ空きになった胴体に蹴りをかます。しかしそれは虚しく空を切った。鴉がバックステップを取って回避したのだ そしてお返しと言わんばかりに、鴉が頭を狙った蹴りを放つ。それをカバーするフニコロだが、二段目の蹴りの爪先が左肩を捉えた

2020-12-19 01:38:55
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 16 「くっ…!」 更成連撃を避ける為、フニコロは鴉の視線を斬った。しかし鴉は懐から出したM9を出鱈目に撃つ。一瞬防御に回ったエンファウンドに、鴉の蹴りが入った 「さっきからよぉ…」 更に蹴りを放つ鴉は、防戦一方のフニコロに対して言う 「テメェ、本気じゃねぇな…?」

2020-12-19 01:47:10
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 17 フニコロは答えない。と、そんな態度に鴉はキレた 「舐めんじゃねぇよ!オレは!本気なんだよ…!」 エンファウンドの肩を踏み台に、鴉はフニコロへ殴りかかった。が 「だって…!殺したくないから…!」 その拳を掴み、フニコロは鴉を引き寄せる。そして―抱き締めた

2020-12-19 01:50:35
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 18 「な…ッ!」 身動ぎをし、逃げようとする鴉。しかし、フニコロのホールドから逃れられない 「私は…私は…!ぴえろさんと、戦いたく無いんです!」 そう叫ぶフニコロの頬に、キラリと輝く光が一筋。泣いているのだ 「だって…だって!ぴえろさんは私の憧れの人だから…!」

2020-12-19 01:57:49
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 19 「優しくて、可愛くて…格好いい。それが私の知ってるぴえろさんだから…!例え見た目が変わっても…ぴえろさんはぴえろさんなんです…!」 フニコロは泣きながらそう言う。後半は声が震え、聞き取れない程であった と、そんなフニコロの頭を優しく撫でる手が一つ 「…え?」

2020-12-19 02:04:20
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 20 「…ありがとう、フニコロちゃん」 優しく、聞き覚えのある声。それはフニコロの嗚咽を止めるのには十分だった 「ぴえろ…さん…?」 目を開けるフニコロ。そして、目前の鴉の表情を見る 今までの憎悪に燃えた、復讐者の表情が消えていた。代わりにあったのは、懐かしい笑顔

2020-12-19 02:09:05
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 21 フニコロの目の前にいたのは、紛れも無くぴえろだった 「私、間違ってた。ずっと一人だと思って、それで…」 そう言い、自らのスタンドを仕舞うぴえろ。呆気に取られるぶんぶんを余所に、ぴえろは話を続ける 「最初は死にたかった。あの子と一緒に。でもそれが出来なくて…」

2020-12-19 23:44:11
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 22 「…私は許されない事をしたって言うのは分かるの。だから…」 そこまで言い、俯くぴえろ。そんな姿にフニコロは心配そうに呟いた 「ぴえろさん…」 「そんな顔しないで」 そう言って、ぴえろはフニコロの頬の涙を拭った。そして、笑顔を見せる 「それが私の罪だから」

2020-12-19 23:49:00
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 23 「あ、でも!師匠なら何とかしてくれます!」 フニコロは思い出した様に言う。そして、ぴえろに笑顔で言った 「だから…私と一緒に来て下さい。ぴえろさんは、私が救います!」 フニコロはそう言って胸を張る 「フニコロちゃん…ありがとう。貴女は…とても優しいのね」

2020-12-20 00:01:59
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 24 フニコロから離れたぴえろはそう呟いて、口元に笑みを湛える。それを見、フニコロはむず痒そうに笑った 「えへへ…」 「本当に…本当に優しいなぁ…」 ぴえろは呟き、フニコロを見る。と、ぶんぶんが走りながら叫んだ 「油断すんな嬢ちゃん!ソイツは―」 「え―」

2020-12-20 00:08:11
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